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  • 成瀬巳喜男の「娘・妻・母」と「山の音」、ホームドラマの原点、繊細だし

    成瀬巳喜男の「娘・妻・母」と「山の音」、ホームドラマの原点、繊細だし

    2024年8月13日(火)

    週末は世の中は絶賛3連休です。

    特に用事のない自分は冷房の効いた自宅でDVD鑑賞です。小津安二郎に続いて、最近ハマっている成瀬巳喜男監督(なるせみきお)の名作を鑑賞します。

    • 「娘・妻・母」
    • 「山の音」

    「娘・妻・母」の方は、カラー映画で、誰が主役というわけではありませんが、豪華な俳優陣です。原節子、森雅之、高峰秀子、団令子、宝田明、草笛光子、上原謙、仲代達也

    橋田壽賀子や向田邦子のホームドラマの原点のような話しだね。タイトルがあまりにも芸がなさすぎて損をしていると思います。自分もこのタイトルで後回しにしていたものね。

    あの笠智衆の役、あれだけで笠智衆を引っ張りでしてくるのかと思ったね。成瀬は小津と違って様式美のようなものはあまり感じさせないね。そして、高峰秀子さんのダミ声だけは興醒めするんだね、特に電話のシーン。

    続いて、「山の音」です。原作はかの川端康成の長編です。

    舞台となる鎌倉の家並みがいいね。俳優陣は、原節子、上原謙、山村聡。主演は山村と原節子なんだろうね。自分は映画からは山村聡が息子の嫁の原節子に淡い恋心を持つとは感じられなかったがね、むしろ親心としかね。

    いずれにしても繊細な映画ですね。自分が観た成瀬作品では本日の2本と「女が階段を上がる時」が秀逸だと思うのですが。傑作と名高い「浮雲」は自分には評価が低いです。

    そして、3連休でしたので、外食も2回行ったよ。

    1軒目は六本木一丁目にあるステーキ屋さんのGRALIC[グラリック]さんへ。

    あのガーリックソースがたっぷりかかったキャベツを無性に食べたくなったんでね。

    もちろん飲み物は赤ワインのカラフェを。キリッと冷えた赤ワイン、暑さが吹っ飛ぶね。

    肝心のお肉は赤身の一番安い「ハンギングテンダー・ステーキ」(150g)で2,370円

    財布にも優しいステーキ、ご馳走様でした。

    そして、2軒目はお盆週間にはありがたい表参道のとんかつ「まい泉」へ。飲食店の休業の多い時期にお助けの神店なのです。もちろんお味は一流なのは言うまでもありません。

    3連休中日の日曜日は19時に3名で訪問します。少しの待ちはあるかなと思ったのですが、カウンターなどはガラガラですぐにテーブルに案内です。驚きました。観光客も含めてみんなどこに食べに行っているのかな。

    まずはモルツの瓶ビールです。連れ2人はいつものような茶美豚のとんかつ(ひれ)のようです。自分はモルツをグイグイとね。そして、2本目のビールに入ったところでカツ重のロースを注文です。やっぱりロースの方がうまいよね、豚は脂だよね

    お会計も「大人の休日倶楽部」カードをチラ見せで10%割引です。今日もお得にお食事ができました。ご馳走様でした。

    充実の都心での3連休になりました。

    成瀬監督の映画「乱れる」はエンディングがドラマチックなんだね、禁断の愛

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  • 成瀬監督の映画「乱れる」はエンディングがドラマチックなんだね、禁断の愛

    成瀬監督の映画「乱れる」はエンディングがドラマチックなんだね、禁断の愛

    2024年7月22日(月)

    すでに7月も下旬となりました。数日後にはパリ・オリンピックも始まりますね。

    そしてこの週末です。灼熱の東京では食事か買い物以外では外に出るのは危険な状況ですので、いつものように土日でDVDを1本づつ観ることに。

    • 「シャドウプレイ」 監督: ロウ・イエ
    • 「乱れる」 監督: 成瀬巳喜男

    中国映画の「シャドウプレイ」は目黒シネマで現在上映中なので、興味を持ってね。

    中国の30年、そして香港、台湾を舞台に加えて描く、息もつかせぬネオノワール・サスペンス

    実話を元に描く、ネオノワール・サスペンス

    80年代の改革開放が進み90年代に入り市場経済が推し進められ、2000年に入りバブルが訪れる。人々の欲望が渦巻く現代までの30年間。 『シャドウプレイ』は、実話を元に時代に翻弄される中国人の加速する欲望と愛を描く

    はっきり言って、よくわからなかった映画。事件としての規模も小さく、ストーリーもわかりづらいしね。中国の人には面白い話しなのかね。

    成瀬監督、高峰秀子主演の「乱れる」は魅せる映画だね。ストーリーも秀逸だしね。

    スーパーマーケットの進出でかつての賑わいを失った商店街。夫に先立たれ、嫁ぎ先の酒屋を一人で切り盛りしていた主人公は、義理の弟に思いを告白され、居場所を失い、やがて家を出てゆく。
    成瀬巳喜男監督が、社会的なモラルに拒絶された男女の道行きを、抑制された演出で冷徹に見つめる

    加山雄三も若々しくていいね、終わり方はドラマチックでしたが、あの話しを終わらせるにはその方法しかないよね。自分的には納得のエンディングかな。

    成瀬巳喜男と小津安二郎、自分的な評価では小津に軍配かな、小津の方が人生の機微というか深みがあると思うんだよね。カメラワークの構図の取り方も独特だしね。

    そして、土曜日の夕食です。久しぶりに銀座の「ニュー鳥ぎん」へ。自分たちは「鳥ぎん 本店」の方(キレイな方)ではなく、右側の「ニュー鳥ぎん」の方へ

    3名で19時30分に予約してね。訪日客に大人気で最近は行列しているのでね。

    だけど、本日は行列なしで、2階席へ。ビールは黒ラベルの633だよ。

    まずは串から。

    • 砂肝
    • レバー
    • つくね
    • 正肉
    • 手羽先

    レバーは女性陣が2本づつ。やっぱり鳥ぎんの串は上手いね。ビールも2本目に突入です。

    串の第一陣が着弾すれば、すぐに鳥釜飯を2個注文です。このタイミングでバッチリです。

    今日は鳥釜の2個目を2/3残したので、持ち帰り用にパックしてもらいます。翌日に食べる釜飯がまた上手いんだな。お会計は7,700円ほど。お財布にも優しいね。

    また3ケ月後にお邪魔します。ご馳走様でした。

    小津の「晩春」を映画館で初鑑賞、原節子の顔立ちは派手なんだね、ビックリ

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  • 再度の小津の「宗方姉妹」を観に劇場へ、やっぱり名作はいい、田中絹代が出色

    再度の小津の「宗方姉妹」を観に劇場へ、やっぱり名作はいい、田中絹代が出色

    2024年6月19日(水)

    昨日の東京というか関東は大雨の1日でした。そんな時は映画に限るね。

    本日もお目当ての映画のために日本橋のTOHOシネマズにお出かけです。ちょうど1週間前に観た「午前十時の映画祭」での小津安二郎の「宗方姉妹」をもう一度、まぶたに焼け付けたくてね、カッコいいセリフだね。

    上映は今週木曜日までなので、劇場ではおそらく見納めになると思ってね。

    小津安二郎が松竹を離れ、はじめて新東宝で製作した作品。日本の伝統的な価値観を大事にし、ニヒリストめいた夫に耐え続ける姉と、そんな姉に反発する現代的な妹の対比を通して、戦後の日本の家庭の崩壊を描く。原作は大佛次郎

    1950年製作/112分

    やっぱりこの映画では田中絹代がいいよね。凛とした日本の昔の女性という感じで

    謎めいた言葉、この映画でのキーワード、“新しいということは、古くならないもののこと”。

    田中絹代こと節子のBARの壁にかかっているドン・キホーテの言葉。

    • I Drink Upon Occasion Sometimes Upon No Occasion – Don Quixote
    • 「私は理由があって飲む。時には何の理由もなくて飲む」

    やっぱり笠智衆が出てくるシーンはいいよね。主なシーンはこの3つ

    • 最初の京都の家で高峰と上原謙との場面、あの舌を出すぞという場面
    • 中盤の田中絹代との2人での京都での会食シーン
    • 高峰とうぐいすのモノマネをするシーン

    あの笠智衆のすき間のある余韻の残るゆったりとした会話、ただものではありません。対局にある、上原謙のあの軽さもいいよね。

    今、経営学者の楠木建氏の本を読んでいますが、彼の人生の師は“高峰秀子”です。この映画も高峰秀子のコミカルな役がなければ、こんな映画にはならなかったよね。小津の力量か。納得です。

    観終われば11時30分です。雨も降っていて(雨の日はランチ100引きのお店)で、いつもラーメンばかり食べていると体に悪いと思って、日本橋室町で目をつけていたこちらのお店にいったのです。

    • 「日本橋 肉鮮問屋 佐々木」

    こんなランチが格安で食べられるというのです。肉の卸しだからね。だけど店舗前に行って、火曜日は休み、頭の後ろからガツーンです。

    すぐに転身です。

    歩いて2分のところにある、いつもの「ますたに」ラーメンに行くしかないね。外は大雨。ビールとお新香でまったりするのが一番です。

    今日もご馳走様。天気は最悪だったけど、心はポカポカの一日でしたよ。

    小津の「東京暮色」は悲劇的な作品と言われるが、笠智衆の存在が救いだな

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  • “午前十時の映画祭”で小津安二郎の「宗方姉妹」を観たよ、傑作だった

    “午前十時の映画祭”で小津安二郎の「宗方姉妹」を観たよ、傑作だった

    2024年6月11日(火)

    週初めの月曜日です。6月も中旬なのに、首都圏はまだ梅雨入りではないのね。

    本日もまずは映画のお話しから。今回の「午前十時の映画祭」のラインナップは渋い映画週間だね。上映しているのは、小津安二郎の「宗方姉妹」です。ここ1年間で小津監督の作品は集中的に劇場で観たのですけど、この作品は観たことありません。

    本当に楽しみに日本橋のTOHOシネマズに行ったよ。この映画の背景はこんな感じなんだね。

    対照的な姉妹の生き方を通して当時の社会を浮き彫りにした小津安二郎監督の異色作。松竹を離れ、小津が初めて新東宝で撮った作品。主演の田中絹代は、『大学は出たけれど』(29)から『風の中の牝鶏』(48)まで、数々の小津作品に出演。1949年、戦後初の日米親善大使として渡米、帰国後に初主演したこの作品は年間配収1位の大ヒットとなった。

    映画の紹介タイトルには、“対照的な姉妹の生き方を通し、当時の社会を浮き彫りにした小津の野心作”とあります。

    あらすじはこんな感じです。

    何事にも保守的な節子(田中絹代)は、自由奔放に生きる妹の満里子(高峰秀子)と同居して面倒を見ている。夫・亮助(山村聰)が失業中なので節子はバー勤めをしているが、満里子には皮肉屋の夫に黙って仕えている姉のことが理解できない。京都にいる父・忠親(笠智衆)が余命いくばくもないと知った節子は、妹にはそのことを伏せ、二人で京都に赴く。そこで節子は初恋の相手であり、今は家具店を営んでいる田代(上原謙)と再会する

    はっきり言いますが、名作でした。田中絹代は初めてじっくり観ましたが、確かに名女優です。納得しました。高峰秀子のコミカルな役は他でも代役は効きそうですが、田中絹代はこの役だよね。そして、父親役で笠智衆がいれば、映画としては格が一段落上がること間違いなしですね。しかし、上原謙もあの難しい役で、サラッする演技はすばらしい。

    この映画の本題、姉妹の考え方ですが、どちらが古いのか、新しいのか、自分には回答ではないね。

    ヴィム・ヴェンダースが小津に惚れ込むのもわかるよね、やっぱり外国でも欧州でないとこの良さは理解されないよね。

    観終われば、いつものように日本橋室町の「ますたに」へ。ほてった体をビールで冷まします。いつもの“ますたにラーメン”、やっぱり美味しです。

    そして、今日は訃報を。

    先週に知ったのですが、あのサックス奏者のデビット・サンボーンがお亡くなりになったとのこと。享年78歳とのこと。あの都会的なAORの極地のサンボーン節が聴けなくなると寂しくなるね。

    是非、渡辺貞夫さんには長生きしてほしいね。

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  • 阪妻版と三船版の「無法松の一生」を劇場で観たよ、阪東妻三郎を初めて観たが、迫力あるね、あの故田村正和のお父さんだものね

    阪妻版と三船版の「無法松の一生」を劇場で観たよ、阪東妻三郎を初めて観たが、迫力あるね、あの故田村正和のお父さんだものね

    本日の話しは本当にシブいよ。古い映画のお話しです。

    実は先週と今週続けて「無法松の一生」を劇場で見たのです。絶賛開催中の“午前十時の映画祭”でね。昭和生まれの自分としては「無法松の一生」というタイトルだけは知ってはいたのですが、話しの筋も知らず、ましてや映画も観たことがないのです。相当な年配の方以外はそうだと思うのです。まあ、頭にはあっても忘れ去られおり、興味もなかったのです。

    ましてや、主演が阪東妻三郎と三船敏郎の2つがあることなど露も知らずです。

    まあ、時間もあったので、先週まず阪東妻三郎主演の「無法松の一生」を観たのです。こちらは白黒映画です。今回の劇場上映のために作られた解説が15分あったかな。この阪妻版は戦時中ということもあり、まずは日本の軍部からの検閲で相当部分がカット、アメリカに敗戦後の検閲で更にカットという憂き目を見ての、映画だったのですね。

    阪妻版と御船版の比較はあとにするとして、この阪妻を観て深く感動したのです。解説の中でも誰かが言っていたように検閲でずたずたにされたことにより、より普遍的なテーマも持つ映画になったかと。肝心の話しこんな感じです。ちみなに両方とも監督は稲垣 浩です。

    明治30年、小倉に無法松と呼ばれる人力俥夫の松五郎がいた。松五郎は博奕で故郷を追放されていたが舞い戻り、若松警察の撃剣の先生と喧嘩をして頭を割られ、木賃宿の宇和島屋で寝込んでいた。そんな松五郎は喧嘩っ早いことで評判で、ある日、芝居小屋で仲間の熊吉と枡席でニンニクを炊いて嫌がらせをし、木戸番と喧嘩するが、土地の顔役である結城重蔵の仲裁で素直に謝った。松五郎は意気と侠気のある男だった

    松五郎は堀に落ちてけがをした少年・敏雄を助ける。敏雄の父親は陸軍大尉の吉岡小太郎であり、これが縁で松五郎は吉岡家に出入りするようになった。しかし、吉岡大尉は雨天の演習で風邪を引き急死した。夫人のよし子は、敏雄が気の弱いことを心配して松五郎を頼りにする。松五郎は夫人と敏雄に献身的に尽くしていった

    やがて敏雄は小倉中学の4年生になり、青島陥落を祝う提灯行列の日に他校の生徒と喧嘩をして母をハラハラさせるが、松五郎は逆にそれを喜び喧嘩に加勢した。その後敏雄は五高に入学し、松五郎とは疎遠になっていった。小倉祇園太鼓の日、夏休みのため敏雄が五高の先生を連れてきて帰省した。本場の祇園太鼓を聞きたがっていた先生の案内役をしていた松五郎は、山車に乗って撥を取り太鼓を打つ。流れ打ち、勇み駒、暴れ打ち。長い間聞くことのできなかった本場の祇園太鼓を叩き、町中にその音が響いた

    それから数日後、松五郎は吉岡家を訪ね、夫人に対する思慕を打ち明けようとするが、「ワシの心は汚い」と一言言って、彼女のもとを去った。その後、松五郎は酒に溺れ、遂に雪の中で倒れて死んだ。彼の遺品の中には、夫人と敏雄名義の預金通帳と、吉岡家からもらった祝儀が手を付けずに残してあった

    いわゆる人情&悲恋ものです。話しと時代背景は日本人の琴線に触れますね。三船敏郎版はカラーだし、吉岡夫人にはあの高峰秀子です。こちらも観るしかないだろうと。高峰秀子を大画面で見れる機会はないと思うので。こちらは検閲カットのない完全版です。

    思ったのは三船はさすがの演技、高峰秀子は声が少しだみ声なので色気がないかなと思ったのですが、やっぱりあの運動会のシーンでの阪妻の方に軍配を上げるな。思うに、妙に検閲でカットたれた阪妻の方が優れているのです。あの三船の最後の雪の中のシーンも必要ないし、婦人に打ち明けようとするところもなくても良いよ。阪妻版の最後バサッと切る方が余韻があってよいね

    だけど三船版での拾い物は、親分役に笠智衆が見れたところかな。これは拾い物です。

    話しは変わりますが、高峰秀子の著書「わたしの渡世日記」は傑作だよ。あの楠木建教授も大推薦だよ。