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  • 「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」が終る。やっぱり、太陽が知っている・ルートヴィヒ・追想だね

    「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」が終る。やっぱり、太陽が知っている・ルートヴィヒ・追想だね

    8月中旬から上映が始まった「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」については、「太陽が知っている」を観に行って先日もそのブログを書いたところなのですが、その後結局は自分が見ていなかったロミー・シュナイダー出演の映画を3本ほど観に行ったのです。

    既に観に行ったものも含めて、今回の映画祭で上映された映画はすべて見たということになりました。今回は自分の備忘録も含めて、その感想を記しておきたいと思うのです。

    今回の「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」で上映されたのは次の7本です。

    • 『離愁 4Kデジタルリマスター版』
    • 『地獄』
    • 『太陽が知っている 4Kデジタルリマスター版』
    • 『夕なぎ』
    • 『マックスとリリー』
    • 『サン・スーシの女』
    • 『華麗なる女銀行家 4Kデジタルリマスター版』
    • 『地獄』

    そして、「太陽は知っている」は別にして、追加で観た3本は、「離愁」「華麗なる女銀行家」「マックスとリリー」です。映画として面白かったのは「マックスとリリー」かな。なんと古い映画ですが日本で劇場初公開とのこと。娼婦役ですが、フィルム・ノワール感満載の佳作ですね。この役をカトリーヌ・ドヌーヴからロミー・シュナイダーが奪ったとのこと。それもそさりなんと思います。

    「地獄」は監督に焦点を当てたドキュメンタリーなので「情婦マノン」「恐怖の報酬」などで知られる名匠の監督のアンリ=ジョルジュ・クルーゾーに思い入れがなければあまり面白い作品ではないな。

    だけど驚いたのは、自分が観た回のどれもが、シニア層特にシニアの女性層でほぼ一杯になった映画館というものを初めて観たのです。みんなノスタルジックな感覚に浸りたいのかな。

    そんな渋谷でのロミー・シュナイダー祭も9/8(木)で一旦は終了のようです。

    だけど、これでロミー・シュナイダーの出演映画のほぼすべてを見たことになると思いますが、やっぱり評価は変わらないな。やっぱりこの3本になりますね。

    • 「太陽が知っている」(アラン・ドロンとの共演)
    • 「ルートヴィヒ」(監督: ルキーノ・ヴィスコンティ)
    • 「追想」(あのニュー・シネマ・パラダイスのフィリップ・ノワレとの共演)

    映画的には卒倒するほどの美意識映画の「ルートヴィヒ」が圧倒的ですが、「太陽が知っている」の白い水着もいいし(コレばっかり言っていて変態だな)、「追想」の火炎放射器もすごいぞ、と言いたいですね。

    特に「追想」はあの内藤陳氏が“コレを観ずに死ねるか”といった映画なのですね。

    思うに、願わくばもう少し多くのヴィスコンティ作品でロミー・シュナイダーを観たかったな。「山猫」のクラウディア・カルディナーレの替わりにロミー・シュナイダーでも良かったと思うのですが。やっぱりイタリアが舞台なら、クラウディア・カルディナーレなのかな?

  • “没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭”が開催中、「太陽は知っている」を観て、大人の女の色気に卒倒してください

    “没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭”が開催中、「太陽は知っている」を観て、大人の女の色気に卒倒してください

    昨日金曜日から上映が始まった映画でその知らせを聞いてから楽しみにしていた映画企画があったのです。そして、その初日に早速、渋谷のBunkamuraにある「ル・シネマ」に足を運んだのでした。

    その企画とは、「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」なのです。そう、あの今は亡き大女優のロミー・シュナイダー(Romy Schneider、1938年 – 1982年)の没後40年を迎えての企画です。まさに、卒倒ものの企画ですね。

    キャッチコピーは、“波乱万丈の生涯を送った、ヨーロッパ映画最高の映画女優 その軌跡をたどる、初の本格的な特集上映”です。

    自分的にも、名女優はたくさんおられますが、ロミー(気安く呼ぶなと言われそうですが)はその美貌ではやっぱり映画史上のNo.1女優だと思うんだな。大人の女を演じさせれば、この人になかなうものはありません。特に、今回観た「太陽が知ってる」の白と黒の水着姿にはまいるんだな。

    だけど、ロミー・シュナイダーで44年間の生涯だったんだな。自分的には彼女の映画でベスト3は下記かな。

    • 「太陽が知っている」
    • 「ルートヴィヒ」(監督: ルキーノ・ヴィスコンティ)
    • 「追想」

    特に、水着以外でのロミーの美貌は「ルートヴィヒ」で炸裂します。自分の親父のヴィスコンティはよくわかっているね。山猫のカルディナーレとは違うね。

    そして、今回の8/5(金)~8/25(木)の特集上映されるのはこの6作品なのです。

    • 『太陽が知っている 4Kデジタルリマスター版』
    • 『マックスとリリー』※日本劇場初公開
    • 『夕なぎ』
    • 『離愁 4Kデジタルリマスター版』
    • 『華麗なる女銀行家 4Kデジタルリマスター版』
    • 『サン・スーシの女』
    • 『地獄』※日本劇場初公開

    このラインナップであれば、いの一番に大画面で見ないといけないのは、「太陽が知っている」でしょう。原題は、「La piscine」で「スイミングプール」という意味ですね。

    あらすじはこんな感じです。

    『太陽が知っている 4Kデジタルリマスター版』(1969年)

    監督:ジャック・ドレー

    出演:アラン・ドロン、ロミー・シュナイダー、モーリス・ロネ、ジェーン・バーキン

    バカンスを過ごしていたジャン=ポール(アラン・ドロン)とマリアンヌ(ロミー・シュナイダー)だが、マリアンヌが招待したハリー(モーリス・ロネ)と娘ペネロープ(ジェーン・バーキン)がやってきてから雰囲気は一変する。

    ハリーはマリアンヌの元恋人で、ジャン=ポールはハリーに劣等感を抱えていたのだ……。陽光降り注ぐサントロペの別荘を舞台に、4人の男女の思惑が官能的かつ不穏に交錯し合う心理サスペンス。かつて恋人同士だったドロンとロミーが後戻りのできない道を歩んでゆくカップルを熱演。

    自分の記憶では、もう少しロミーとアラン・ドロンがプール脇でいちゃいちゃするシーンが多いと思っていたのですが、そんなに多くないのね。そして、ロミーの白い水着姿ばかりと思っていたのですが、そんなにシーン的には多くないのね。人間の記憶ほどあてにならないものはありません。

    若き日のあの泣く子も黙るジェーン・バーキンも出ていますが、ロミーの大人の色気から見れば小娘(いい意味で)ですね。

    そして、舞台は南仏のサントロペです。サントロペと言えば、自分がイチオシの水着ブランドで偏愛するVilebrequin(ヴィルブレクイン)の発祥地なんだな。(超マニアックだね)どうりで舞台がおしゃれすぎます。

    だけど、やっぱりいい映画だったな。ロミーの映画、あといくつ観に行こうかな。

    最後に「追憶」ですが、鉄板の“これを観ずに死ねるか”の映画の一本に挙げられていますよ。ナチに対して火炎放射器が炸裂します。

    こんな映画を見れて、生きててよかった。

  • 2021年のGWにヴィスコンティの超大作「ルートヴィヒ」を見た。すごいものを観たの一言

    2021年のGWにヴィスコンティの超大作「ルートヴィヒ」を見た。すごいものを観たの一言

    2021年のGWに2日間かけて、 ルキーノ・ヴィスコンティの超大作「ルートヴィヒ」(デジタル完全修復版)を自宅で観た。何せ、3 時間 57 分の大作なのです。

    5年間、本棚に置いて、そろそろ熟成が進んだと判断して、意を決して観たのです。

    観た後の感想。一言、「すごいものを観た」。この映画は、ヘルムート・バーガーとロミー・シュナイダー抜きには語れないですね。これをキャスティングした、ヴィスコンティ、やはりすごい洞察力です。こんな映画を、今では製作できる人も監督もいないなと断言できます。

    物語はこんな感じです。

    巨匠ヴィスコンティが悲劇の大帝ルートヴィヒ2世を描ききる

    19世紀、18歳でバイエルン国王に即位したルートヴィヒ2世は音楽家ワーグナーに傾倒し、国の予算を危険にさらすほどの援助を施す。
    従姉のエリーザベト皇后に恋い焦がれるもその恋は叶わず、彼女の妹ゾフィーと婚約するもこれを破棄。
    さらに戦争を嫌った彼は前線に弟のオットーを送り出すもののその弟は帰国後、精神を病んでしまう。
    数々の苦渋に苛まれた彼はいよいよ厭世的になり、美男の従僕たちとの退廃的な暮らしに耽溺。
    国王の役目を果たさないことに業を煮やした官僚たちは、彼から王位を引きはがそうと画策し始める……。

    俗にこのルートヴィヒ2世、神話に魅了され長じては建築と音楽に破滅的浪費を繰り返した「狂王」の異名で知られるわけですが、後に残したものが物語るのが、一般の人には見えていない世界があったいうことでしょう。ノイシュヴァンシュタイン城やバイロイト祝祭劇場を残しただけで、現在のドイツの最大の遺産になっているのですから。

    まさに天才と狂人は紙一重ですね。

    今まで自分が観た映画のトップ3はこの3つです。

    • ゴットファーザー(1)
    • ディア・ハンター
    • ニューシネマ・パラダイス

    だけど監督では、ルキーノ・ヴィスコンティがダントツですね。そして、ヴィスコンティの作品のベスト3は以下の3つだと断言できます。

    • 山猫
    • ルートヴィヒ
    • ベニスに死す

    ヴィスコンティの映画なかで、徹底してひとりの人物に焦点を絞ってその生涯を追ったのは、この「ルートヴィヒ」だけなのです。それほど、ヴィスコンティにとっては魅力的な人物だったのだと想像できます。

    DVDに内包されていた中条省平さんの言葉です。

    「山猫」には、鮮やかな色彩があり、南国シチリアの陽光に輝く空気があり、戦争や舞踏会などスペクタルがあり、悠揚として流麗なカメラの動きがあります。見る者を否応なく物語とイメージとアクションの興奮に巻き込んでいくような映画の快楽があるのです。

    これに対して、「ルートヴィヒ」を満たしているのは、陰鬱に沈む黄昏と暗闇の世界であり、冷たい冬のドイツの雪と霧と雨であり、また、狂気と死にむかって緩慢に進行する主人公の精神と肉体のデカダンスであり、その様相をじっくりと凝視する胸苦しいまでの画面の重さなのです。

    この映画の中ではワーグナーも重要な役割を担っているのです。なんたって、美と芸術に傾倒するルートヴィヒ2世ですから。そのワーグナー楽劇「トリスタンとイゾルデ」のずいぶん昔の記事ですが、作曲家の三枝成彰さんの言葉です。

    実演と心から感動したのは80年代初め、ワーグナー自身が建てた独バイロイト祝祭劇場でみたジャン・ピエール・ポネル演出、ダニエル・バレンボイム指揮の舞台。第1幕の後の休憩で今は亡き映画監督の友人、相米慎二と二人して「参ったな」と言ったきり、口がきけない。2度目の休憩も同じ。すごい体験だった

    2021年のGWは、恐るべしルキーノ・ヴィスコンティの「ルートヴィヒ」体験をしたのでした。