タグ: 伊丹十三

  • 映画「あげまん」を観てつくづく思う、伊丹十三は偉大なり、その後の日本の監督はどうした

    映画「あげまん」を観てつくづく思う、伊丹十三は偉大なり、その後の日本の監督はどうした

    2025年3月25日(火)

    昨日の月曜日は陽気ににもつれられ、いつもの映画鑑賞へ。

    本日は日比谷のTOHOシネマズで上映されている「日本映画専門チャンネルpresents 伊丹十三4K映画祭」に初参戦しました。観たのはこちら。

    • 「あげまん」

    “あげまん(上昇運)の女”と呼ばれるヒロインと彼女に携わる男たちの葛藤をユーモラスに描く。脚本・監督は「マルサの女2」の伊丹十三。撮影は「シンデレラ・エクスプレス」の山崎善弘がそれぞれ担当。

    捨て子だったナヨコは老夫婦に育てられるが、中学を出てナヨコは芸者の道を歩むことを決心する。そして芸者の置屋に預けられたナヨコはそこで一人前の芸者に成長してゆくがそんなある日、僧呂多聞院のもとに水揚げされ、彼女の人生は一変するのだった。ナヨコと暮らすようになって多聞院の位はめきめきと高くなっていったのだ。だが、間もなく多聞院は病死してしまうのだった。

    何年かたち銀行のOLになったナヨコは、ふとしたことからうだつのあがらない銀行員鈴木主水と知り合い、お互い愛し合うようになる、だが同時に政界の黒幕である大倉善武もナヨコの“あげまん”に目をつけていた。結局主水と結ばれるナヨコだったが出世街道を走り始めた主水は、出世のために瑛子という女と婚約してしまいナヨコと別れてしまうのだった。

    主水に捨てられたナヨコは大倉のもとへいき、再び芸者となった。そんな時、総理の椅子をめぐって鶴丸幹事長と争う犬飼政調会長もまたナヨコに目をつける。その頃主水は上役千々松が鶴丸に政治資金を横流ししていた不正をきせられてピンチにおちいっていた。そのことを知ったナヨコは、やはり主水のことが気がかりになっていた。だがその時犬飼から鶴丸が癌で先長くない命であることを知らされたナヨコは、それをネタに主水の危機を救うのだった。そしていつしか二人は永遠の愛で結ばれるのだった

    1990年製作/118分/日本

    一度観たことはあるのですが、スジは全く忘れていました、というわけで本当に新鮮に観れたよ。宮本信子のバストトップ、あれ本当に本人なのかな。変なところに気がいってしまいました。

    やっぱり伊丹映画には大滝秀治だよね、小津の笠智衆のようにね。宮本信子の相手役はやっぱり山崎努の方がしっくりくるね。伊丹さんはやっぱり高瀬春奈好きだよね

    1990年製作、もう35年経ってしまったんだね。

    伊丹映画のなかでは出来はあまり良くないと思いますが、魅せるよね。伊丹さんがなくなって、本当に偉大な監督が出なくなったね、日本映画、衰退しているよね

    あ~、楽しかった。

    観終わればここは日比谷、久しぶりに“パーコーだんだん麺”が食べたくなってね

    というわけで「はしご」さんへ。

    サッポロの黒ラベルとサービスのきざみ沢庵でまったりです。飲み終えれば、お待ちかねの“パーコーだんだん麺”です。やっぱり、絶品の美味しさです。あのキャピタル東急ホテルの「オリガミ」の上品なパーコー麺より、下品な“はしご”さんの方が好きです。

    荻上直子が監督の「波紋」、伊丹十三亡き後、もっとも才能のある監督、西加奈子の「サラバ」だね

    [商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

    あげまん【Blu-ray】 [ 宮本信子 ]
    価格:4,195円(税込、送料無料) (2025/3/24時点)

    楽天で購入

     

     



  • [カレー南ばん放浪記]六本木は薮そばのカレー南ばん、味・麺・値段・雰囲気の四拍子揃いぶみ

    [カレー南ばん放浪記]六本木は薮そばのカレー南ばん、味・麺・値段・雰囲気の四拍子揃いぶみ

    2023年10月20日(金)

    本日は財津一郎さんの訃報の話から。

    ネットに流れる情報を見ると、財津一郎さんの記憶ではタケモトピアノのCMとか「てなもんや三度笠」での役どころ。だけど自分にとっての財津一郎はもうこれしかありません。決して主役ではないのですが。

    あの伊丹十三の第一作「お葬式」での侘助夫妻のマネージャー役自分の親の葬儀に向かう場面で財津一郎が腕に黒い喪章をしたとき、宮本信子が発声、「よぉー、葬儀委員長」

    財津一郎さんのお葬式で是非、宮本信子さんに弔事を読んでもらいたいな。

    だけど財津さんの顔を見るたびにフランキー堺さんと間違える自分。

    ともかく、合掌。

    話変わって、今日はカレー南ばんのお話しからです。

    六本木で映画を見終わって午後3時。今日はラーメンではなくなんとなくカレー南ばんが食べたくなったんだな。六本木は蕎麦屋の“不毛の地”なんだよね。街の蕎麦屋がない街なのです。

    だけど何とか思い出したのが、ロアビルの対面の先に蕎麦やがあったよねと。店の前まで来て看板を見れば、“藪そば”系なんだね。今までは入ったことがなかったのは店構えがパリッとしていて何となく意識高い系なのかなと思っていました。少しの盛りのざるそばで1200円ぐらいするのかなと思って足が向かなかったのです。今日は思い切って入店です。

    まずはメニューを見て一安心です。実にリーズナブルなメニューなのでした。ビール中瓶が580円です。何と良心的。

    そして、まずはビールを1本。五臓六腑に染み渡ります。そして余裕ができて店内を見れば、なんとなく家族経営なのかな。給士の方も高齢の奥さんですもんね。

    そして、頃合いを見計らって注文です。本日は当然のごとく

    • カレー南ばん(そば)900円

    六本木のこの門構えの薮そばでカレー南ばんのこの価格、安すぎです。ビールを塗終わった頃にカレー南ばんの登場です。

    カレー南ばんは、まずは麺からです。こちらのおそばは少し太めでかなりアルデンテです、少し驚きました。ちまたのカレー南ばんの麺はかなり柔らかめが大半なのでね。スープは普通のうまいスープです。豚肉が少し変わっているね。少し厚めの一旦冷凍したものだね、この豚肉は初めてです。カレー南ばんの評価です。お味、麺、お値段、雰囲気の四拍子揃っているね

    リピ決定です。

    最後に映画の話しを。あの大作、監督はスコセッシ、ディカプリオ、デ・ニーロが組んだ「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」です。上映時間は3時間26分。スコセッシの大作は駄作もあるので腰が少し引けていたのですが。

    感想は、話しは淡々としていますが、肩に妙に力が入っていなくて、よかったよ。長さも感じさせないぐらい。リリー・グラッドストーンが最高にいい表情と雰囲気を醸し出しているね。普通にいけば、アカデミーでの主演女優賞なのでしょう。ディカプリオの役はジョニーデップだったらどうだったんだろう。何か凄みがあって、良かったと思うね。

    とにかく映画館で観る一作です。

    「アラビアのロレンス」を二度観み、ピーター・オトゥールの妖しさはLGBTぽい



  • 「お葬式」を観て伊丹十三の偉大さを再確認、結局、日本映画は黒澤と伊丹だけじゃないのかな

    「お葬式」を観て伊丹十三の偉大さを再確認、結局、日本映画は黒澤と伊丹だけじゃないのかな

    数日前に日本橋のTOHOシネマズで絶賛開催されている“午前十時の映画祭13”で上映されている伊丹十三の衝撃の監督デビュー作「お葬式」を観に行ったのです。

    もちろん公開当時、劇場で観たのですが。この「お葬式」が公開されたのが1984年です。自宅にもDVDを所有していますが、約40年ぶりに観た。何故か、テレビで伊丹十三の映画が放映されることは全くないね。

    観ての感想。やっぱり伊丹十三、天才だねと素直に思った。結局、日本映画界で輝ける監督は黒澤明と伊丹十三しかいないね。(小津ファンから相当怒られそうだな)

    伊丹十三が亡くなった(自殺)のが1997年12月20日。この「お葬式」から亡くなるまでの約13年間に10本撮ったんだ。「タンポポ」も「マルサの女」もね。(自分が思うにこの当初の3作がセルジオ・レオーネの「ドル箱3部作」と言われるのと同じで、伊丹十三の「ドル箱3部作」なんだろうね、その価値は十分あり)

    伊丹十三亡き後、日本映画はまったく進歩していないというか、題材がおもしろくないね。ちまちましたどうでもいい恋愛映画ばっかり。これじゃ、世界の映画から置いていかれるわけだな。

    自分なりにこの「お葬式」(1984年公開)が当時の世界の名作映画の中でどんな時間軸で現れたか整理します。

    • ゴットファザー 1972年
    • ディア・ハンター 1978年
    • ニューシネマパラダイス 1989年
    • パルプ・フィクション 1994年

    ディア・ハンターとニューシネマパラダイスの丁度中間なんだね。

    今回、「お葬式」を改めて観て、思ったことです。

    やっぱり伊丹監督の映画における商業性と芸術性のバランスが最高にうまいね。商業性では2時間にきっちりと納める力量はりっぱ。脚本と監督を彼が兼ねているわけだけど、脚本も丁寧だね。そりゃあ、文筆家でもあったからね。

    あと配役のうまさにはうなったね。もちろん彼の奥さんの宮本信子の魅力を引き出した手腕、山崎努くんを主演にした冴え、特にあの財津一郎は最高だね。(自分はいつもフランキー堺と間違えてしまえのですが)

    特に脇役はすごいね、これもう脇役のレベルじゃないよ、特にこの3人

    • 大滝秀治 (親戚)
    • 笠智衆  (坊主)
    • 江戸家猫八(葬儀社)

    大滝秀治の枕の位置に固執するボケ、笠智衆の枯れた坊主態度(あの雰囲気は出そうと思って出せるものではないよ)、江戸家猫八の葬儀社のあのうさんくささ、たまりません。

    笠智衆のロールスロイスで来たシーンは伊丹十三のウィットここにあり。

    あと高瀬春奈のあのムチッと感、40年ぶりに見てもいいね。尾藤イサオさん、テレビで見かけないけどどうしているのかな。あの宮本信子と尾藤イサオの「東京だョおっ母さん」のシーン、ジーンとくるね。

    小ネタをもう一つ。エンディングロールを見ていて気づいたのでした、電報配達人に井上陽水の名前が。驚きました。

    最後は宮本信子、財津一郎が腕に黒の喪章を巻くときにかけた言葉、「よおっ、葬儀委員長」

    本当に楽しい2時間でした。

    伊丹十三が生きていたら、タランティーノなんかに負けなかったのにね。残念至極。

    目黒シネマで松田優作の「蘇る金狼」と「野獣死すべし」を観た、小林麻美より風吹ジュンだね





  • 世田谷美術館で話題の「グランマ・モーゼス展」に行って、驚いたのなんの。恐るべし

    世田谷美術館で話題の「グランマ・モーゼス展」に行って、驚いたのなんの。恐るべし

    2022年1月21(金)はことの外、寒い日だったのです。

    本日は特に予定していることもなかったため、思い立って東京の世田谷美術館で開催している「グランマ・モーゼス展」に行くと当日決めたのでした。

    自分はこのグランマ・モーゼスさんを実は全く知らなかったのですが。1ケ月ほど前にラジオでこの方の個展が現在、世田谷美術館で開催されており、そのパーソナリティの方が絶賛されていたので、心の片隅に置いていたのです。

    現在、絵画を少し勉強している自分としてはその方を知らなかったのはお恥ずかしい話しです。アメリカでは誰でも知っている絵画のおばあちゃんなのにですね。

    グランマ・モーゼス展はこんな感じで東京では開催されていますね。

    • 世田谷美術館 1階展示室
    • 2022年2月27日(日)まで
    • 10:00~18:00(最終入場時間 17:30)
    • 休館日 月曜日
    • 一般:1,600円
      65歳以上:1,300円
      大高生:800円
      中小生:500円

    世田谷美術館は初めて訪れましたが、用賀駅から徒歩15分ぐらいかな。

    HPではHP上からの時間予約してからの訪問を推奨していますが、自分は予約なしで直接出向きました。そして、予約なしでも無事入館できました。

    肝心のグランマ・モーゼスさんとはこんな感じの方です。

    グランマ・モーゼス(1860-1961)は20世紀の半ばにアメリカで最も有名で成功をおさめたアーティストのひとりです。彼女の描く風景は、当時、第2次世界大戦で味わった恐怖と東西冷戦がまさに始まろうという不安にさいなまれた人々の気持ちを癒し、元気をあたえるものでした。
    モーゼスの名声は彼女の存命中にヨーロッパへも響き渡りましたが、日本で広く知られるようになったのは1980年代になってからのことでした。アメリカやヨーロッパと同様に、グランマ・モーゼスは日本でも温かく受け入れられました。それは、智慧とは長い人生のなかで培われるもの、また、自然との調和をもって生きることが必要、といった彼女の考えに日本人の価値観が共鳴したからです。
    この展覧会は日本でのグランマ・モーゼスの個展としては2005年以来に開催されるものです。世界がふたたび大きな動揺に見舞われている今だからこそ、モーゼスからの励ましがまさに必要とされています。
    今回、希望の思いを込めて、日本の展覧会のためにグランマ・モーゼスを象徴する代表作をいくつも選びました。グランマ・モーゼスのいう“美しき世界”は、どこに目を向ければよいか知ってさえいれば見つけられる、と固く信じて。

    自分が絵を鑑賞した率直な感想は、西洋的(ヨーロッパ的)な絵画とは違うアプローチで、独特な日常的な構図を彼女の感性そのままに描いた絵ですね。素朴ですが、唯一無二かな。

    特に筆のタッチがすばらしい。木々の葉を描く繊細なタッチがすばらしい。このタッチは画集も購入しましたが、実際の絵を見ないとわからないと思います。誰もが指摘していますが、冬の風景の絵がよいかな。そして、自然の中に日常の人間を描く絵がよいな。

    これは、是非、美術館で生の絵を見た方がよいです。おすすめします。

    そして、自分的には1階のグランマ・モーゼス展だけでも大満足なのですが、2Fの展示場に行って度肝を抜かれたのでした。何とバスキアの大きな絵があるではないですか。自分が大変感心した展示です。

    • ジャン=ミシェル・バスキア〈SEE〉
    • アンリ・ルソー〈フリュマンス・ビッシュの肖像〉
    • カレル・アペル
    • 矢吹申彦
    • 横尾忠則
    • 駒井哲郎

    あの伊丹十三の本とユーミンの流線型80のアルバムの絵が矢吹申彦さんという方とは初めてしりました。2Fの展示室は1Fの券で無料で入れます。自分的には2階の展示もまさに驚愕ものでした。

    本日は二度感心し、驚かされた一日でした。恐るべし、今回の世田谷美術館。