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  • “坂本龍一、一周忌追悼ロードショー”で「ラストエンペラー」を観る、エイラクを観てれば10倍楽しめる

    “坂本龍一、一周忌追悼ロードショー”で「ラストエンペラー」を観る、エイラクを観てれば10倍楽しめる

    2024年3月14日(木)

    旅行の前に是非観たい映画があったのです。これを観て旅行に出かけます。

    その映画とはあの「ラストエンペラー」です。自分は恥ずかしながらこの映画を観たことがないのです。今回劇場で公開されている理由は、“坂本龍一さん、一周忌追悼ロードショー”ということのようです。4Kレストアの劇場公開版です。

    映画はこんな感じ。

    「ラストタンゴ・イン・パリ」「1900年」で知られるイタリアのベルナルド・ベルトルッチ監督が清朝最後の皇帝・溥儀の生涯を映画化し、1988年・第60回アカデミー賞で作品賞をはじめとする9部門に輝いた歴史大作。溥儀の自伝「わが半生」を原作に、激動の近代史に翻弄された彼の人生を壮大なスケールと色彩豊かな映像美で描き出す

    1950年、ハルピン。ソ連での抑留を解かれ母国へ送還された大勢の中国人戦犯の中に、清朝最後の皇帝・溥儀の姿があった。手首を切って自殺を図った彼は、薄れゆく意識の中、波乱に満ちた自身の半生を思い起こしていく。

    「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」のジョン・ローンが成長した溥儀を演じ、「アラビアのロレンス」などの名優ピーター・オトゥールが少年時代の溥儀を導く英国人教師役で出演。坂本龍一が甘粕正彦役で出演したほか音楽を手がけ、日本人として初めてアカデミー作曲賞を受賞した。オリジナル全長版は218分。

    1987年製作/163分/PG12/イタリア・イギリス・中国合作
    原題:The Last Emperor

    観ての感想。いやあ、楽しめました。何故楽しめたかは、あの中国宮廷ドラマの「エイラク」全話を1ケ月前に観ていたから。「エイラク」の時代は清朝のむ絶頂期・乾隆帝の時代。このラストエンペラーこと溥儀は清朝最後の帝、乾隆帝の死後、約100年後に即位なのですね。

    この100年の中で中国はいろいろあったんだね。エイラクのおかげで非常に興味深く、楽しめました。だけど気になったのは、全部が英語での会話なのでそれはちょっとどうかなと

    ジョン・ローンはかっこよすぎますが、ピーター・オトゥールは渋い演技でしたね。

    「エイラク」の時でも気になっていましたが、清朝は愛新覚羅という中国東北(満州)の族なんだね。

    監督のベルトルッチが何を言いたかったのかは、「暗殺の森」と同じテーマということは、

    • 暗殺の森では最後はファシズムの崩壊、ラストエンペラーでは溥儀を担いだ満州国の崩壊
    • 普通(市井の人)と普通でない(紫禁城の帝と人々)

    だけど、最後の毛沢東の文化大革命の挿入は今見ると風刺が効いているね、2023年現在も変わらない中国。現時点で観ると示唆に溢れています

    本当にいい映画を観たね。

    アウェーの新宿では、ランチは「桂花ラーメン」へ。ほてった頭をビールと茎わかめで冷まします。しわしわで少し塩っぱい“桂花ラーメン”美味いね。

    「瓔珞(エイラク)」全70話を一気観、自分的解釈はメッセージは現代的

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  • ベルトルッチの「暗殺の森」を劇場で観たよ、ラストエンペラーも同じ構成とは

    ベルトルッチの「暗殺の森」を劇場で観たよ、ラストエンペラーも同じ構成とは

    2023年11月10日(金)

    本日は東京は久しぶりの雨模様の天気です。そんな天気もあっては、やっぱり映画館で映画を観るにこしたことはありません。

    本日観た映画はイタリア映画の名作「暗殺の森」です。「午前十時の映画祭」のプログラムです。町山智浩氏の解説映像付き上映会となります。町山氏の解説が入るということは結構難解な隠れたテーマがあるんだろうね

    あのスペイン映画の「ミツバチのささやき」でも町山氏の解説でフランコ独裁政治への反抗メッセージということが理解できたものね。

    「暗殺の森」はあのイタリアの名監督ベルナルド・ベルトルッチ

    主演は「男と女」のジャン=ルイ・トランティニャンです。原作はイタリアを代表する作家の一人、アルベルト・モラヴィアです。

    映画の前と後で町山氏の解説が入ります。まずは、映画前の解説です。

    「暗殺の森」の森の撮影監督はヴィットリオ・ストラーロでこの映画は「市民ケーン」と並んで史上最も先鋭的な撮影による映画とのこと。青いバックはフランスでの出来事、白いバックはイタリアでのことと背景色を観ただけでどちらの場面かわかるとのこと。

    1938年、ファシスト政権下のイタリア。少年時代の性的トラウマゆえに「誰よりも普通の人」になろうとした主人公、当時のイタリアで普通はファシストに属すること(ドイツではナチ、日本では天皇崇拝)で、結局は自由に生きればよかったのにという対比をしている映画(これ正しいかな)

    ストーリーはこんな感じ。

    第二次世界大戦前夜のイタリア。哲学講師のマルチェロは、幼い頃、自分の送り迎えをしていたゲイの運転手を射殺したトラウマを抱えており、今はファシズムに加担している。組織の命令で、反ファシストのかつての恩師クアドリの身辺調査を依頼された彼は、婚約者のジュリアと共にパリに赴く。マルチェロとジュリアは、クアドリと彼の魅力的な若妻アンナに接近し、食事やダンスを共にする。だが、組織からはクアドリを殺害せよという第2の指令が発せられる……。

    解説を聞かないと深い伏線はわからない映画でした。29歳でこんな映画を作るベルトリッチという人は只者ではないね。下世話な話しですけど、この映画のドミニク・サンダは素晴らしい。(当時20歳とか言っていたね)

    観終わってからの町山氏の解説です。覚えている限り。

    ストーリーは後の「ラスト・エンペラー」の原型。暗殺の森では最後はファシズムの崩壊、ラストエンペラーでは溥儀を担いだ満州国の崩壊。同性愛等々。

    そして、暗殺の森はいろんな場面で師匠でもあったゴダールへの贖罪と決別を表していると。この映画からベルトリッチは大作路線に舵をきり、ゴタールから決別していった。

    有名な女性2人のダンスシーンは同性愛を連想させ、店内の白、柱の赤、そして外の青でフランス国旗のトリコロールを表していると。

    この映画では鉄格子やガラス窓で内と外の対比が出てくるが、普通(ファシズムやナチ)と普通でない(当時は自由な人)との対比が描かれる。最後の暗殺場面でも車の窓を通して同じ対比が描かれる。

    まあ結論としては、いろいろな伏線があり、難解な映画でした。だけど面白かったよ。やっぱり、イタリアはダヴィンチとミケランジェロを生んだ国だもんね、一筋縄ではいかないよ、そうそう、あのモリコーネ先生もね。

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