スペイン映画の「ミツバチのささやき」は独裁政治への反抗メッセージとは

2023年9月15日(金)

本日も映画のお話しから。ようやく“午前十時の映画祭”も夏休みモードから通常モードに戻ってめでたしです。

そして、本日はその映画祭シリーズから、「ミツバチのささやき」という1973年に製作されたスペイン映画です。今回の上映では、町山智浩氏による解説映像付き上映会とのことです。

解説付きということは、説明の必要な映画なのかな。

タイトルからしてメルヘンチックな映画なのか。自分は初めて観る映画です。

あらすじはこんな感じです。

一人の少女が体験する現実と空想の交錯した世界を繊細に描き出した作品。スペインのある小さな村に『フランケンシュタイン』の巡回上映がやってくる。6歳の少女アナはスクリーン上の怪物を精霊と思い、姉から怪物は村外れの一軒家に隠れていると聞いたアナは、ある日、その家を訪れる。そこで一人のスペイン内戦で傷ついた負傷兵と出会い……。

監督:ビクトル・エリセ

何も先入観を持たずに観ての第一印象。ヨーロッパ映画の意識高い系の映画なのかな。妖精が何か意味しているのかな。メルヘンチックな映画と思った次第です。これがどうしてそんなに高い評価を受けるのか全く分からずじまいです。

上映後の町山さんの解説を聞いてこの映画を味方が180度変わったのでした。

これはスペインのフランコ将軍による独裁弾圧政治に対する反抗と未来への希望を表しているというのです。氏によれば、この解釈はフランコ死後のスペインが民主化されて監督や脚本家が真の意味を語っているとのこと。

このお父さんは養蜂を営んでいるのですが、ハチ箱はスペイン、ハチはスペイン人のことを暗喩しているとのこと。主要登場人物は4人。

  • (父)知識があり富裕層だが弾圧を恐れ、政権から目をつけられないように振る舞う人
  • (母)フランコ以前の昔の普通のスペインに思いを馳せている人、現実逃避の人
  • (長女・イザベラ)フランコ独裁政権が当たり前と思っている世代、焚火を飛び越えるシーンなどで表している
  • (次女・イザベラ)フランコ政権の悪が理解できない無垢な人、未来のスペイン人

このような役割が、わかる人にはわかるように映画の中の描写に託しているとのこと。この映画のもうひとつの鍵はフランケンシュタインですが、無垢なイザベラは何の先入観もなくフランケンシュタインと対峙しているのも、イザベラのキャラクター作り。

そして、傷ついた兵士はキリストを暗示しているとのこと。

そして、製作・公開された時(フランコ存命時)には検閲がを逃れるために、一見すれば子供向けのお化け映画(フランケンシュタイン)にしたとのこと。だから、フランケンシュタインも登場。

だけど反フランコのスペイン人は映画を観て、この反フランコのメッセージを理解した。但し、スペイン以外ではこんな解釈は後になって知ったとのこと。当然、日本公開時もヒットしたけど、メルヘンチックな映画ということで話題になったとのことでした。

今日はこの解説を聞けただけでも劇場に足を運んだかいがありました。

ギレルモ・デル・トロの「パンズ・ラビリンス」はこの物語を分かりやすくリメイクしたものということです。

終われば、当然ここは日本橋、「京都銀閣寺ますたにラーメン」に直行です。

今週3回目だよ。何故なら、来週後半からフィンランドのヘルシンキに急遽遊びにいくことになったのでね。何せ、航空券が安かったもので。

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