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  • 大滝詠一の「A LONG VACATION」考察(その2)。伊藤銀次いわく、延長12回裏に出た起死回生の逆転満塁サヨナラホームラン

    大滝詠一の「A LONG VACATION」考察(その2)。伊藤銀次いわく、延長12回裏に出た起死回生の逆転満塁サヨナラホームラン

    昨日からの続きです。伊藤銀次さんの話しは続きます。

    度肝を抜かれたレコーディング、スタジオに響き渡る音の壁

    アルバムのレコーディングは、もう最後のあたりに差し掛かっていたようで、その日録音していたのは、僕の記憶では「さらばシベリア鉄道」でしたが、そのスタジオに入った瞬間に、いきなりそのレコーディングのやりかたにすっかり度肝を抜かれてしまったのでした。

    (中略)

    おお!これだったのか!あのフィル・スペクターのウォール・オブ・サウンドは!

    僕も佐野元春もスタジオに響き渡るサウンドの前でしばし立ち尽くしてしまいました。この日のレコーディングこそが、後に歴史的名盤となるこの「A LONG VACATION」のレコーディングだったのでした。

    大滝詠一が放った“大”王道ポップアルバム

    なにかが起きている…いろいろあった後、たった1日でしたが、大滝さんの新しいアルバムへの予感が膨らんだ体験を経てから聞くことのできた「A LONG VACATION」の全貌はもう言葉に表せない感慨に溢れたものでした。

    まさかの苦境の中から生まれてきたとは思えない、パーンと抜け切った爽快感!これまでに大滝さんのロマンチシズムがこれほどまでに強く、太く、はっきりと全面に出ているアルバムはなかった。まさかこの時点で、こんな“大”王道ポップアルバム僕たちの前に登場するとは誰が想像できたでしょう。

    それは、感動などというものをはるかに通り越して深く心を動かしてくれるものでした。大滝さんの好きな野球に例えると、延長12回裏に出た起死回生の逆転満塁サヨナラホームラン。あの状況で、大滝さんがその氷山の見えなかった部分に忍ばせておいた、とっておきのポップワールドのパノラマが、ついにその姿を世に表した瞬間でした。

    あらためて大滝さんのアーティストとしての力強さ、たくましさ、その真の実力に、強いリスペクトを感じたアルバム。「A LONG VACATION」は僕にとっても特別なアルバムなのです。

    非常に感銘を受ける文章です。初めて聞いたな、こんな背景があったのですね。

    そして、「ウォール・オブ・サウンド」を生み出したフィル・スペクターも奇しくしてこの2021年1月に新型コロナウイルスに感染し、収監されていた刑務所から病院へ移送され亡くなったのでした。

    ふと思ったのは、大滝詠一の「A LONG VACATION」が延長12回裏に出た起死回生の逆転満塁サヨナラホームランなら、沢木耕太郎の代表作「深夜特急」は2回裏のソロホームラン、 ガルシア・マルケスの「百年の孤独」は7回裏の勝負を決めた満塁ホームランというところでしょうか。

    そして、翌年1982年にはカルロス・クライバーによる歴史的名盤のバイエルン国立管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲第4番が発売されるのです。思えば良い時代でした。

    今日も自宅の部屋には「君は天然色」が流れているんだな。



  • カルロス・クライバー指揮のベートーヴェンの交響曲4番と7番はすごいよ、クライバーが火を吹いたぞ

    カルロス・クライバー指揮のベートーヴェンの交響曲4番と7番はすごいよ、クライバーが火を吹いたぞ

    先日、J-WAVEからカルロス・クライバーが指揮する「ベートーヴェン交響曲 第7番」の第4楽章がラジオから流れてきた。

    改めて良い指揮だと思った次第です。そりゃあ、カルロス・クライバーだもの。

    自分が保有しているCDの中で、若い頃のLP時代にも購入したのが、カルロス・クライバー指揮の名盤中の名盤の誉れが高い「ベートーヴェン交響曲 第4番」(バイエルン国立管弦楽団 )です。

    そして、全LPを売却した後も、CDとして買い戻したのが、同版だけかな。

    このカルロス・クライバーの第4番のLPを初めて聞いたのが、大学生の頃です。

    初めて聴いたときは、すごいものを聞いたと思った。これ、もうロックンロールじゃないの、と思った次第。下手なロックより、クラシックがロックンロールしています。

    当時のLPの帯のタイトルにも、確か、「クライバーが火を吹いた」云々の表現があったと思うが。

    当時、ヒットしていたブルース・スプリングスティーンの「Born to Run」と同じくらい、ロックしていると思った次第です。

    それをきっかけに、カルロス・クライバーのCDやDVDはすべて購入してきたつもり。

    やっぱり、この人の指揮は流麗でエレガントだと思う。そして、オーケストラの音に艶を出す指揮をすると思います。疾走感もたまらないですね。

    そして、クライバーの指揮で頂点に立つのが、ベートーヴェンの「交響曲 4番」と「交響曲 7番」だと思う

    この演奏を聴くと、カラヤンでも誰でもこの楽曲に関してはかなわないと思う。

    「交響曲 4番」の方はライブ録音ですが、多少のオーケストラのミスなどはどうでもいいようなライブ感で疾走していきます。

    そして、今回は定番のスタジオ録音の「交響曲7番」は保有していたのですが、ライブ盤もあることを知り、アマゾンでポチッしました。

    YOUTUBEにはカルロス・クライバーが来日した時に、人見記念講堂で指揮したベートーヴェンの第7番の第4楽章の映像が見られるのですね。

    やっぱり、エレガントで踊るようなカリスマ的な指揮が見られます。

    自分の人生で、来日したアーティストでそのライブを見ておけばよかったと思える人は2人だけです。ボブ・マーリーとカルロス・クライバーだけかな。

    ボブ・マーリーは渋谷の渋谷公会堂で見たかったな。残念。

    クライバーは若い頃はチケットが高すぎて、おそらく行けなかったかな。

    だけど、話はまたベートヴェンの赤いジャケットの「交響曲第4番」のCDに戻ります。

    第4楽章が終わった後の少し間のある空白の時間がおもしろいですね。

    聴衆の皆さん、ものすごい演奏を見てしまったと、終わったあと、言葉が出なかったのですね。間がかなり空いてからから、万雷の拍手とブラボーの声が収録されています。

    ベルリンフィルの常任指揮者のカラヤンの後任は、カラヤンがカルロス・クライバーを指名したという話がありますが、クライバーはベルリンフィルでもウィーンフィルでも、クライバーが振ればクライバーの音になるから、あまり関係ないのかな、とは思います。

    しかし、自分の中ではクラッシックでは最高の指揮者はカルロス・クライバーで決まりです。キッパリ。

    追悼 エンリオ・モリコーネさん91歳で死去。20世紀後半の一番偉大な作曲家を失くしました