タグ: アウシュビッツ

  • 映像も余韻も心がまさにざわつく映画だよね、まさに快作「関心領域」

    映像も余韻も心がまさにざわつく映画だよね、まさに快作「関心領域」

    2024年6月1日(土)

    バンコクの旅のブログが始まっていますが、今日は急遽、映画の話しを。

    バンコクから帰国してすぐに観に行きたかったのが「関心領域」(原題:The Zone of Interest)です。やっぱりカンヌとアカデミー受賞作には敬意を払います。

    映画はこんな感じ。

    「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」のジョナサン・グレイザー監督がイギリスの作家マーティン・エイミスの小説を原案に手がけた作品で、2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でグランプリ、第96回アカデミー賞で国際長編映画賞を受賞。ホロコーストや強制労働によりユダヤ人を中心に多くの人びとを死に至らしめたアウシュビッツ強制収容所の隣で平和な生活を送る一家の日々の営みを描く。

    タイトルの「The Zone of Interest(関心領域)」は、第2次世界大戦中、ナチス親衛隊がポーランド・オシフィエンチム郊外にあるアウシュビッツ強制収容所群を取り囲む40平方キロメートルの地域を表現するために使った言葉で、映画の中では強制収容所と壁一枚隔てた屋敷に住む収容所の所長とその家族の暮らしを描いていく。

    カンヌ国際映画祭ではパルムドールに次ぐグランプリに輝き、第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞、音響賞の5部門にノミネートされ、国際長編映画賞と音響賞の2部門を受賞した。出演は「白いリボン」「ヒトラー暗殺、13分の誤算」のクリスティアン・フリーデル、主演作「落下の解剖学」が本作と同じ年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したサンドラ・ヒュラー

     

    観ての感想。話しはもちろんシンプルです。アウシュビッツ強制収容所のヘス所長の家族の模様を淡々と描きます。歴史の細かいことを知らないのですが、この所長はすぐに亡くなったのかな、あの描き方からして。

    感触はザラつく不思議な終わり方ですね。結論めいたことは一切なし。カメラワークも秀逸です。ほとんどアップなしの、無関心を装うような引いたカメラワークに終始しています。

    結局、この所長も組織の一員で職務を完璧にこなした組織の一つのコマということかな、異動辞令もあり、組織ありき。だけど、ヒムラーとヒトラー、本当に誰が組織を動かしていたのかな、もう指揮命令系統が分かるようでわかりません

    展開展開で単色のスクリーンが続く構成。音楽の不器用和音。あのアニメの少女の描き方、何を表しているのか、自分にはわかりませんでした

    最後のエンドロールを観て、奥さんはサンドラ・ヒュラーなのか、今、ドイツの中年女役をやらせたらこの人ピカ一だよね、美人ではないけれど。

    だけどお母さんはどうしていなくなったのかな、理由がわかりません。

    いろんな含蓄を含む映画で、まさしく快作で不思議な余韻を残す映画です。監督の十中にハマっているね。

    観終われば、ざわついた心を鎮めに渋谷の「喜楽」へ。なんと、窓には喜楽グッズの販売が始まっています、やり過ぎ、だけど売れると思う。

    14時ですので、待ちなしでカウンターへ。チャーシュー麺美味し

    ざわついた心を鎮めてくれました。ご馳走様でした。

    映画「逆転のトライアングル」は2作品連続でパルム・ドール獲得という偉業、あのバレンシアガ顔には驚いた

     



  • 政治家よ、外遊する暇があれば「シモーヌ – フランスに最も愛された政治家」を観ろよ

    政治家よ、外遊する暇があれば「シモーヌ – フランスに最も愛された政治家」を観ろよ

    2023年8月22日(火)

    今日も映画の話しになるのですが、近年観た映画の中でその実在した登場人物に最大の衝撃を受けたのです。現代にこんな人がいたのかと。その映画とは

    • 「シモーヌ – フランスに最も愛された政治家」
    • 2022年フランス年間興行成績No.1 10週連続トップテン入り 240万人動員のロングランヒット

    自分は不覚にもこの人のことを知らなくて、ノーマークだったので、あまり関心がない中で映画を観に行ったのです。日比谷で時間は10時30分の回です。映画館に行ってビックリしたのは、かなり多くの人が詰めかけていたことです。この光景にはビックリです。皆んないい映画を知っているのね。この動員数は綾瀬はるか選手もタランティーノも負けているね。

    何の先入観も持たずに観たので、特別に感動したのです。監督はオリヴィエ・ダアンという人です。

    簡単にシモーヌ・ヴェイユのことを語ると、弁護士で政治家、EUの初代欧州議会議長(直接選挙制のもと)でアウシュビッツの生還者ということかな。

    1974年パリ、カトリック人口が多数を占め更に男性議員ばかりのフランス国会で、シモーヌ・ヴェイユ(エルザ・ジルベルスタイン)はレイプによる悲劇や違法な中絶手術の危険性、若いシングルマザーの現状を提示して「喜んで中絶する女性はいません。中絶が悲劇だと確信するには、女性に聞けば十分です」と圧倒的反対意見をはねのけ、後に彼女の名前を冠してヴェイユ法と呼ばれる中絶法を勝ち取った。1979年には女性初の欧州議会議長に選出され、大半が男性である理事たちの猛反対の中で、「女性の権利委員会」の設置を実現。女性だけではなく、移民やエイズ患者、刑務所の囚人など弱き者たちの人権のために闘い、フランス人に最も敬愛された女性政治家。その信念を貫く不屈の意志は、かつてアウシュビッツ収容所に送られ、“死の行進”、両親と兄の死を経て、それでも生き抜いた壮絶な体験に培われたものだった。

    『エディット・ピアフ 愛の讃歌』『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』に続き世紀の女性を描く3部作の渾身のラストとしてオリヴィエ・ダアン監督が完成させた本作は、公開初週NO.1に躍り出た後10週連続トップ10入りのロングランヒット、240万人を動員し2022年フランス国内映画の年間興行成績NO.1の記録を樹立。2017年に89歳で生涯を閉じた際には、国中がシモーヌ・ヴェイユ死去のニュース一色となり、国葬が執り行われ、キュリー夫人などの偉人たちが眠るパンテオンに5人目の女性として合祀されたが、未だその人気は衰えないことが証明された

    アウシュビッツの過酷な体験がこの人の活動の源です。そして全体主義を忌み嫌う精神は鋼のようです。日本の政治家は全員打ち首獄門(皆さん存在自体に恥を知るべきです)ですが、世界中の自由主義社会の政治家も頭をたれるべきです。独裁主義や全体主義に対して明確な意思表示をする人が少ないのは悲しいね、フランスの現大統領も商売のためなら彼の国にひざまずくような発言を平気でするしね

    日本の政治家もフランスに行ってあんな恥ずかしい写真をとるなら、この映画を日本で観て、少しは勉強しろよ。

    だんだん興奮してきましたが。本当に皆さん観るべき映画ですよ。比べることは難しいすですが、戦後の女性政治家ではサッチャーと同格ぐらいのインパクトのある人ですね。

    その後は、今日も銀座の「はしご」で排骨担々麺をね。まずは瓶ビールでのどの消毒です。

    排骨担々麺やっぱり旨すぎです。いい映画の余韻に浸りながら、最高です。

    「お葬式」を観て伊丹十三の偉大さを再確認、結局、日本映画は黒澤と伊丹だけじゃないのかな