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  • 「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」はナチスものだけど、素晴らしい映画

    「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」はナチスものだけど、素晴らしい映画

    2024年6月25日(火)

    本日は給料日だね、自分には関係ない境遇で少し寂しいね。

    昨日の月曜日は週初めで映画を観に劇場へ。暑い一日でしたが、本日は渋谷のル・シネマ宮下へ。こちらを観たよ。

    • 「ONE LIFE 奇跡が繋いだ6000の命」

    映画はこんな感じです。

    名優アンソニー・ホプキンスが主演を務め、ナチスの脅威から669人の子どもたちを救ったイギリスの人道活動家ニコラス・ウィントンの半生を描いた伝記ドラマ

    第2次世界大戦直前の1938年。ナチスから逃れてきた多くのユダヤ人難民がプラハで悲惨な生活を強いられていることを知ったニコラス・ウィントンは、子どもたちをイギリスに避難させる活動を組織し、同志たちとともに里親探しや資金集めに奔走する。ナチスの侵攻が迫るなか、子どもたちを次々と列車に乗せていくが、ついに開戦の日が訪れてしまう。それから49年後、救出できなかった子どもたちのことが忘れられず自責の念にかられ続けていたニコラスのもとに、BBCの番組「ザッツ・ライフ!」の収録への参加依頼が届く。そこで彼を待っていたのは、胸を締め付けるような再会と、思いもよらない未来だった

    「スターダスト」のジョニー・フリンのほか、ヘレナ・ボナム・カーター、ジョナサン・プライスら実力派キャストが共演。また、実際にニコラスに助けられたかつての子どもたちやその親族も撮影に参加している。

    観る前は、ナチスの迫害から逃れたユダヤ人というシンドラーのリストや杉浦千畝のような話しで少し映画としては月並みすぎて(この題材はという意味)どうなんだろう、と思って観始めたのでした。

    案の定の序盤はそんな感じが続き、何か物足りないものを感じていたのです。

    これ後半からがドラマなんだね。この669人を避難させたことを世間は知らなかったんだね。そこから始まるドラマがクライマックスです。

    素直にすばらしい映画を観させていただきました。涙腺が緩むね。主人公の方、長生きされてよかったね、享年106歳。立派な人生です。

    ドラマの中で非常になつかしい名前が出ていました。ロバート・マクスウェルという名前です。イギリスの実業家で貧しい移民の身から一代でメディア帝国を築き上げたメディア王として知られ、ルパート・マードックの長年のライバルだった人です、死因は事故死?。

    マクスウェルの奥さんがこのドラマの一人のキーパースンなんだね。

    観終われば、午後1時。渋谷とあれば、向かうのは道玄坂の百軒店にある「喜楽」です。

    今日も美味しい“チャーシュー麺”(1,000円)をありがとう

    週末はフィンランドはヘルシンキかな。

    映像も余韻も心がまさにざわつく映画だよね、まさに快作「関心領域」



  • 難民問題で国境の滑稽な光景を映し出す「人間の境界」、だけど答えはないよね

    難民問題で国境の滑稽な光景を映し出す「人間の境界」、だけど答えはないよね

    2024年5月16日(木)

    本日も毛色の変わった映画をご紹介します。先日、興味本位で観に行ったのが「人間の境界」という映画です。

    ヨーロッパを目指す難民の国際社会の非情さと現実を提示しています。日本のマスコミの情報だけではわからない現実。それを知ったから難民をどう扱えという明確な回答はできないよね。こんな映画です。

    「ソハの地下水道」などで知られるポーランドの名匠アグニエシュカ・ホランドが、ポーランドとベラルーシの国境で“人間の兵器”として扱われる難民家族の過酷な運命を、スリリングな展開と美しいモノクロ映像で描いた人間ドラマ。ベラルーシ政府がEUに混乱を引き起こす目的で大勢の難民をポーランド国境に移送する“人間兵器”の策略に翻弄される人々の姿を、難民家族、支援活動家、国境警備隊など複数の視点から映し出す。

    「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じ、幼い子どもを連れて祖国シリアを脱出した家族。やっとのことで国境の森にたどり着いたものの、武装した国境警備隊から非人道的な扱いを受けた末にベラルーシへ送り返され、さらにそこから再びポーランドへ強制移送されることに。一家は暴力と迫害に満ちた過酷な状況のなか、地獄のような日々を強いられる。

    キャストには実際に難民だった過去や支援活動家の経験を持つ俳優たちを起用。2023年・第80回ベネチア国際映画祭コンペティション部門で審査員特別賞を受賞した。

    2023年製作/152分/G/ポーランド・フランス・チェコ・ベルギー合作
    原題:Zielona Granica

    映画を観て最初理解できなかったのが、難民をベラルーシとポーランドの国境で双方が出したり入れたりする状況です。要は難民に変なことをすると国際問題になるので、双方があっちへ行けごっこをするのです、兵士がね。だから死体も国境であっちへ放り投げたりする滑稽な光景が繰り広げられます。国境での一種のババ抜きゲーム。

    ベラルーシはロシアと同様の強権国家なので難民に厳しい対応するのは分かりますが、ポーランドもシリアやアフリカなどの難民の流入は受け入れたくないのです、まあ分かります、無制限に入れるわけにもいきません。

    この映画はこんなおかしなことになっている国境の光景を描き出しています

    “殺しもしないけれど、こっちには来てくれるな”ということ。

    ラストで興味深いメッセージが流れます。

    翌年2022年2月のロシア軍のウクライナ侵攻による難民の姿。ポーランドは2週間で200万人のウクライナ難民を受け入れたといいます。その違いは何か。人種や肌の色によるのか。

    これも理解できます、ウクライナは戦争が終われば、皆んな母国に帰るものね。

    現実の国際社会は厳しいよね。日本でも川口市などでのクルド人の移民問題が勃発してているしね。綺麗事ではすまされません、現実。

    マクロでは政治的迫害の移民は受け入れるべしでも、ミクロでは反対だよね、それが現実

    必見のドキュメンタリー映画、「ビヨンド・ユートピア 脱北」北朝鮮ものだよ





  • 「ジョルダーニ家の人々」、これは現在の多様な家族のあり方を描いたイタリアドラマの大傑作

    「ジョルダーニ家の人々」、これは現在の多様な家族のあり方を描いたイタリアドラマの大傑作

    丁度1週間前にこんなタイトルのブログを書いたのでした。

    “まいったな。まだこんな知らないイタリア映画があったとは、ロバート・ハリスさんおすすめの映画「輝ける青春」”

    この「輝ける青春」に大感動して、同じ脚本家のサンドロ・ペラトリア、ステファノ・ルッリが担当したイタリアのドラマ「ジョルダーニ家の人々」というDVDを観たのでした。

    上映時間6時間39分という長尺です。このドラマは東京の岩波ホールで2012年に上演された時は「13時40分から3回の休憩を挟み21時15分で終了」というものだったのです。

    DVDでは4枚組です。

    そして、自分は2週間の週末ですべてを見終えました。

    はっきり言います。「傑作」です。現在の家族の問題、社会問題(難民、同性愛というジェンダーの問題)がすべて含まれています。やはり、ミケランジェロとルキノ・ヴィスコンティ、そして(ゴッドファザー)を生んだ国は偉大です。家族が流動化していく先進国の中流階級以上の問題をいろいろなエピソードを交えながら、多層的にドラマは展開していきます。

    尊敬する向田邦子が生きていたら、日本でもこんな脚本を書くだろうな、多分。

    ちなみに、原題は「Le Cose che restano」は”残るもの”という意味だそうです。このタイトルの高尚な意味は自分の思考範囲ではよく分かりません。

    物語の概要です。

    そしてふたたび、大きな愛につつまれる―

    イタリアのある家族の離別と再生を6時間39分にわたって描く感動の大河ドラマ。脚本は「輝ける青春」のサンドロ・ペラトリア、ステファノ・ルッリ

    ローマに暮らすジョルダーニ家は、技術者の父、元医師の母、外務省で働く長男アンドレア、心理学者の長女ノラ、建築を学ぶ次男ニーノ、高校生の三男ロレンツォと、一見不自由のない幸せな家族に見えた。
    しかし三男の不慮の死をきっかけに、家族は心に秘めていた問題や困難に向き合うなかで、一人ずつ家を離れていく。彷徨える者たちが運命のように出会う人々、不法移民の女性とその娘、不治の病のフランス人、戦場で記憶を失った大尉等・・・。
    一本の川がいつか大河の流れとなるように、父と母、アンドレア、ニーノ、ノラ、それぞれの運命と人生は、ふたたび織りあわされて、血のつながりや民族を越え、より大きな家族を成してゆく
    ラストシーンのジョルダーニ家の開け放たれた窓のように、さらに豊かに、開かれた未来に向かって―。

    自分の備忘録として、配役を記しておきます。自分的には、この映画はアンドレア・ニーノ・ノラの3兄弟とシャーバの物語と思います。特にニーノとシャーバが最高の立ち回りを演じています。

    アンドレア 演 – クラウディオ・サンタマリア 長男。

    ノラ  – パオラ・コルテレージ 長女。心理カウンセラー。

    ニーノ  – ロレンツォ・バルドゥッチ(イタリア語版) 次男。建築学専攻の大学生。

    ピエトロ  – エンニオ・ファンタスティキーニ 父。技術者。

    アニタ  – ダニエラ・ジョルダーノ 母。

    ロレンツォ  – アレッサンドロ・スペルドゥーティ 三男。

    シャーバ  – ファリダ・ラウアジ

    アリナ  – レイラ・ベクティ シャーバの娘。娼婦。

    シモーネ・ニコライ教授 – ヴィンチェンツォ・アマート

    フランチェスカ  – アントニア・リスコヴァ シモーネの妻でインテリア・デザイナー。

    カタルド刑事  – フランチェスコ・シャンナ 潜入捜査官。

    ミシェル 演 – ティエリー・ヌーヴィック ノラの患者であるフランス人の銀行員。

    ヴァレンティーナ  – ヴァレンティーナ・ダゴスティーノ ニーノの幼なじみの親友で同じ大学で建築を専攻している女子学生。

    ヴィットリオ・ブラージ大尉 演 – エンリコ・ロッカフォルテ ノラの患者。

    いろいろな講釈を述べましたが、是非、心を構えて見るドラマです。

    必観でしよう。考えさせられます。この感じ、やっぱりイタリアしか作れないんだろうな。