今「FIRE」という言葉が流行中。本多静六に言わせれば、“人生の最大幸福は職業の道楽化”にあるという

今、「FIRE」という言葉が流行っているということを初めて知ったのです。それは日経ヴェリタスに掲載された経済コラムニストの大江英樹さんのコラムからだったのです。

ここで言う「FIRE」とは、Financial Independence, Retire Earlyの頭文字をとったもので、若いうちから資産形成を進めることで「経済的自立」と「早期退職」を目指す人生戦略のことを指すのだそうだ。

日経平均株価が30年半ぶりの高値に駆け上がったことも相まって、ここ最近で資産を一気に増やした人は多いだろうと思う。書店に行っても「FIRE」という文字が目につく本はざっと10種類以上、平積みされている。その多くは「“億り人”になって早期リタイア」という内容がほとんどだ。

FIREは今やちょっとしたブームといってもいいだろう。筆者の友人にも50代前半でFIREを達成した人がいる。

だけど、大江さんご自身は少し違う見方をされているのです。

かつて筆者自身もそうゆうことに憧れた時期があった。十分な才覚も機転もないまま、大した金融資産も持たずに定年退職を迎えてしまったので、とても勝ち組とはいえない。でも、決して負け惜しみで言うわけではなく、定年後10年近くたって現在も現役で仕事をしている私自身の気持ちに照らせば「これまでの人生で、今が最高に充実した生活」と言い切れる。

その最大の理由は「自己決定権」にある

大江さんによれば、サラリーマンには仕事上で言えば「自己決定権」が少ないか or なく、だから仕事が苦行に近いものになると言うのです。確かに、そのとおりです。

明治から昭和にかけて、植林や造園、産業振興など多方面で活躍し、同時に投資によって巨額の資産を築いた本多静六という人がいる。彼の書いた「私の財産告白」は今日に至るも不朽の名著といっていいのだが、その中に筆者にとって最も印象的な言葉が書いてある。それは「私の体験によれば、人生の最大幸福は職業の道楽化にある」というフレーズである。

この「FIRE」という言葉を広めたのは、この「FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド」という本かと思います。

この著書の言う資産運用の要点は、株式と債券の比率を6対4に、株式部分は地元「カナダ」と「米国」「欧州+アジアなど」に3分の1ずつ分散することに決定し、この比率に従って、それぞれの指数に対応する投資信託を買ったという。現在は、通常の投資信託よりもETF(上場投資信託)がおすすめとのことです。

最終的に大事なのは、お金よりも自由。そう痛感した著者は早期リタイアを目標に定める。きっかけは「4%ルール」(資産が年間生活費の25倍に達すれば、95%の確率で毎年4%を取り崩す生活を30年続けられる)を知ったこと。さらに投資に励む一方、このルールの確実性を高めるために独自の工夫を講じるなどした末、ついに会社を辞めて世界旅行に旅立ったという。東南アジアなどでの滞在を増やすことで、自国で普通に暮らすよりも出費を抑えられることを発見し、「FIRE」を実践中ということです。

投資とリタイアは自己責任で。



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