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  • 内容の過激さから発禁処分の映画「フィリップ」を観た、危険な香りのする映画

    内容の過激さから発禁処分の映画「フィリップ」を観た、危険な香りのする映画

    2024年6月27日(木)

    本日もまずは映画のお話しからなのですが、週末は弾丸でフィンランドはヘルシンキに遊びに行くことに決定しました。何故にヘルシンキか。ワンワールドで一番席が取りやすいのでね。それ以上の詮索はなしで。ヘルシンキは昨年から数えて3回目の訪問となります、あなたも好きね。

    映画の話しにもとい。

    きょうはナチスものを観に行ったよ。月曜日にも「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」を観たので、今週は2度目のナチスものです。観たのはこちら。

    • 「フィリップ」

    こんな感じの映画です。

    ポーランド人作家レオポルド・ティルマンドが自らの実体験を基に1961年に発表し、その内容の過激さから発禁処分となった小説「Filip」を映画化。ナチス支配下のポーランドとドイツを舞台に、自身がユダヤ人であることを隠して生きる青年の愛と復讐の行方を描く

    1941年、ワルシャワのゲットーで暮らすポーランド系ユダヤ人のフィリップはナチスによる銃撃に遭い、恋人サラや家族を目の前で殺されてしまう。2年後、フィリップは自身をフランス人と偽ってドイツ・フランクフルトの高級ホテルのレストランでウェイターとして働きながら、ナチス将校の夫を戦場に送り出した孤独な妻たちを次々と誘惑することでナチスへの復讐を果たしていた。嘘で塗り固めた生活を送るなか、フィリップは知的な美しいドイツ人リザと出会い恋に落ちるが……。

    監督は1990年代よりテレビプロデューサー・演出家として活動し、アンジェイ・ワイダ監督作のプロデューサーとしても知られるミハウ・クフィェチンスキ。

    2022年製作/124分/R15+/ポーランド
    原題:Filip

    発禁処分となった小説ですが、今にすると、そんなに衝撃的な話しではないよね。映画全体にほとばしる緊張感はひたひたと感じました

    ナチス時代の外国人(特に身分を隠してのユダヤ人にとってはね)の生きにくさは分かりました。そんなに純血主義だったんだね

    自分の感覚からすると、主人公の顔つきが自分にとっては違和感というか、あったね。このフィリップという人、なんとなくゲイぽい雰囲気も感じられます。あの大広間で何回も踊るあのシーンです。

    結論から言うと、劇場で観るべき作品ですね。本当に毎日が勉強になるね。

    観たのは銀座。

    終われば、日本橋のこちらに直行です。いつもの京都ラーメンの「ますたに」さんです。フィリップの毒気にやられて、ビールでクールダウンです、あんな、いつも何かにかこつけてビールなのね。

    そして“ますたにラーメン”を完食。最近、ますたに度が高くなっている自分

    今日も最高の一日でした。

    これを観ずに死ねるか「情熱のシーラ」は原作良し、ロケ場所良し、時代背景良し、主人公の設定良し、近年見たドラマでは最高





  • 2023夏休み読書、「シャドー81」は傑作冒険小説 、“これを読まずに死ねるか”

    2023夏休み読書、「シャドー81」は傑作冒険小説 、“これを読まずに死ねるか”

    2023年8月31日(木)

    本日は1週間で唯一、ルーティーンのある日です。

    絵画の勉強をするために銀座にお出かけです。13時から2時間の教室です。今はこんな絵を書いています。今回の絵はピグマペンを使い始め計3回でこんな絵を仕上げました。

    ピグマペンの水彩画では永沢まことさんが有名かと思いますが、永沢さんの本を読んでも、鉛筆とピグマペンの使い分けがわからないままでした

    今回、教室で習ったのは風景画のような建物というかカチッとした対象物の時にはピグマペン、それ以外の時は鉛筆の方がよいのではという、先生からコメントがありました。

    永沢さんは人物画などでもピグマペンを使用していますが…。

    まあ、人それぞれの個性なのかな。今回の自分たちの教室では、最初にラフに鉛筆で下書きをし、その上から0.5と0.8ミリのピグマペンで上書きをし、水彩の着彩をする方法でした。

    ピグマペンで上書きをして、不要になった鉛筆の線は消しゴムで消したのですが。

    終わった後もいつものルーティーンです。絵画教室から徒歩7-8分のところにある銀座の老舗のラーメンの「共楽」さんに行って、“ワンタンメン”(1,000円)を食します。

    先週も今週も中国人のお姉さんはいませんでした。まだ故郷の海南島から帰っていないのかな。まずはビールで喉の消毒を。飲み終わったところで、声をかけてワンタンメンを食します。これで毎週木曜日のルーティーンの終わりです。

    そして、本日は8月は最終日の31日です。この夏の読書を振り返りたいと思います。古典の冒険小説を再読したよ。

    • シャドー81(ルシアン ネイハム著)
    • 深夜プラス1(ギャビン・ライアル著)
    • もっとも危険なゲーム(ギャビン・ライアル著)
    • 約束の地(スペンサー・シリーズ)  (ロバート B.パーカー著)

    やっぱり娯楽性というか卓越した奇抜性では「シャドー81」が群を抜いて面白いかな。多少無理筋の感のあるプロットですが、奇抜性では今でも貴重だと思います。ハードボイルド的ではないけどね。

    「深夜プラス1」はあの“これを読まずに死ねるか”の故内藤陳氏のイチオシだよね。ライアルのこの2冊はどちらも硬質な感じ(ニヒルとも言う)が好きな人にはたまらないんだろうね。

    そして、20年前であれば一番好きな探偵物はスペンサー・シリーズだったのです。そのためスペンサーシリーズは全作読んだもの。今回20年ぶりになつかしくて代表作の「約束の地」を読んだのでした。スペンサーはもちろん銃も使うけれど、その少しマッチョ腕っぷしの強さとあのおしゃべり(特にスーザンやホークとね)に特徴が。

    今の自分には少しナンパに感じたのは自分の歳のせいかな

    今、スペンサーシリーズを映画化すれば、誰が一番スペンサー役かな。ジェイソンステイサムに髪をつけさせ、もう少し若替えさせたらいいかな、またはライアン・ゴズリングかな。(だけどバービーに出たから、そのイメージじゃあないんだよね)

    だけど、結論は「シャドー81」は傑作、“これを読まずに死ねるか”

    ガルシア=マルケスの「百年の孤独」を読了、現代世界文学の最高傑作というが自分には理解できず



  • イタリア映画「帰れない山」は2023年劇場公開された作品ではNo.1だよ

    イタリア映画「帰れない山」は2023年劇場公開された作品ではNo.1だよ

    喧騒の2023年のGWも終わりました。GWが終わった後からが、活動の時ですね。

    というわけでGW開けの月曜日に映画館に映画を見に行くことにしたのです。昨日も映画の話しを書きましたが、今日は最新の劇場映画です。

    観た映画とは、イタリア映画の「帰れない山」です。まずは感想です。すばらしい映画です。2023年はまだ折り返し点には行っていないですが、自分の現在のNo.1かな。ひたすら実直に脇道にそれずに大自然と友情の物語をたんたんと描いています。

    147分という長尺ですが、時間を忘れて見入りましたね。これがアメリカ映画だとLBGTとかの話しを絡めてくるんだろうな。しかし、イタリア映画は違います

    アメリカ映画で言うなら、あの「Into the Wild」が好きな人にはオススメかな。

    実は自分はこの本のことは知っていたのです。ベストセラーになっていていつかは読みたいなと。著者はパオロ コニェッティ。

    この人の自伝というか体験した物語でしょう。こんな物語です。

    街の少年と山の少年 二人の人生があの山で再び交錯する。山がすべてを教えてくれた。牛飼い少年との出会い、冒険、父の孤独と遺志、心地よい沈黙と信頼、友との別れ――。北イタリア、モンテ・ローザ山麓を舞台に、本当の居場所を求めて彷徨う二人の男の葛藤と友情を描く。イタリア文学の最高峰「ストレーガ賞」を受賞し、世界39言語に翻訳された国際的ベストセラー

    とにかくモンテ・ローザの自然がすばらしいね。特に北イタリアやアルプス好きにはたまらないね。「Into the Wild」の方は若者の若さゆえの無謀さ自然への憧憬の物語ですが、こちらの方も生きることの厳しさというか人生を語っているね

    自分も北イタリアではドロミテもアオスタからクールマイユールに行ったことがあるがまた夏のよいシーズンに行きたくなってくねる。クールマイユールに行ったのは2004年。クールマイユールからフランスのシャモニーにぬけるケーブルカールートはすごいよね

    話しは脱線しましたが、山で暮らすのも大変だよ、現代は。お金とか教育の問題だとか現実的な問題が絡んできます。もう、ソローのような「森の生活」は厳しいね。

    この映画の監督は、過剰な演出は極力抑えて、主役は雄大なモンテローザです。

    カンヌ国際映画祭にも出品され「第75回 審査員賞 受賞」だよ。この時に一緒にパルムドールを争って最高賞をとったのがあの「逆転のトライアングル」とはね。

    風刺の聞きすぎた作品と「帰れない山」、正に正反対にある映画だね。話しとしてはこちらの方が秀逸だと思いますが、映画は監督のものなのでオリジナリティ性から言っては「逆転のトライアングル」がパルムドールでもしかたないのかな。

    だけど、「帰れない山」は本当に素晴らしい映画です。日本で全く話題になっていないのはどうして。こんないい映画。必見ですぞ

    「ジョルダーニ家の人々」、これは現在の多様な家族のあり方を描いたイタリアドラマの大傑作





  • 最近のよい小説をお探しなら「ザリガニたちの鳴くところ」を読むべし、自然描写が素晴らしい

    最近のよい小説をお探しなら「ザリガニたちの鳴くところ」を読むべし、自然描写が素晴らしい

    ここ1年弱、平日の昼間に毎日聞いているのがロバート・ハリスさんがナビゲーターされている「Otona no Radio Alexandria」という番組なのです。FM局はInterFMという少しマイナーな局ですが。だけど、最近はFM東京系列にも配信が始まり、メジャーになってきているんだな、これが。

    そんなロバート・ハリスさんさんが1ケ月前ぐらいに、ラジオのリスナーからの質問で最近のおすすめのの小説は何ですか?、というド直球な質問があったのです。

    そして、彼が全くの迷いなく答えたのが、「ザリガニの鳴くところ」 (ディーリア・オーエンズ著)だったのです。

    ちなみに下世話な話しですが、この本は“2021年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位”です。

    自分も評判が高いのは知っていたので、数ヶ月前に購入はしていたのですが、後回しの待ち行列に入っていたのです。

    物語はこんな感じです。

    ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された

    人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた

    しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ

    全米500万部突破、感動と驚愕のベストセラー

    著者の紹介です。

    著者について ジョージア州出身の動物学者、小説家。

    現在はアイダホ州に住み、グリズリーやオオカミ、湿地の保全活動を行っている。69歳で執筆した本作が初めての小説である

    と言うわけで、自分も早速にこの小説を読み始めたのでした。

    ファーストインプレッションは自然や沼地の動植物に対する畏敬の念がある描写がすばらしいですね。この描写を描きたい故にこの話しがあるのかな。人間の成長物語でもあるし、ミステリー仕立てでグイグイと読むものを引き込んでいくパワーはすごいですね。

    その場の自然が思い描けるようなビジュアル的な筆致は非常に細かい描写の積み重ねから生まれるのでしょう、多分。

    序盤が終わると次から次に読みたいという衝動が止まらなくなります。文中の表現される詩も良いです。(これは後にでんでん返しのシナリオがありますね。)

    米国の東海岸の沼地の生き物を生き生きと描いています。全米ベストセラーもうなづけます。おそらくすぐに映画化されるのでしょうね。

    何か良い小説をお探しなら、今一押しかな。

    (追記)

    すぐに映画化されて、劇場で映画も見ましたが、自分は断然、書籍の方が数段良いと思いました。主題歌はむ、テイラー・スウィフトが提供しています。

    ガルシア=マルケスの「百年の孤独」を読了、現代世界文学の最高傑作というが自分には理解できず