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  • 映画「ネットワーク」は正に予言的な脚本の素晴らしさ、ジョーカーとの共通点があるよ

    映画「ネットワーク」は正に予言的な脚本の素晴らしさ、ジョーカーとの共通点があるよ

    2024年11月23日(土・祝日)

    昨日の金曜日は久々にカラッと晴れた都心、気温も20度で快適な一日だったね。

    そんな日ですが、日本橋のTOHOシネマズでこの「午前十時の映画祭」の新しいラインナップを観に行ったよ。その映画はこちら。

    • 「ネットワーク」

    映画を観て気づいたのが、この映画は一度も今まで観たことがなかったね、ということ。

    そして今回は、町山智浩氏の解説映像付き上映会です。

    名声と権力欲に憑かれた女をクールに演じたフェイ・ダナウェイのオスカー受賞作。日々視聴率競争にしのぎを削るアメリカの巨大ネットワークを舞台に、そこに生きる男女の野望と絶望、TV業界の内幕を赤裸々に暴いた問題作。アカデミー賞では作品賞含む10部門にノミネートされ、ダナウェイの主演女優賞ほか4部門を受賞した。

    大手ネットワークで長年キャスターを務めてきたハワード・ビール(ピーター・フィンチ)は、視聴率の不振から解任を言い渡される。精神状態が不安定になったビールは、次週生放送中に自殺すると予告し、一大スキャンダルに発展。翌週、報道の責任者マックス(ウィリアム・ホールデン)がビール最後の放送を見守る中、エンタメ部門の新鋭プロデューサー、ダイアナ(フェイ・ダナウェイ)は、ビールを利用して新番組を立ち上げようと画策する。

    監督 シドニー・ルメット

    出演者 フェイ・ダナウェイ ウィリアム・ホールデン ピーター・フィンチ

    受賞歴 アカデミー賞主演男優賞・主演女優賞・助演女優賞・脚本賞、ゴールデン・グローブ男優賞・女優賞・監督賞・脚本賞

    製作年 1976年

    こんな傑作を観ていなかったとは。当時、報道のエンターテイメントは考えられなかったけど、本当に現実になったのがすごい予言的な映画とか

    とにかく脚本が素晴らしい。

    主役のピーター・フィンチも主演男優賞、だけど、この映画の製作後すぐに亡くなられて、家族がオスカー像を受け取ったとか。

    町山氏によれば、この映画は「ジョーカー」と関係の深い映画とか。前作の「ジョーカー」でのシーンはこの映画へのオマージュ映像があるとのこと。時代背景も1970年中盤の混沌としたニューヨークを描き同じ設定との説明。

    町山氏の言う、最期のあの経営者の言葉が神からの言葉ととった主人公というのは少し考えすぎだと思う。2000年台になってジョージ・クルーニーがリメイクしようと提案したが、すでに話し的には古くなっており、リメイク案は却下されたとのこと。

    だけど、準主役にウィリアム・ホールデンとロバート・デュバルを起用したところにこの映画の妙があねる、個人的には、すごい重量感のある映画になったね

    フェイ・ダナウェイはいつもの彼女だね、第二ボタンを外してね

    だけど、こんな映画をスルーしていたなんて、自分、情けなし。

    終わればここは日本橋室町。いつもの「ますたに」へ。

    良い映画を観た後のビールはたまらないね。締めはいつものラーメン並で

    映画も天候も清々しい一日でした。

    映画「ジョーカー フォリ・ア・ドゥ」まるでミュージカルじゃないの、失敗作かな

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  • 監督と脚本がリュック・ベッソンならハズレなし、「DOGMAN ドッグマン」

    監督と脚本がリュック・ベッソンならハズレなし、「DOGMAN ドッグマン」

    2024年3月13日(水)

    数日後にはイタリア・ロンドンの旅に行くのですが、伊豆大島から帰ってきた翌日ですが、映画館に向かいます。来週以降から「デューン」と「オッペンハイマー」が始まる前の、端境期で目を引く映画がないのですが。

    あまり話題にはなっていませんが、何とあのリュック・ベッソンが監督と脚本をした新作の 「DOGMAN ドッグマン」というのをやっているではありませんか。例外もありますが、基本、リュック・ベッソンに外れなしです。今回は監督と脚本も担当しているので期待大です。

    映画はこんな感じ。

    「レオン」のリュック・ベッソンが実際の事件に着想を得て監督・脚本を手がけたバイオレンスアクション

    ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。「ドッグマン」と呼ばれるその男は、自らの半生について語り始める。犬小屋に入れられ、暴力を浴びて育った少年時代。犬たちの存在に救われながら成長していく中で恋を経験し、世間になじもうとするも、人に裏切られて深く傷ついていく。犬たちの愛に何度も助けられてきた彼は、生きていくために犬たちとともに犯罪に手を染めるが、「死刑執行人」と呼ばれるギャングに目をつけられてしまう。

    「アンチヴァイラル」「ゲット・アウト」のケイレブ・ランドリー・ジョーンズが主演を務め、圧倒的な存在感でドッグマンを演じきった。共演は「フレッシュ」のジョージョー・T・ギッブス、「ザ・ベイ」のクリストファー・デナム。2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品

    2023年製作/114分/PG12/フランス
    原題:Dogman

    観ての感想。自分は全くどんな映画なのか情報なく観ましたが、素直に面白かったよ。もちろんあの「レオン」には遠く及びませんが、2時間飽きさせません。この映画は主人公のケイレブ・ランドリー・ジョーンに尽きるね。最初はその女装がきもいと思ったのですが、観ていくうちに感情移入させ、だんだん違和感なくなるね。

    最後はもっと派手な戦いにしてもらいたかったのですが、実話ベースではあんなものかな。題材的にバイオレンスが激しそうなイメージですが、そんなグロい映像はありません。

    あそこでエディット・ピアフか、なかなかにくい演出ですね。

    バイオレンス・アクションですが、何か「ダークナイト」にも通じる哀愁漂う映画です。是非、劇場に足を運んでください。

    映画が終わって外に出てみれば、天気は急変、土砂降りの首都圏です。こんな時は近場で済ませるしかないね。支那そばの「はしご」さんへ急行します。

    時刻も2時半。お客さんも少なくていいね。やっぱり“パーコーだんだんめん”はうまいね。

    今日もよい1日でした。

    「愛と哀しみのボレロ」を劇場で観たよ、まさにこれを観ないでに死ねるか

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  • ノルウェー版大豆田とわ子?映画「わたしは最悪。」を見たぞ。恋愛と人生に悩む現代人に送る、セリフが刺さる映画だよ

    ノルウェー版大豆田とわ子?映画「わたしは最悪。」を見たぞ。恋愛と人生に悩む現代人に送る、セリフが刺さる映画だよ

    週初めの昨日月曜日に思い立って、渋谷にあるBunkamuraル・シネマにて絶賛上映中の「わたしは最悪。」という映画を見てきたのでした。きっかけは、そのキャッチコピーです。

    ノルウェー版大豆田とわ子?! 映画『わたしは最悪。』はリアルな台詞が刺さる

    自分は実は松たか子主演の「大豆田とわ子と三人の元夫」は見たこともなかったのですが、その“近年非常におもしろいドラマだった”という高評価は知っていたのです。

    ちなみに、「わたしは最悪。」はこんな映画プロフィールなのです。

    『わたしは最悪。』(原題・ノルウェー語: Verdens verste menneske)は、ヨアキム・トリアー監督による2021年のダーク・ロマンティック・コメディドラマ映画である。

    『リプライズ(英語版)』(2006年)と『オスロ、8月31日(英語版)』(2011年)から続くトリアー監督の「オスロ三部作」の第3作である。

    プレミア上映は第74回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で行われ、レナーテ・レインスヴェが女優賞を受賞した。第94回アカデミー賞には国際長編映画賞と脚本賞にノミネートされた。

    話しは、主人公女性の20代後半から30代前半の恋とキャリアと日々の暮らしが描かれ、その物語はリアリティあるセリフに溢れています。私って、失敗の多い人生かもという自分探しの物語というのかな。それに恋愛と現代性が交わってきます。

    一番の魅力はこの主人公を演じた女優のレテーナ・レインスヴェの魅力かな。カンヌでの主演女優賞も納得かな。2つ目は脚本が緻密で出来がすばらしいのです。物語は12章にカットされて、最後に最終章がついています。

    まあ、あえて言えば本当にたわいののない話しをこれだけ魅力的な映画に仕上げるのは監督の力量でしょう。そして、オスロの街の風景がよいです。中盤に時がとまる映像演出は魅力的な演出です。そう、主人公が走っているポスターのカットの場面です。

    北欧の映画というと、どうしても日照時間が少ない影響なのか、暗い風景の映画を思い出します。そう、自分のイメージではアキ・カウリスマキ監督なのです。西加奈子さんの最新刊「夜が明ける」も絶望的な主人公でアキ・マケライネンの北欧映画が取り上げられていたもんな。

    だけど、この映画は違います。そうだよな、北欧がすべて暗い風景ではないんだよな。この映画では普通の美しいオスロが描かれています

    そして、最後に感心したところ。12章まで見終わって、さあ最後です。この拡散した物語をどうまとめて終わらせるのだろうと思ったのでした。心配したのかな。

    だけど、数分の余韻のある終わらせ方には感心したんだな。監督の力量を確認できました。いまの時代、「ノッティングヒルの恋人」ような夢物語より、風刺の効いた現代という時代をきりとった物語の方がリアルさんがあっていいんだな。時代を反映するラブ・コメディーです。

    自分的には非常にお薦めする映画です。あの女優さん、本当にいいね。

  • 「ジョルダーニ家の人々」、これは現在の多様な家族のあり方を描いたイタリアドラマの大傑作

    「ジョルダーニ家の人々」、これは現在の多様な家族のあり方を描いたイタリアドラマの大傑作

    丁度1週間前にこんなタイトルのブログを書いたのでした。

    “まいったな。まだこんな知らないイタリア映画があったとは、ロバート・ハリスさんおすすめの映画「輝ける青春」”

    この「輝ける青春」に大感動して、同じ脚本家のサンドロ・ペラトリア、ステファノ・ルッリが担当したイタリアのドラマ「ジョルダーニ家の人々」というDVDを観たのでした。

    上映時間6時間39分という長尺です。このドラマは東京の岩波ホールで2012年に上演された時は「13時40分から3回の休憩を挟み21時15分で終了」というものだったのです。

    DVDでは4枚組です。

    そして、自分は2週間の週末ですべてを見終えました。

    はっきり言います。「傑作」です。現在の家族の問題、社会問題(難民、同性愛というジェンダーの問題)がすべて含まれています。やはり、ミケランジェロとルキノ・ヴィスコンティ、そして(ゴッドファザー)を生んだ国は偉大です。家族が流動化していく先進国の中流階級以上の問題をいろいろなエピソードを交えながら、多層的にドラマは展開していきます。

    尊敬する向田邦子が生きていたら、日本でもこんな脚本を書くだろうな、多分。

    ちなみに、原題は「Le Cose che restano」は”残るもの”という意味だそうです。このタイトルの高尚な意味は自分の思考範囲ではよく分かりません。

    物語の概要です。

    そしてふたたび、大きな愛につつまれる―

    イタリアのある家族の離別と再生を6時間39分にわたって描く感動の大河ドラマ。脚本は「輝ける青春」のサンドロ・ペラトリア、ステファノ・ルッリ

    ローマに暮らすジョルダーニ家は、技術者の父、元医師の母、外務省で働く長男アンドレア、心理学者の長女ノラ、建築を学ぶ次男ニーノ、高校生の三男ロレンツォと、一見不自由のない幸せな家族に見えた。
    しかし三男の不慮の死をきっかけに、家族は心に秘めていた問題や困難に向き合うなかで、一人ずつ家を離れていく。彷徨える者たちが運命のように出会う人々、不法移民の女性とその娘、不治の病のフランス人、戦場で記憶を失った大尉等・・・。
    一本の川がいつか大河の流れとなるように、父と母、アンドレア、ニーノ、ノラ、それぞれの運命と人生は、ふたたび織りあわされて、血のつながりや民族を越え、より大きな家族を成してゆく
    ラストシーンのジョルダーニ家の開け放たれた窓のように、さらに豊かに、開かれた未来に向かって―。

    自分の備忘録として、配役を記しておきます。自分的には、この映画はアンドレア・ニーノ・ノラの3兄弟とシャーバの物語と思います。特にニーノとシャーバが最高の立ち回りを演じています。

    アンドレア 演 – クラウディオ・サンタマリア 長男。

    ノラ  – パオラ・コルテレージ 長女。心理カウンセラー。

    ニーノ  – ロレンツォ・バルドゥッチ(イタリア語版) 次男。建築学専攻の大学生。

    ピエトロ  – エンニオ・ファンタスティキーニ 父。技術者。

    アニタ  – ダニエラ・ジョルダーノ 母。

    ロレンツォ  – アレッサンドロ・スペルドゥーティ 三男。

    シャーバ  – ファリダ・ラウアジ

    アリナ  – レイラ・ベクティ シャーバの娘。娼婦。

    シモーネ・ニコライ教授 – ヴィンチェンツォ・アマート

    フランチェスカ  – アントニア・リスコヴァ シモーネの妻でインテリア・デザイナー。

    カタルド刑事  – フランチェスコ・シャンナ 潜入捜査官。

    ミシェル 演 – ティエリー・ヌーヴィック ノラの患者であるフランス人の銀行員。

    ヴァレンティーナ  – ヴァレンティーナ・ダゴスティーノ ニーノの幼なじみの親友で同じ大学で建築を専攻している女子学生。

    ヴィットリオ・ブラージ大尉 演 – エンリコ・ロッカフォルテ ノラの患者。

    いろいろな講釈を述べましたが、是非、心を構えて見るドラマです。

    必観でしよう。考えさせられます。この感じ、やっぱりイタリアしか作れないんだろうな。