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  • モリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」を読破、タイトルからしびれるね

    モリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」を読破、タイトルからしびれるね

    あのタランティーノが放った名言、「かれは現代のモーツァルトだよ、現在のヴェートーベンだよ、現代のシューベルトだよ」と。

    そのモリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」(エンニオ・モリコーネ (著), アレッサンドロ・デ・ローザ (著))を3週間かけて読破したのです。弁当箱より分厚い本ですが、実に面白かったのです。音楽を勉強している人などにとっては自分の100倍ぐらいの吸収がある本だと思います。

    しかし、本のタイトルがしびれるね。(この言葉はモリコーネの言葉です)

    初期のモリコーネの名を高めたあのセルジオ・レオーネとの3作は「ドル箱3部作」と呼ばれているのですね。(荒野の用心棒・夕陽のガンマン・続 夕陽のガンマンのことだよ)

    そして、ストラヴィンスキーのことを再三とりあげて激賞していますね。音楽家にとってはすごい進歩を起こした人なのね。素人には今ひとつわからないストラヴィンスキーなのに。

    本から抜粋です。まずはルイス・バカロフの言葉です。(1933年生まれ、「イル・ポスティーノ」で第68回アカデミー作曲賞)

    アルバン・ベルクは1920年代に、シューマンの「トロイメライ」を研究していた。そのなかで、かれはこの曲を“完璧”にせしめている一連の要素に注目している。彼が注目したのは、音程の築き方、特に完全四度の使用についてだった。実際のところそれが正しいのかどうかはわからないけれどね。….

    エンリオがベルクの分析に関心を持ったかどうかもわからないが、彼の書いたメロディの多くがきわめて有名になったことを考えると、彼なりに何らかの“秘訣”を発見したのだろう。ただ、ここまでくれば、彼に直接訊いてみるよりほかないだろう。

    2014年3月26日

    次はモリコーネと一番多くの映画で連れ添ったジュリアーノ・モンタルドの言葉(映画監督、代表作は「死刑台のメロディ」)です。

    でもいいんだ。ぼくの傍らにはいつだってエンニオがいるから。優れた職人で芸術家でもある偉大なエンニオがいつもそばにいてくれるんだ。

    2014年5月26日

    特に、付録の「証言」というコーナーでトルナトーレがあの「ニュー・シネマ・パラダイス」の音楽について詳細に回答していますので、必読です。

    最後に本書の紹介文です。

    「疑いの余地なく、本書は、わたしに関して書かれた本のうち、詳細にわたり丁寧に検討された正真正銘の最良の書である。これは真実の書である。」 ──エンニオ・モリコーネ

    前衛音楽から映画音楽へ 若き音楽家との対話によって紡がれる マエストロの生涯とその創造のすべて

    『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『死刑台のメロディ』『エクソシスト2』『ニュー・シネマ・パラダイス』『ミッション』『アンタッチャブル』『海の上のピアニスト』『鑑定士と顔のない依頼人』『ヘイトフル・エイト』…… 数々の名作で知られる映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネと若き音楽家アレッサンドロ・デ・ローザとの対話によって紡がれる、マエストロの生涯と創作の真実

    映画音楽は映画という芸術に対して何をすることができるのか。音楽としての純粋性を損なうことなく、大衆が理解可能な音楽はいかにして可能か。音楽は人と人をどのように結びつけることができるのか。そして、なぜ人は作曲を続けるのか。

    本書には、モリコーネが歩んできた人生、映画音楽家としての活動、 経験、その音楽が生まれた契機と育まれた経緯のみならず、彼が生きた歴史・社会・文化的状況をめぐる思いのすべてが綴られる。

    映画、ラジオ、テレビといった様々なメディアが到来しては次々に様相を塗り替えていった現代社会のなかで、「音楽」はそこに何を残すことができたのか。決して音楽の世界に閉じこもることなく、新しい環境のなかに飛び込み、苦闘した作曲家はやがて映画音楽界の巨匠と呼ばれるようになる。

    ゴッフレド・ペトラッシのもとで作曲を学び、ダルムシュタットでジョン・ケージと出会った作曲学生時代。そしてRAI(イタリア放送協会)やRCAでプロとしてのキャリアをスタートしてからの下積み。その後のセルジオ・レオーネ、ベルナルド・ベルトルッチ、ピエル・パオロ・パゾリーニ、ダリオ・アルジェント、ジュゼッペ・トルナトーレ、ジョン・カーペンター、オリヴァー・ストーン、ブライアン・デ・パルマ、ペドロ・アルモドバル、ロマン・ポランスキー、クエンティン・タランティーノらとのコラボレーションに至るまで、モリコーネの生涯が詳細に語られる。

    楽しい読書体験でした。

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  • ニューシネマパラダイスの監督を描いた「トルナトーレ 我が映画人生」でモリコーネとの絆に涙したな

    ニューシネマパラダイスの監督を描いた「トルナトーレ 我が映画人生」でモリコーネとの絆に涙したな

    この週末に大変興味深い映画というか、ドキュメンタリーを見た。

    そのDVDのタイトルは「トルナトーレ 我が映画人生」というものです。

    あの「ニューシネマパラダイス」で有名なジュゼッペ・トルナトーレ を本人と関係者がその映画人生を語るというものです。

    ちなみに自分の中での映画のベスト3は以下のとおりかな。

    • ゴットファザー1(天才コッポラ渾身の一作)
    • ディアハンター(マイケル・チミノはこれ一作を作っただけで歴史に名を遺した)
    • ニュー・シネマ・パラダイス

    無理やり3本を選べと言われたらこうなりますが、他にはルキーノ・ヴィスコンティの「山猫」やロバート・ワイズの名作「サウンド・オブ・ミュージック」などが上がります。

    で、今回、「トルナトーレ 我が映画人生」を見て初めて知ったことで、興味深いことが多々あったのです。

    アマゾンの紹介文です。

    アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『ニュー・シネマ・パラダイス』で賞賛を集め、それ以降、『海の上のピアニスト』『マレーナ』『鑑定士と顔のない依頼人』など、数多くの秀作を撮り続けている名匠ジュゼッペ・トルナトーレに迫るドキュメンタリー
    トルナトーレ本人はもちろんのこと、ティム・ロスやモニカ・ベルッチ、ジェフリー・ラッシュなど彼の監督作に主演した名優たちや映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネらのインタビューなどから、トルナトーレの映画作りや、映画に掛ける情熱を浮き彫りにする

    歴史的な名作「ニューシネマパラダイス」は最初4時間近い映画でイタリアで公開したが、全く芳しくなく、3時間弱程度に縮めてもサスペンス映画のようになり、全く興行的にダメだったのこと。

    そして、約2時間のバージョンを作成し、アメリカのアカデミー賞で賞を獲得したことで、世間の評価が変わったこと。

    アカデミー賞を獲得してイタリアに帰国して、記者からのインタビューを全く無視し、次回作に仕事にすぐにとりかかったとのことです。

    そんな中、あの巨匠のフェリーニから突然電話が掛かってき、めったにないことだから「楽しめよ」という言葉をもらったとのことです。

    そして、「シチリア! シチリア! 」は彼の育ったシチリアの村を再現した映画とのことです。撮影は、対岸のアフリカのチュニジアでその村のセットを作って、予算的にも大変な映画だったことが語られます。

    特にこの映像の中で印象深かったのは、あの故エンリオ・モリコーネがトルナトーレを語る映像には胸が打たれました。極め付きは、トルナトーレとモリコーネ、ドパルデューが揃ってモリコーネの曲を楽しく歌う映像にはしびれました

    モリコーネは語ります。トルナトーレが語る「モリコーネは自分の父であり、息子でもある」と語ることに、二人の間の強いつながりを感じました。

    現代の映画界のマエストロの「トルナトーレ 我が映画人生」は監督を目指す人にとっては必見と思った次第です。

    だけど、トルナトーレはかなり内気な人で、仕事中毒のシチリア人ですね。

    基本的には同じイタリア人でもシチリア人とナポリ人を比べれば、月とスッポンほど違うと、トルナトーレは話していたのでした。とにかくシチリア人は、外交的な性格の人種ではないと言い切っていたのが印象的でした。

    「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を鑑賞、天才の仕事場を見れるだけでも奇跡のようなことだよ