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  • ビクトル・エリセの31年ぶりの映画「瞳をとじて」、監督は何を言いたかったのだろうか

    ビクトル・エリセの31年ぶりの映画「瞳をとじて」、監督は何を言いたかったのだろうか

    2024年2月17日(土)

    昨日より確定申告の受付が始まりました。自分は良い子なので、初日の午前に税務署に提出してきました。e-Taxで提出済みなのですが、添付資料などの提出も含めて、税務署の提出窓口で確認も兼ねてです。青色申告と外国株の現地源泉税の還付もあり、少し複雑な確定申告なのです。提出して思ったのは、マイナンバーカードに紐付けられているのか、証券会社の資料なんかは必要ないことになったんだね

    だけど、還付金入金には一月半掛かりますと窓口で言われたのですが、e-Taxになっても全く迅速な処理になっていないことは唖然とさせられます、大丈夫か、この国。

    税務署を後にして、心はすっきり、また1年解放されます。

    というわけで時間的にも丁度よい、「ミツバチのささやき」などで知られるスペインの巨匠ビクトル・エリセが31年ぶりに長編映画「瞳をとじて」を渋谷のヒューマンシネマに観に行くことに。今日のお昼の回は結構お客さんが入っていたよ、年配の方がね。

    ストーリーはこんな感じの元映画監督と失踪した人気俳優の記憶をめぐって繰り広げられる物語を描いたヒューマンミステリーです。

    映画監督ミゲルがメガホンをとる映画「別れのまなざし」の撮影中に、主演俳優フリオ・アレナスが突然の失踪を遂げた。それから22年が過ぎたある日、ミゲルのもとに、かつての人気俳優失踪事件の謎を追うテレビ番組から出演依頼が舞い込む。取材への協力を決めたミゲルは、親友でもあったフリオと過ごした青春時代や自らの半生を追想していく。そして番組終了後、フリオに似た男が海辺の施設にいるとの情報が寄せられ……。

    2023年製作/169分/スペイン
    原題:Cerrar los ojos

    映画の中では興味あるところはここかな。

    「コンペティション」のマノロ・ソロが映画監督ミゲル、「ロスト・ボディ」のホセ・コロナドが失踪した俳優フリオを演じ、「ミツバチのささやき」で当時5歳にして主演を務めたアナ・トレントがフリオの娘アナ役で出演

    自分的な感想としては、監督が31年ぶりにメガホンをとったのは、結局何が訴えたいのか、自分にはよくわかりません。単純なミストリーの娯楽映画かのかな、映画へのオマージュ(これは考えすぎかも)。

    「ミツバチのささやき」が政治的な意図が明白だったので、その対比として、この映画はどうなんだろう。構成としては少し難解なので、最初はまごつくね。娯楽作としては落ち着いた演出で好感がもてます。2時間ほどの尺にすればもっとよかったのかも。

    系譜的にはトルナトーレの「ある天文学者の恋文」のような位置づけかな、監督としてのキャリアでは。アナ・トレントは普通におだやかに年をとっており映像を見て安心しました。

    少し凝ったシナリオで楽しませていただきました。是非、劇場に足を運んで観てください。

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  • スペイン映画の「ミツバチのささやき」は独裁政治への反抗メッセージとは

    スペイン映画の「ミツバチのささやき」は独裁政治への反抗メッセージとは

    2023年9月15日(金)

    本日も映画のお話しから。ようやく“午前十時の映画祭”も夏休みモードから通常モードに戻ってめでたしです。

    そして、本日はその映画祭シリーズから、「ミツバチのささやき」という1973年に製作されたスペイン映画です。今回の上映では、町山智浩氏による解説映像付き上映会とのことです。

    解説付きということは、説明の必要な映画なのかな。

    タイトルからしてメルヘンチックな映画なのか。自分は初めて観る映画です。

    あらすじはこんな感じです。

    一人の少女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのある小さな村に『フランケンシュタイン』の巡回上映がやってくる。6歳の少女アナはスクリーン上の怪物を精霊と思い、姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞いたアナは、ある日、その家を訪れる。そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出会い……。

    監督:ビクトル・エリセ

    何も先入観を持たずに観ての第一印象。ヨーロッパ映画の意識高い系の映画なのかな。妖精が何か意味しているのかな。メルヘンチックな映画と思った次第です。これがどうしてそんなに高い評価を受けるのか全く分からずじまいです。

    上映後の町山さんの解説を聞いてこの映画を味方が180度変わったのでした。

    これはスペインのフランコ将軍による独裁弾圧政治に対する反抗と未来への希望を表しているというのです。氏によれば、この解釈はフランコ死後のスペインが民主化されて監督や脚本家が真の意味を語っているとのこと。

    このお父さんは養蜂を営んでいるのですが、ハチ箱はスペイン、ハチはスペイン人のことを暗喩しているとのこと。主要登場人物は4人。

    • (父)知識があり富裕層だが弾圧を恐れ、政権から目をつけられないように振る舞う人
    • (母)フランコ以前の昔の普通のスペインに思いを馳せている人、現実逃避の人
    • (長女・イザベラ)フランコ独裁政権が当たり前と思っている世代、焚火を飛び越えるシーンなどで表している
    • (次女・イザベラ)フランコ政権の悪が理解できない無垢な人、未来のスペイン人

    このような役割が、わかる人にはわかるように映画の中の描写に託しているとのこと。この映画のもうひとつの鍵はフランケンシュタインですが、無垢なイザベラは何の先入観もなくフランケンシュタインと対峙しているのも、イザベラのキャラクター作り。

    そして、傷ついた兵士はキリストを暗示しているとのこと。

    そして、製作・公開された時(フランコ存命時)には検閲がを逃れるために、一見すれば子供向けのお化け映画(フランケンシュタイン)にしたとのこと。だから、フランケンシュタインも登場。

    だけど反フランコのスペイン人は映画を観て、この反フランコのメッセージを理解した。但し、スペイン以外ではこんな解釈は後になって知ったとのこと。当然、日本公開時もヒットしたけど、メルヘンチックな映画ということで話題になったとのことでした。

    今日はこの解説を聞けただけでも劇場に足を運んだかいがありました。

    ギレルモ・デル・トロの「パンズ・ラビリンス」はこの物語を分かりやすくリメイクしたものということです。

    終われば、当然ここは日本橋、「京都銀閣寺ますたにラーメン」に直行です。

    今週3回目だよ。何故なら、来週後半からフィンランドのヘルシンキに急遽遊びにいくことになったのでね。何せ、航空券が安かったもので。

    政治家よ、外遊する暇があれば「シモーヌ – フランスに最も愛された政治家」を観ろよ