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  • オリヴェイラの「アブラハム渓谷」、本当の愛に飢えていたのか、映像美の頂点

    オリヴェイラの「アブラハム渓谷」、本当の愛に飢えていたのか、映像美の頂点

    2025年5月13日(火)

    昨日は週初めの月曜日、何の映画を観に行こうかな。思案のしどころです。

    もう観に行くことはないとこのブログでも宣言した、この監督の映画を観に行ったのです。これはやっぱり今回観ておかないともう観れないと思ってね。

    “オリヴェイラ2025  没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集”

    観たのはオリヴェイラのこの大作。

    • 「アブラハム渓谷 完全版」 国内劇場初公開

     

    ポルトガルの巨匠マノエル・ド・オリベイラ監督による1993年の映画「アブラハム渓谷」を、98年にオリベイラ監督が自ら再編集し15分の未公開シーンを追加した完全版。

    19世紀フランスの作家フローベールの小説「ボヴァリー夫人」をポルトガルの女性作家アグスティーナ・ベッサ=ルイスが翻案した小説「アブラハム渓谷」を原作に、男性的な世界に詩的な想像力で抵抗する女性の苦悩を描き、オリベイラ監督の代表作のひとつとなった。

    オリベイラ監督作の常連俳優レオノール・シルベイラが主人公エマを演じて世界的に注目を集め、同じくオリベイラ監督作に多数出演するルイス・ミゲル・シントラ、イザベル・ルトが共演。

    2025年4月開催の特集上映「オリヴェイラ2025 没後10年 マノエル・ド・オリヴェイラ特集」にて、ディレクターズカット版ともいえる「完全版」を劇場初公開。

    1993年製作/203分/G/フランス・ポルトガル・スイス合作
    原題または英題:Vale Abraao

    映画としての完成度、映像美は超一級品。ヴィスコンティほど貴族ぽくなく、フェリーニほど風刺を効かせていません。ヨーロッパ文芸映画の最高峰でしょう。

    但し、自分的には“何を言いたいのか”わかりませんでした。本当の愛に飢えていたのか、その美貌に振り回された自分と周囲。とにかく不思議な感覚の映画でした。

    あの渓谷の美はすばらしい、だけどあそこだけで閉じている世界、何か狂いそう。

    やっぱり一部の富裕層の戯れなのかな。あんな暗喩的な会話をする社会には入りたくないな、本音。2,300円の価値はありました。

    これで正真正銘、オリベイラは打ち止めです、この特集、堪能させていただきました。

    観終われば、ここは渋谷、しかも月曜日。ここしかないでしょう。

    道玄坂の「喜楽」さんへ直行です。14時に到着、行列はなし、ラッキー

    いつものあれ、“チャーシュー麺”(1,050円)でした。本日はチャーシューの枚数多し。厨房の彼と目でエールの交換をしたもの

    本日もご馳走様でした。

    ヨーロッパの文芸大作と喜楽、どうも結びつかないね、まあいいか。

    2010年の夏に家族でチュニスに行った思い出、半年後にアラブの春が起こった。チュニスでジャスミン革命勃発

     



  • オリヴェイラ「訪問、あるいは記憶、そして告白」、生活にもセンスの良さを感じるね

    オリヴェイラ「訪問、あるいは記憶、そして告白」、生活にもセンスの良さを感じるね

    2025年4月26日(土)

    いよいよ世の中は。本日から“いわゆる”GW突入なんだね。だけど自分には関係ないので知らなかったのですが、今年は日並びが相当に悪いんだね、労働者の皆さん、残念でした。

    そして、まずは昨日の活動報告です。まずはこの監督の映画を観に、渋谷のル・シネマへ

    マノエル・ド・オリヴェイラの「夜顔」を先日観て、感銘を受けたのでね

    100歳を超えてもなお映画を作り続け、現役最高齢の監督として世界中で話題と尊敬を集めた、マノエル・ド・オリヴェイラ。「私はシネマトグラフの映画監督だ」「映画とは何か?それは幻影だ。」と語り、「シネマトグラフ」を発明したリュミエール兄弟や「映画の魔術師」ジョルジュ・メリエスなど最初期の映画との連なりを強く意識するオリヴェイラは、まさに映画史を体現する唯一無二の存在

    観たのはこちら。

    • 「訪問、あるいは記憶、そして告白」

    オリヴェイラ自身が暮らしたポルトの家、家族、そして自らの人生を辿る自伝的な作品。自らの死後に発表するように言付けられ、2015年にポルト、リスボン、カンヌ国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された。

    1982年/ポルトガル/68分/原題:Visita ou Memórias e Confissões

    国内劇場初公開

    観ての感想。個人的には感銘を受けたね、あの映画で紹介された家に約40年間住んだそうですが、非常に趣味の良い家と家具です。だけど、今の時代にはあまりにも広すぎて使い勝手が悪そうですね。オリヴェイラの哲学的な考え方も自身で話すので、後世の人たちにとっては非常によいことだね、監督業として。

    著名な監督もこうゆう自伝的なフィルムを残せばいいのにね、プライベートは別か。

    自分が驚いたのは、こんな本当に地味な映画なのに席がかなり埋まっていたこと(2割程度でも凄いことだと思います)

    スペインの政治闘争は知っていましたが、隣国のポルトガルでも政治闘争はあったんだね、彼もゲシュタボに捉えられて投獄された体験を語っています。

    もうオリヴェイラの作品を観ることはないと思うけれど、ヨーロッパの知識人、ここにあり。

    観終われば、ここは渋谷。本日向かったのはこちらの表参道のラーメン屋「一蘭」。ここは少し穴場で行列が少ないのでね。12時ですが、ほぼ5分待ちで入店できました。

    日本人の方が少ない不思議なラーメン屋さんですね、あのシステムが口コミや情報誌で有名なんだろうね、味は彼らには合わないと思うのですが。

    それはさておき、自分の注文です。“ラーメン”と“替え玉”です。これで1,300円超え

    お味はいつもの一蘭。ご馳走様でした。

    2021年のGWにヴィスコンティの超大作「ルートヴィヒ」を見た。すごいものを観たの一言





  • オリヴェイラの「夜顔」を観たよ、ヨーロッパの気品漂う映像、話しは違いますが

    オリヴェイラの「夜顔」を観たよ、ヨーロッパの気品漂う映像、話しは違いますが

    2025年4月23日(水)

    昨日の火曜日も渋谷のル・シネマさんへこの監督の映画を観るために足を運んだよ。

    マノエル・ド・オリヴェイラ(1908-2015)さん、 1908年12月11日、ポルトガル北部の都市ポルト生まれ。

    1963年に長編第二作『春の劇』を監督するも、発言が問題視され投獄された。1974年に独裁政権が終わると、80年代以降は旺盛に作品を発表。ヨーロッパで注目を集める。1985年、超大作『繻子の靴』を出品したヴェネチア国際映画祭で特別金獅子生涯功労賞、1991年には『神曲』が同映画祭の審査員特別賞を受賞。『クレーヴの奥方』(99)でカンヌ国際映画祭審査員賞、同映画祭の名誉パルム・ドールを2008年に受賞している。2015年4月2日、106歳で死去

    自分はこのオリヴェイラという監督、知りませんでした。怖いもの観たさで劇場へ。

    そして、観たのはこちらのこの映画。

    • 「夜顔」

    2006年/ポルトガル、フランス/フランス語/ヨーロッパ・ビスタ/69分/原題:Belle Toujours
    監督・脚本:マノエル・ド・オリヴェイラ/撮影:サビーヌ・ランスラン/製作:ミゲル・カディリェ
    出演:ビュル・オジエ、ミシェル・ピコリ、リカルド・トレパ、レオノール・バルダック
    ルイス・ブニュエル監督作『昼顔』(1967)の登場人物たちの38年後を描く。ミシェル・ピコリが再び「アンリ」役で登場。カトリーヌ・ドヌーヴが演じた「セヴリーヌ」にはビュル・オジエが扮する。

    観た感想。監督96才の時の映画。1時間9分の映画だけれど、気品漂う映画だね。パリの街のの写し方がすばらしい、映画って、こんなに簡単にとってもいいんだね、まあ巨匠ですので。昼顔を観ていなくても大丈夫。そして、終わり方のぶつ切りさもすごいね。

    予算はかけなくてもこんな素敵な映画がとれるんだね。感心しました。フェリー二やヴィスコンティなどとは違う美意識があるよね。素晴らしかったよ。

    そして、観終われば渋谷ですので、こちらへ。いつもの道玄坂の「喜楽」さんへ。行列はなし、本日の1Fホールのベテランの御婦人二人共いらっしゃらず、珍しいこともあるのね。

    カウンターの隣席の人はビールと焼豚のつまみ。チャーシューを単独で注文している人を見るのは喜楽では初めてかな。

    自分はいつもの“チャーシュー麺”(1,050円)です。ご馳走様でした。

    「午前十時の映画祭」、映画館の大画面でフェリーニの屈指の名作「8 1/2」を観て、改めて尊敬し直した、巨匠に対して失礼かな?





  • リスボンへの旅の目的はロカ岬、ユーラシア大陸の最西端「ここに地終わり、海始まる」感極まる

    リスボンへの旅の目的はロカ岬、ユーラシア大陸の最西端「ここに地終わり、海始まる」感極まる

    こんな時だからこそ、旅の思い出を話したいと思います。

    写真を見ると、2011年の夏はスペインとポルトガルに行ったんだな。スペインと言っても、南のコスタ・デル・ソル(Costa del Sol)、意味は太陽海岸、の主要都市を回ってバルセロナからアウトしたのでした。

    旅のスタートはポルトガルはリスボンからです。リスボンは一言で言うと、チンチン電車やいわしの塩焼きなどが日本と同じなどですが、自分の感想では、さびれ感が半端ない街ということです。

    夕方、夕闇の裏通りで写真をとろうものなら、その寂寥感が半端ないのです。リスボンと聞いて思うのがまずこれです。

    但し、空港は南国に着いたと思わせる雰囲気の空港周辺の風景です。

    リスボンに行った目的は、地の果てと呼ばれる、ヨーロッパの最西端にあるロカ岬に一度は行ってみたかったのです。

    大海原の向こうはアメリカ大陸、ニューヨークですね。憧れる風景です。

    ポルトガルの詩人、ルイス・デ・カモンイスが書いた詩の一節「ここに地終わり、海始まる」と記された碑が立っています。

    そして、自分が組み立てた1日観光ルートはリスボンロシオ駅から世界遺産のシントラに行き、そこからロカ岬に行き、ぐるっと南を1周してリスボンに帰ってこようというものです。

    リスボンロシオ駅からシントラまでは電車で40分ほどです。駅前にはバスが待機していますので、シントラの宮殿まではこのバスに乗車して行きます。

    夏の観光シーズンですので、バスは混んでいましたね。

    ただ、シントラは王族の避暑地だけあって、建物に入れば、すずしい風が入ってきて、快適にすごせます

    そして、シントラ駅に戻り、バスでロカ岬に向かいます。約40分ほどでロカ岬に到着します。

    ロカ岬に来ると、やっぱりユーラシア大陸の最先端に来たんだな、という達成感があります。

    荒涼とした大地です。崖の下には怖いくらいの険しい崖と海です。

    そして、風が強いのなんの。女性の人はスカートは避けた方が無難です。

    バスが停車するインフォメーションでは、最西端到達証明書(有料)を発行してくれます。

    ロカ岬を堪能した後は、来たコースをもどらず、ファロ(Faro)という港町の街まで鉄道で行き、そこでランチでも食べれば最高です。2時過ぎの遅いランチです。

    そこから長距離が集合する大きなバスターミナルがありますので、バスに乗車しリスボンに戻ったのでした。

    そして、この旅の中盤で滞在した街がスペインのセビリア(Sevilla)です。

    実はそこで初めてフラメンコを見て、感激したのでした。出会いは街中を散策していると偶然にタブラオを見つけたのでした。お店の名前は「Los Gallos。お店の人に今日の夜のチケットあるかと聞くと、あると言うので購入したのでした。

    後で調べると有名なタブラオだったのです。非常にこじんまりとした空間です。

    初めて見たフラメンコだったのです。おやじの泣きの声にしびれたのでした。

    セビリアに行かれたら、是非、訪問して下さい。

    ドゥブロヴニクのスルジ山頂のレストランは眺めが最高、絶対食事するべき





  • 哀愁漂う写真を撮りたければ、リスボンの裏道に行くべし、哀愁漂いすぎ

    哀愁漂う写真を撮りたければ、リスボンの裏道に行くべし、哀愁漂いすぎ

    家族でポルトガルのリスボンに行ったときの話し。

    まず、リスボン空港がこれまたよろしい。なんとなくさびれた空港を想像しがちですが、空港から町中に向かう中で南国に来たという感じがする、とてもすてきな風景が広がります。空港も市内から近く、便利のよい空港。

    この町の良さは昼間ではなく、夜の裏町にあります。写真のとおり、夕食でもとりに外の裏町に行くと、こんな感じの写真がバシバシ撮れます

    もう哀愁漂いすぎです。なかなかこんな風景、リスボン以外では普通に撮れないと思います。写真を加工しなくてもセピア色になります。

    リスボンの裏道は本当に哀愁が漂っています。ディナータイムでも、裏道、人が歩いていません。それでいて、危険は全く感じません。不思議な町です。

    ここに住みたいかといわれると、疑問符はつきますが、バカ騒ぎしない観光に行くにはよい町です。町中の電車も人とすれ違い際に触れそうな感じで走っていきます。

    食事もよく言われるように、日本人の舌に合います。イワシの塩焼きは有名。醤油でも持参すれば日本の味になります。イワシの塩焼きはそこらのさびれた町の食堂で食べれば、またおつなものです。リスボンに行くなら、簡易型の醤油を持っていくべし

    我々家族はいけませんでしたが、この哀愁漂うリスボンでは、是非、ファドを見られることをお薦めします。

    スペインとは隣同士の国ですが、なんとなく日本人にはポルトガルの方が合いそうです。

    そんな感じ。

    リスボンへの旅の目的はロカ岬、ユーラシア大陸の最西端「ここに地終わり、海始まる」感極まる





  • ユーラシア大陸最西端のロカ岬で涙にむせぶ~ここに地終わり海始まる~

    ユーラシア大陸最西端のロカ岬で涙にむせぶ~ここに地終わり海始まる~

    ある年の夏にポルトガルのリスボンに旅行に行った時の話し。

    一度は行ってみたかった、太平洋最西端のロカ岬。本当に「ここに地終わり海始まる」(Onde a terra acaba e o mar começa)の石碑が立っていた

    朝にリスボンのホテルからまずは、有名な観光地のシントラに行った。ここは王家の避暑地。鉄道で行ける。立派なお城を一通り見学。案内のとおり、建物の日陰に入ると本当に涼しくて、のんびりしたい人にはぴったり。汗がサッと引く感じが心地よい。

    まあ、2時間程度見ておけばよいかなという観光地

    次に乗り合いの路線バスで本当の目的地のロカ岬に行った。崖が切り立って、広い広場があるロカ岬。施設の建物から崖まで少しあるいていくと、下は断崖絶壁。落ちたら確実に死ぬ。自殺の多いところかどうかは知らないが、自殺する人も多いと思う

    天気はよいのに、本当に風が強いところ。だから、スカートをはいていかないこと。私の連れもスカートを履いていって大苦戦。

    そして本当に「ここに地終わり海始まる」の石碑があった。これを見ると、どうしても感傷的になり、写真をとりたくなる。なんたって、広い広いユーラシア大陸の西の果て。

    この海の先はアメリカ大陸。よくぞ、ここまで来たと思わない人はいないと思う

    そういえば、NHKで放映された故戸井十月さんのユーラシア大陸横断の旅のオートバイの出発地がここロカ岬だったのを思い出した。

    景色が絶景の観光地ではないが、ここは是非、一度は見てみるべき場所だと思った。

    それから、バスでリスボンに戻った。但し、ロカ岬から出る乗り合いバスは夏でも本数は多くなかったと思います。

    ロカ岬よいとこ、一度は行って見るべし。

    哀愁漂う写真を撮りたければ、リスボンの裏道に行くべし、哀愁漂いすぎ