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  • 2021年のGWにヴィスコンティの超大作「ルートヴィヒ」を見た。すごいものを観たの一言

    2021年のGWにヴィスコンティの超大作「ルートヴィヒ」を見た。すごいものを観たの一言

    2021年のGWに2日間かけて、 ルキーノ・ヴィスコンティの超大作「ルートヴィヒ」(デジタル完全修復版)を自宅で観た。何せ、3 時間 57 分の大作なのです。

    5年間、本棚に置いて、そろそろ熟成が進んだと判断して、意を決して観たのです。

    観た後の感想。一言、「すごいものを観た」。この映画は、ヘルムート・バーガーとロミー・シュナイダー抜きには語れないですね。これをキャスティングした、ヴィスコンティ、やはりすごい洞察力です。こんな映画を、今では製作できる人も監督もいないなと断言できます。

    物語はこんな感じです。

    巨匠ヴィスコンティが悲劇の大帝ルートヴィヒ2世を描ききる

    19世紀、18歳でバイエルン国王に即位したルートヴィヒ2世は音楽家ワーグナーに傾倒し、国の予算を危険にさらすほどの援助を施す。
    従姉のエリーザベト皇后に恋い焦がれるもその恋は叶わず、彼女の妹ゾフィーと婚約するもこれを破棄。
    さらに戦争を嫌った彼は前線に弟のオットーを送り出すもののその弟は帰国後、精神を病んでしまう。
    数々の苦渋に苛まれた彼はいよいよ厭世的になり、美男の従僕たちとの退廃的な暮らしに耽溺。
    国王の役目を果たさないことに業を煮やした官僚たちは、彼から王位を引きはがそうと画策し始める……。

    俗にこのルートヴィヒ2世、神話に魅了され長じては建築と音楽に破滅的浪費を繰り返した「狂王」の異名で知られるわけですが、後に残したものが物語るのが、一般の人には見えていない世界があったいうことでしょう。ノイシュヴァンシュタイン城やバイロイト祝祭劇場を残しただけで、現在のドイツの最大の遺産になっているのですから。

    まさに天才と狂人は紙一重ですね。

    今まで自分が観た映画のトップ3はこの3つです。

    • ゴットファーザー(1)
    • ディア・ハンター
    • ニューシネマ・パラダイス

    だけど監督では、ルキーノ・ヴィスコンティがダントツですね。そして、ヴィスコンティの作品のベスト3は以下の3つだと断言できます。

    • 山猫
    • ルートヴィヒ
    • ベニスに死す

    ヴィスコンティの映画なかで、徹底してひとりの人物に焦点を絞ってその生涯を追ったのは、この「ルートヴィヒ」だけなのです。それほど、ヴィスコンティにとっては魅力的な人物だったのだと想像できます。

    DVDに内包されていた中条省平さんの言葉です。

    「山猫」には、鮮やかな色彩があり、南国シチリアの陽光に輝く空気があり、戦争や舞踏会などスペクタルがあり、悠揚として流麗なカメラの動きがあります。見る者を否応なく物語とイメージとアクションの興奮に巻き込んでいくような映画の快楽があるのです。

    これに対して、「ルートヴィヒ」を満たしているのは、陰鬱に沈む黄昏と暗闇の世界であり、冷たい冬のドイツの雪と霧と雨であり、また、狂気と死にむかって緩慢に進行する主人公の精神と肉体のデカダンスであり、その様相をじっくりと凝視する胸苦しいまでの画面の重さなのです。

    この映画の中ではワーグナーも重要な役割を担っているのです。なんたって、美と芸術に傾倒するルートヴィヒ2世ですから。そのワーグナー楽劇「トリスタンとイゾルデ」のずいぶん昔の記事ですが、作曲家の三枝成彰さんの言葉です。

    実演と心から感動したのは80年代初め、ワーグナー自身が建てた独バイロイト祝祭劇場でみたジャン・ピエール・ポネル演出、ダニエル・バレンボイム指揮の舞台。第1幕の後の休憩で今は亡き映画監督の友人、相米慎二と二人して「参ったな」と言ったきり、口がきけない。2度目の休憩も同じ。すごい体験だった

    2021年のGWは、恐るべしルキーノ・ヴィスコンティの「ルートヴィヒ」体験をしたのでした。

  • オードリー・ヘプバーンの幸せな時間(1)住んでいたスイスの街はビュルゲンシュトックだよ

    オードリー・ヘプバーンの幸せな時間(1)住んでいたスイスの街はビュルゲンシュトックだよ

    2020年の夏休みの旅行はスイスに行こうと2019年10月頃にターキッシュエアラインズのチケットも購入し、旅の準備をしていたのでした。ジュネーブかチューリッヒにインし、宿泊はレマン湖の対岸のフランスのエビアンのヒルトンに宿泊予定だったのです。

    何故、わざわざレマン湖を挟んでフランス領側に宿泊するとかと言うと、スイス・フラン高でユーロで支払った方が割安という理由なのです。

    そして、その時に是非訪問したかったのが、生前オードリー・ヘップバーンがスイスに居を移して住んでいた村にいくことも一つの目的だったのです。

    そんなことを考えていたのですが、今回、JALのweb情報サイトの「CLASS EXPLORER」に参考になる記事が掲載されたのです。

    記事は旅行ライターの鈴木博美(すずき ひろみ)さんです。自分の備忘録としてメモしておきたいと思います。

    題して、「スイス ツークのサクランボケーキ〜オードリーの幸せな時間」。SKYWARD 2019年6月号掲載されたものですね。

    かつて、銀幕の妖精と呼ばれた女優、オードリー・ヘプバーン。スクリーンに映し出される可憐で気品に溢れる姿は、今なお人々を魅了してやまない。その彼女が居を構えたのがスイスだった。生誕90周年を迎えた今年、在りし日の面影を追って、彼女がこよなく愛した場所を旅する。

    サクランボ薫る中世の街

    湖に初夏の陽光が照りかえり、中央スイスを代表するピラトゥス山、リギ山、シュタンザーホルンの山々が晴れやかに澄んだ青空にそびえている。爽やかな風が運ぶ緑の匂いが鼻腔をくすぐる。

    チューリッヒから鉄道で南へおよそ50分。中央スイスに位置する湖畔に佇む街ツークは、小さいながらも低税率の恩恵から世界各国の企業が支社を置く国際的な街だ。一方で、2000m級の山々と旧市街に残る中世の美しい街並みが織りなす絵画のような風景が、訪れる者を魅了する。街の歴史は古く、アルプスを越えてヨーロッパを南北に結ぶゴッタルド街道の分岐点に当たるため、古来栄華を極め、旧市街に残る1505年に建てられた後期ゴシック様式の市庁舎や街のシンボルでもある時計塔などが往時の面影を残している。

    (中略)

    トライシュラーで朝食を

    ところでツーク湖には妖精伝説が語り継がれている。湖の妖精が人間に恋をして結ばれ、湖底で暮らし始めるが、夫が故郷を懐かしむのを気の毒に思い、魔法で街全体を沈めてしまったという。真偽のほどは定かではないが、今でも湖の底から教会の鐘の音が聴こえたり、湖の底に暮らす人々が見えたりするのだとか。早朝に霧がかった湖は、そんな伝説を想起させる。やがて日が昇り青空が広がると、湖畔の住人が湖に飛び込みひと泳ぎ。それがツークの日常だ。

    自然と共存することは特別なことではなく、生活の一部なのだ。

    湖と同じくらい人々に愛されているのが、100年以上も続くベーカリー兼ケーキパーラーの「トライシュラー」。ここは、チャールズ・チャップリンにイギリス元首相のウィンストン・チャーチル、そしてローマ教皇のフランシスコをはじめとする多くの著名人にも愛され続けてきた老舗カフェだ。彼らが求めたのはキルシュヴァッサーをたっぷりと染み込ませたサクランボのケーキ「キルシュトルテ」。とりわけオードリー・ヘプバーンは、1954年から68年の間、ツークから車で40分ほどのビュルゲンシュトックに居を構えていた際、このケーキを目当てに度々訪れていた。それはちょうど映画『ティファニーで朝食を』の主演が決まり、前歯のすき間を矯正する指示を受け、紹介された歯医者がここツークだったことから始まる。彼女は歯医者に通う道すがら、トライシュラーのキルシュトルテに出合ったという。以来、このケーキをこよなく愛し、ときにはカフェで楽しみ、また友達にプレゼントするために買って帰ったりしたそうだ。

    長くなりそうなので、明日に続きます。

  • ホブ・デュランにノーベル文学賞なら、ジョニ・ミッチェルもノーベル文学賞に該当するのでは、「Both Sides Now」は物事の真理をつく、名作

    ホブ・デュランにノーベル文学賞なら、ジョニ・ミッチェルもノーベル文学賞に該当するのでは、「Both Sides Now」は物事の真理をつく、名作

    今日は、現在(2020年12月)、病気で苦しんでいるというジョニ・ミッチェルについて書きたいと思います。

    ジョニ・ミッチェルは1943年11月生まれですから、現在は78歳ということになります。自分が思うに、歴代の女性のシンガーソングライターで(容姿でなく)音楽性で一番かっこよいと思うのが彼女なのです。

    ジョニの代表曲は「Both Sides Now」(邦題: 青春の光と影)という曲だと思いますが、詩の内容と表題があっていないんだな。

    自分なりに意訳すると、「今分かったの、ものには2面性があるということを」と言う感じになると思います。

    歌詞は哲学的です。“昔は1つの側面からしか見れなかったのだか、今は両側から見れるようになった、人生における勝者と敗者の側、恋愛もそろばんづくだったり、そうでもなかったり”云々です。

    ブレグジットの是非もどちらの側で見るかによって感じ方はさまざまです。トランプとバイデンにしてもどちらの側から見るかです。

    邦題は青春が前面に出てきて、青春歌の感を呈しているのです。

    このジョニの世界観とは違いますが、時代的にも比較できるのが、日本で言えば、中島みゆきの「時代」という曲かな。この曲は輪廻転生を唄っている曲だと思いますが、ジョニ・ミッチェルの「Both Sides Now」の方がより哲学的でミステリアスで詩的な歌詞です。

    でこの歌はヒューグラント主演の名作「love actually」でもまさにピッタリのシーンで流れるのですね。

    ジョニ・ミッチェルのアルバムの中では、「SHADOWS & LIGHTS」にとどめを刺すと思います。1980年に発表したライブ・アルバムです。1979年9月にカリフォルニア州のサンタ・バーバラ・ボウルで収録された音源が使用されています。

    何せ、バンドのメンバーがすごすぎます。

    • ジャコ・パストリアス
    • ドン・アライアス
    • マイケル・ブレッカー
    • パット・メセニー
    • ライル・メイズ

    当時でも大変なメンバーだったと思います。これだけの人たちを集める彼女のプロデュース力には感心します。このアルバムでのジャコは完璧ですね。一番脂がのっている時期だと思います。

    「The Dry Cleaner from Des Moines」でのマイケル・ブレッカーとジャコ・パストリアスとのからみは最高なのです。

    そして、最後に今日の結論です。ボブ・デュランにノーベル文学賞が差し上げたのなら、ジョニ・ミッチェルにもノーベル文学賞を差し上げないといかんと思うのです。それと、ポール・サイモンにもね。

    まあ、音楽史上で楽々とクロスオーバーな世界を実現した2人の天才はマイルスとジョニだけだと思います。

  • ニューシネマパラダイスの監督を描いた「トルナトーレ 我が映画人生」でモリコーネとの絆に涙したな

    ニューシネマパラダイスの監督を描いた「トルナトーレ 我が映画人生」でモリコーネとの絆に涙したな

    この週末に大変興味深い映画というか、ドキュメンタリーを見た。

    そのDVDのタイトルは「トルナトーレ 我が映画人生」というものです。

    あの「ニューシネマパラダイス」で有名なジュゼッペ・トルナトーレ を本人と関係者がその映画人生を語るというものです。

    ちなみに自分の中での映画のベスト3は以下のとおりかな。

    • ゴットファザー1(天才コッポラ渾身の一作)
    • ディアハンター(マイケル・チミノはこれ一作を作っただけで歴史に名を遺した)
    • ニュー・シネマ・パラダイス

    無理やり3本を選べと言われたらこうなりますが、他にはルキーノ・ヴィスコンティの「山猫」やロバート・ワイズの名作「サウンド・オブ・ミュージック」などが上がります。

    で、今回、「トルナトーレ 我が映画人生」を見て初めて知ったことで、興味深いことが多々あったのです。

    アマゾンの紹介文です。

    アカデミー賞外国語映画賞を受賞した『ニュー・シネマ・パラダイス』で賞賛を集め、それ以降、『海の上のピアニスト』『マレーナ』『鑑定士と顔のない依頼人』など、数多くの秀作を撮り続けている名匠ジュゼッペ・トルナトーレに迫るドキュメンタリー
    トルナトーレ本人はもちろんのこと、ティム・ロスやモニカ・ベルッチ、ジェフリー・ラッシュなど彼の監督作に主演した名優たちや映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネらのインタビューなどから、トルナトーレの映画作りや、映画に掛ける情熱を浮き彫りにする

    歴史的な名作「ニューシネマパラダイス」は最初4時間近い映画でイタリアで公開したが、全く芳しくなく、3時間弱程度に縮めてもサスペンス映画のようになり、全く興行的にダメだったのこと。

    そして、約2時間のバージョンを作成し、アメリカのアカデミー賞で賞を獲得したことで、世間の評価が変わったこと。

    アカデミー賞を獲得してイタリアに帰国して、記者からのインタビューを全く無視し、次回作に仕事にすぐにとりかかったとのことです。

    そんな中、あの巨匠のフェリーニから突然電話が掛かってき、めったにないことだから「楽しめよ」という言葉をもらったとのことです。

    そして、「シチリア! シチリア! 」は彼の育ったシチリアの村を再現した映画とのことです。撮影は、対岸のアフリカのチュニジアでその村のセットを作って、予算的にも大変な映画だったことが語られます。

    特にこの映像の中で印象深かったのは、あの故エンリオ・モリコーネがトルナトーレを語る映像には胸が打たれました。極め付きは、トルナトーレとモリコーネ、ドパルデューが揃ってモリコーネの曲を楽しく歌う映像にはしびれました

    モリコーネは語ります。トルナトーレが語る「モリコーネは自分の父であり、息子でもある」と語ることに、二人の間の強いつながりを感じました。

    現代の映画界のマエストロの「トルナトーレ 我が映画人生」は監督を目指す人にとっては必見と思った次第です。

    だけど、トルナトーレはかなり内気な人で、仕事中毒のシチリア人ですね。

    基本的には同じイタリア人でもシチリア人とナポリ人を比べれば、月とスッポンほど違うと、トルナトーレは話していたのでした。とにかくシチリア人は、外交的な性格の人種ではないと言い切っていたのが印象的でした。

    「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を鑑賞、天才の仕事場を見れるだけでも奇跡のようなことだよ





  • ポンジュノの「パラサイト 半地下の家族」は是枝裕和監督の「万引き家族」と下地が何か同じだな。アジア的

    ポンジュノの「パラサイト 半地下の家族」は是枝裕和監督の「万引き家族」と下地が何か同じだな。アジア的

    先日はビデオのレンタルが始まった直後に、アカデミー作品賞を取った評判が高い「パラサイト 半地下の家族」をレンタルして自宅で鑑賞したのでした。

    何といっても、第92回 アカデミー賞 作品賞、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞受賞の4部門を受賞しています。

    ちなみに、この時作品賞の候補となった作品は下記のとおりです。

    • 「パラサイト 半地下の家族」 – クァク・シネ、ポン・ジュノ double-dagger
    • 「フォードvsフェラーリ」 – ピーター・チャーニン、ジェンノ・トッピング、ジェームズ・マンゴールド
    • 「アイリッシュマン」 – マーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ、ジェーン・ローゼンタール、エマ・ティリンジャー・コスコフ
    • 「ジョジョ・ラビット」 – カシュー・ニール(英語版)、タイカ・ワイティティ、チェルシー・ウィンスタンリー
    • 「ジョーカー」 – トッド・フィリップス、ブラッドリー・クーパー、エマ・ティリンジャー・コスコフ
    • 「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」 – エイミー・パスカル
    • 「マリッジ・ストーリー」 – ノア・バームバック、デヴィッド・ハイマン
    • – サム・メンデス、ピッパ・ハリス、ジェーン=アン・テングレン、カラム・マクドゥーガル
    • 「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」 – デヴィッド・ハイマン、シャノン・マッキントッシュ(英語版)、クエンティン・タランティーノ

    自分は、「フォードvsフェラーリ」「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」「1917 命をかけた伝令」以外は既に鑑賞しているのでした。

    「パラサイト 半地下の家族」を鑑賞しての第一印象は、これが作品賞なのかという、少し違うのではないかなという疑問を持ったのでした。

    批評では韓国の格差社会をよく描いて世界的にも問題になっているイシューに取り組んでいるなどの評を聞きますが、何か映像にも作品にも力がないんだな。

    但し、脚本は秀逸です。最後の終わり方などは面白い設定をしているなと感心しました。

    何か、昨年の第71回カンヌ国際映画祭において、最高賞であるパルム・ドールを獲得した日本の是枝裕和監督の「万引き家族」に構成も問題意識も同じように自分には思えるのです。

    後半にさしかかるころの男女の絡みの部分も同じなんだな。

    そう、極めて何かアジア的な香りの映画なのです。作品賞というには、もう少しおおきなスケール感が欲しいな。

    ポン・ジュノ監督の作品なら評価の高い「殺人の記憶」の方が映画的なパンチ力はあるのではないかと思います。

    そんな感じを持った「パラサイト 半地下の家族」ですが、自分ならやはり作品賞には一番の話題作の「ジョーカー」を選んだと思います。

    後世にも語り継がれる映画だと思います。世相も反映しているし、暗示的な作品です。

    だけど、2年前のアカデミー監督賞のネットフリックス作品であるアルフォンソ・キュアロン監督の「ROMA/ローマ」はすごかったな。半端ない映像美というのはこの作品のことをいうのだと確信しました。
    そして、「パラサイト 半地下の家族」を鑑賞した翌日に観た「ジョアン・ジルベルトを探して」は佳作ながら、ボサノバ好きなら観て損のない作品でした。

    この映画を見て、リオデジャネイロに無性に行きたくなったんだな。あの晩年のジョアンが定宿にしていたという映画にも出てくる「コパカバーナパレス」に泊まりたいな。

  • 追悼 エンリオ・モリコーネさん91歳で死去。20世紀後半の一番偉大な作曲家を失くしました

    追悼 エンリオ・モリコーネさん91歳で死去。20世紀後半の一番偉大な作曲家を失くしました

    現在の音楽家で一番偉大と自分は思っているエンリオ・モリコーネ(Ennio Morricone)先生が新型コロナウィルスで自粛が求められているこの時に、2020年7月6日にご逝去されたという報道を自分は7月7日の日本経済新聞の訃報欄で知ったのでした。

    E・モリコーネさん死去 映画音楽の巨匠、91歳

    イタリアの作曲家で、「ニュー・シネマ・パラダイス」など数々の映画音楽を担当した巨匠、エンリオ・モリコーネさんが7月6日、ローマの病院で死去した。91歳だった

    大腿(だいたい)骨を骨折し入院、手術を受けた後、容体が悪化したという。イタリアのメディアが報じた。

    名門サンタ・チェチーリア音楽院で学び、1950年代から活躍、400本以上の映画音楽を手掛けた。

    マカロニウエスタンの代表作「荒野の用心棒」をはじめ、幼なじみでもあるセルジオ・レオーネ監督の多くの作品で音楽を担当。

    口笛によるメロディーなど、叙情的で優雅でありながら強い印象を与える音楽が特徴として知られていた。

    衝撃を受けました。

    このような報道を受けヨーヨーマ(Yo-Yo Ma)のがTwitterでエンリオモリコーネの追悼のニューシネマパラダイスから愛のテーマを演奏した動画と、つぶやいた言葉です。

    私はエンリオ・モリコーネが情熱(energy)・空間(space)・時空(time)としての音楽で描いてきた手法を決して忘れないでしょう。

    それはおそらく自分が今まで聞いてきた最も簡潔で正確な表現方法だったのです。

    我々は本当に彼がいなくなって寂しい思いをするでしょう。

    ヨーヨーマとモリコーネは「ヨーヨー・マ・プレイズ・モリコーネ 」という作品を一緒につくっていますね。これは間違いなく名盤です。

    エンリオ・モリコーネは小泉純一郎さんが首相だった時、一番好きな音楽家は誰と聞かれて、もちろん、モリコーネと答えた記憶が鮮明にあるんだな。

    おそらく20世紀後半の一番偉大な作曲家だったと自分は確信しています。

    映画音楽の中でどれが一番好きかと問われれば、自分はモリコーネの「ニュー・シネマ・パラダイス」か、スタンリー・マイヤーズ作曲による映画『ディア・ハンター』のテーマ曲の「カヴァティーナ」の2つのうちのいずれか一つになると思います。

    だけど、クリント・イーストウッドとセルジオ・レオーネが組んで作ったマカロニウエスタンのモリコーネの音楽は斬新で奇抜で才気あふれるものです。

    残念ながら、本場のアメリカのウエスタン映画で音楽が浮かぶ映画はほとんどありません。

    本当に偉大な人物を亡くしました。ご冥福をお祈りします。

  • アミール・カーンは偉大なり。アミール・カーン賛歌。「シークレット・スーパースター」は今年のベストワン映画だな。決まり

    アミール・カーンは偉大なり。アミール・カーン賛歌。「シークレット・スーパースター」は今年のベストワン映画だな。決まり

    アミール・カーンと聞いてまず思い浮かぶのが、この人、プロレスラーかなという名前のひびきです。実は、インドの至宝と呼ばれる映画スターなのです。そう言えば、昔、タイガー・ジェット・シンという悪役プロレスラーがいたな。

    日本で言えば、渡辺謙というところかな。ケン・ワタナベの方か少しスケールが小さいかなとも思います。

    そのアミールカールの映画がDVDで発売されたと聞いたので、土曜日に視聴したのでした。

    タイトルは「シークレット・スーパースター」です。

    キャッチコピーはこんな感じです。

    インドの国宝アーミル・カーン出演&製作作品!

    落ち目のプロデューサーと、ワケありYOUTUBER少女。 人生逆転をかけてタッグを組む! ?

    最初はベタなスター誕生みたいな映画と思っていたのですが、まあ、アミールカーンが出ているなら大丈夫だろうということで視聴しはじめたのです。

    2時間20分ぐらいの長い映画です。インド独特の歌とダンスも入ります。

    で、結論的に言うと、自分の中では今年度ナンバーワン映画だと思います。4月ですが、はや決定といったところです。

    アーミル・カーンが脚本に惚れ込み、自らが主演・製作を引き受けた作品というのですが、それもうなづけます。脚本が大変良くできています。

    母子愛、純愛、姉弟愛、人間愛にあふれています。

    アマゾンでの、作品紹介です。

    インドに暮らす少女インシア(ザイラー・ワシーム)のただ1つの夢はインド最大の音楽賞のステージで歌うこと。
    しかし父親は、娘が学業に専念し、叶わない夢など見ないよう歌を禁じる。
    そこで彼女がとった策は、顔を隠した姿で歌った動画をこっそりとYOUTUBEにアップ。
    彼女の歌声はたちまち大人気となり、その話題はインドで最も力があるが若干落ち目の音楽プロデューサー、シャクティ・クマール(アーミル・カーン)との出会いをもたらすのだが・・・! ?
    若き天才女優ザイラー・ワシームが、夢をあきらめない少女をみずみずしく演じ、『ダンガル』の二人が再タッグを組む本作は、『ダンガル』『バーフバリ』に続き、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』を超えて、インド映画、歴代世界興収第3位を奪取(2019年4月現在)!
    世界中の人々を笑いと涙で包んで、夢を追う喜び、苦難を乗り越える強さを描く、サクセスストーリー!

    作品のポイントとしては下記のとおりです。

    インド映画史上、歴代世界興収第3位! (2019年4月現在)

    ★ゴールデンメンバーが集結、メディア・観客の心を揺さぶる絶賛の嵐!
    “インドの国宝”的俳優、アーミル・カーンが脚本に惚れ込み、自らが主演・製作を引き受けた本作。
    インドの教育に対しての疑問を風刺で描いた『きっと、うまくいく』(09)、男女の不公平問題について掘り下げた『ダンガル きっと、つよくなる』(16)など、彼の作品は常にインドの現代社会に焦点を合わせて、
    問題を正面から指摘しながら、温かい眼差しで描き続けている。

    ★『きっと、うまくいく』のアーミル・カーンが製作・出演。
    メガホンを取るのは、アーミルの元マネージャーで本作が監督デビュー作となったアドヴェイト・チャンダン。
    『ダンガル きっと、つよくなる』でアーミルが扮した父親の娘を演じたザイラー・ワシームをはじめ、『バジュランギおじさんと、小さな迷子』のメヘル・ヴィジュらが共演。

    ★『シークレット・スーパースター』は子供たちに自分の夢を守る権利があること、自分らしく生きる勇気を持つことを教えてくれる。
    旧社会の束縛を体現するインシアとその姿を見守る母が保守的で権威的な父に立ち向かっていく本作は、戦う女性の映画として、世界中の人々の心を魅了し、高く評価された珠玉のエンタテインメント作品となっている。

    アミールカーンの映画をまだ見ていない方は、下記辺りが大変おすすめです。

    • きっと、うまくいく(これ、傑作です)
    • PK(これも、傑作です)
    • チェイス
    • ダンガル

    で、「シークレット・スーパースター」のエンドロールですが、これもしっかり最後まで見ててください。おもしろいしかけがあるのです。

    アミールカーンは天才だな。

  • BBCワールドがアマゾンプライムビデオで月額792円で視聴できるとは知らなかった。いわゆるチャンネルというのも流しているのです

    BBCワールドがアマゾンプライムビデオで月額792円で視聴できるとは知らなかった。いわゆるチャンネルというのも流しているのです

    以前のブログで、CNNやBBCワールドを見るにはこれが一番安いという記事を書いたことがあります。

    Huluには、リアルタイムという区分に「チャンネル」というものがあります。

    そこで、リアルタイムに流れているのが以下のコンテンツになります。

    • Foxチャンネル
    • ナショナル ジオグラフィック
    • MTV MIX
    • History
    • BBCワールドニュース(日 or 英)
    • CNN 日テレNEWS24
    • ニコロデオン
    • Baby TV
    • ピックアップ Hulu

    計11チャンネルがリアルタイムで視聴できます。 もちろん、海外ドラマや映画などの約5,000本も見放題で、月額料金は933円(税抜)です。

    当然、ストリーミングの動画配信サービスですので、パソコンやスマホでも視聴可能です。

    テレビでも、Googleのchromecastや、アマゾンのFire TV Stick経由で視聴可能ということになります。もちろん、この方法でCNNもリアルタイムで視聴可能です。

    CNNやBBCワールドをテレビで視聴するなら、この方法が一番で手軽でかつ便利です、と

    そして、現在の新型コロナウィルスが世界中に感染拡大が加速しています。

    どうしても、日本のテレビの報道は偏りがちです。そんな中、英語の勉強も兼ねてリアルタイムに外国のニュース番組を見たいというニーズも高まっているように見えます。

    そんな中、ある方のツィートが流れてきたのです。

    Amazonプライム会員の方なら、プラス792円でBBC WORLD NEWSを見ることができるというものです。

    Amazonのプライムビデオでチャンネルを見るという習慣が今までなかったので、全く想像だにできなかったのです。

    確認すると、プライムビデオにもチャンネルというジャンルがあります。

    そして、いろいろなチャンネルがあります。

    (映画)

    • +松竹
    • シネフィル+WOWOW
    • STAR EX
    • アジアドラマチャンネル 等々

    (スポーツ)

    • J Sports

    (ニュース)

    • BBC World News
    • 日経CNBC+ 等々

    そして、Amazon プライムビデオはチャンネルごとに契約していくタイプです。いわゆる、チャンネルをいくつか束ねてパッケージで月額課金するようなシステムではないようです。

    アマゾン プライムビデオでのBBCの紹介文です。

    プライム会員なら、BBCワールドニュースなどのチャンネルもPrime Videoで楽しめます。

    ケーブルやアンテナの設置なしですぐ利用でき、いつでもキャンセル可能。お支払いは観たいチャンネル分だけ。

    14日間の無料体験 無料体験後は月額¥792

    14日間の無料体験もあるし、試してみようかな

    アマゾン プライムはよく利用しているのですが、チャンネル視聴があるとは、灯台下暗しでした。

  • お前も悪よのう、「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」は是非見るべしのドラマ、チェザーレがこんな人物だったとは

    お前も悪よのう、「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」は是非見るべしのドラマ、チェザーレがこんな人物だったとは

    数か月前の日経新聞に取り上げられていた、「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」は是非見るべしドラマと激賞されていた

    そして、ここ2ケ月ほど土日を利用して全部見たのでした。

    シーズン1から3まである相当長いドラマです。

    部見終わった素直な感想は大変おもしろいドラマと思います。

    要は中世、ルネッサンス時代のローマが舞台です。ボルジア家はスペイン系の家庭で、ドラマの始まりは前ローマ教皇の死亡により、新教皇が選べれるコンクラーベから陰謀のはじまりです。そして、ロドリーゴ・ボルジアが新教皇に選ばれて、物語は始まります。

    教皇となったボルジア家族の陰謀と権力欲が渦巻きます

    アマゾンの紹介では

    15世紀末ルネッサンス期。ヨーロッパの各都市は華やかな芸術に満ちあふれ、商業は繁栄し、人々は文化的な生活を謳歌していた。しかし、その陰で、貴族と下層階級の対立、同族同士の争い、殺人やレイプといった犯罪も大いに蔓延る時代でもあった。1492年、そのヨーロッパの中心バチカンでロドリーゴ・ボルジアは法王の座に着き、ボルジア家による背徳にまみれた治世が始まる……。

    そして、この物語は日本でも丁度同じお話があるのです。

    司馬遼太郎の「国盗り物語」と話は同じだと思いました。どちらも宗教家から成りあがっていく話しですね。国盗り物語の斎藤道三より、こちらのロドリーゴ・ボルジアの方が悪では一枚も二枚も上手ですね。

    自分はチェザーレ・ボルジアという名前は塩野七生さんの著書「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」 (新潮文庫)で知ってはいたが、数十年前に購入していたが、まだ読んではいなかった。こんな物語とは知らなかったな。チェザーレはまさしく法衣をまとった戦士です。

    このドラマを制作したのは、ニール・ジョーダンという人です。脚本も監督もこの人がやっていますね。

    主演は教皇役はジェレミー・アイアンズ (出演), チェザーレ役は新人のフランソワ・アルノー 。ドラマにはマキャベリも出て来ますね。マキャベリの君主論はこの“チェザーレ・ボルジア”という人のことを書いたものとは初めて知ったのでした。

    そしてドラマ最後の圧巻は、シーズン3の最後の方に出で来る教皇の考えを聞かされるシーンかな。ローマ教皇庁を完全に自分の家族のものとする恐ろしい考えが明かされます。

    これにはビックリしました。まさに、自分たちのことしか考えていないとは、驚きです。

    塩野さんの「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」の裏表紙の言葉です。

    熟練した戦略家たちもかなわなかった彼の“優雅なる冷酷”とは。

    「毒を盛る男」として歴史に名を残したマキアヴェリズムの体現者、チェザーレ・ボルジアの生涯

    この本のあとがきは、沢木耕太郎さんが書いているとは知らなかったな。

    この本は塩野七生さんの2作目の本ですね。

    今年見たドラマでは、

    1. 「情熱のシーラ」
    2. 「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」

    だけど、お主も悪よのう、という言葉が良く似合うテレビドラマですね。お金も相当にかかっているドラマです。是非、まだの方はご鑑賞を。

    これを見ずには死ねるか!

    これを観ずに死ねるか「情熱のシーラ」は原作良し、ロケ場所良し、時代背景良し、主人公の設定良し、近年見たドラマでは最高





  • CNNはHulu経由でリアルタイム視聴ができるよ、知らなかった、視聴はスカパーやCATV経由だけだと思っていた

    CNNはHulu経由でリアルタイム視聴ができるよ、知らなかった、視聴はスカパーやCATV経由だけだと思っていた

    急に国際情勢緊迫(笑)のおり、CNNを自宅のテレビで視聴したくなった。

    その場合、選択肢はスカパーでチャンネル契約をするしかないなと思っていた。従来の頭では。

    • 基本料 (421円/月 税込)
    • CNNj(972円/月 税込)
    • BBCワールドニュース(972円/月 税込)

    上記のとおり、最低でもCNNを1チャンネル視聴するだけで、1,393円かかると言うことです。

    だけど、CNNを1チャンネルだけ視聴するのに、1,400円弱かかるのはなんとなく馬鹿らしいな思っていた次第です。それで躊躇していた。

    自分は、有料動画サービスにはamazon primeとNetflixに加入している。そして、この2つの有料動画サービスにはいわゆるチャンネルという概念はないので、テレビチャンネルが見れるとは露にも思っていませんでした。ただし、BBCワールドニュースはamazon prime videoでライブ視聴できます。

    その有料動画サービスの1つにHuluがあります。日本では、日本テレビ系の資本が入っております。ここも映画や単発のコンテンツだけと思っていました。

    しかし、うかつでした。

    Huluには、リアルタイムという区分に「チャンネル」というものがあります。そこで、リアルタイムに流れているのが以下のコンテンツになります。

    • Foxチャンネル
    • ナショナル ジオグラフィック
    • MTV MIX
    • History
    • BBCワールドニュース(日 or 英)
    • CNN
    • 日テレNEWS24
    • ニコロデオン
    • Baby TV
    • ピックアップ Hulu

    などのチャンネルがリアルタイムで視聴できます。

    もちろん、海外ドラマや映画などの約5,000本も見放題で、月額料金は1,026円(税込)です。

    当然、ストリーミングの動画配信サービスですので、パソコンやスマホでも視聴可能です。

    テレビでも、Googleのchromecastや、アマゾンのFire TV Stick経由で視聴可能ということになります。もちろん、この方法でCNNもリアルタイムで視聴可能です。

    CNNやBBCワールドをテレビで視聴するなら、この方法が一番で手軽でかつ便利です。

    現在も、「2週間の無料お試し」キャンペーンが展開されています。

    まあ、動画や映画のコンテンツはamazon primeやNetflixと重複しますが、CNNを初めとするチャンネルを視聴するだけでも価値があるHuluということが判りました。

    ちなみに、日本で一番加入者が多い動画配信サービスはこのHuluとのことです。

    そして、ジャイアンツファンには、もちろん日テレ系ですので、ライブで「ジャイアンツLiveストリーム」というサービスも視聴できるようです。もちろんライブです。

    2周間無料トライアルはこちらからどうぞ

  • 映画「判決、ふたつの希望」を見た。映画自体はすばらしいが。タランティーノとは違う難しいテーマの映画。解決策はないのでは?

    映画「判決、ふたつの希望」を見た。映画自体はすばらしいが。タランティーノとは違う難しいテーマの映画。解決策はないのでは?

    この週末に2本の映画を見た。1本は中東レバノンのベイルートでの法廷ドラマから起こる民族の対立の問題を悪化ったものと、もう1本はフランス映画のよくあるパターンのクライムストラリーですが扱う犯罪が二酸化炭素排出権にからむものと言った、どちらの映画も現代を象徴するかのような題材を扱っています。

    どちらも地味な映画ながら、出来の良い映画でした。

    1.「判決、ふたつの希望」

    2017年製作、レバノンとフランスの合作。

    • 第90回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート(原題:The Insult)
    • ベネチア国際映画祭 最優秀男優賞受賞(カメル・エル=バシャ)

    映画のうたい文句は下記のとおり。

    ふたりの男のささいな諍いが、国を揺るがす法廷争いに! 世界が震えた衝撃の感動作
    重厚な人間ドラマと濃厚なサスペンスが見事に融合した法廷社会派エンターテインメントの新たなる傑作。

    監督は内戦下のレバノンで育ち、20歳で渡米、クエンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』(91)や『パルプ・フィクション』(94)などにアシスタント・カメラマンとして参加。センセーショナルな作品を精力に発表し続けるジアド監督による長編第3作

    監督はタランティーノの映画とは全く違う社会派ドラマです。舞台は中東レバノンのベイルートです。レバノンと言えば、今話題のカルロスゴーンさんの出身地ですね。

    本題はパレスチナ人とキリスト教徒のレバノン人との民族対立です。ささいなことから、裁判沙汰に発展し、弁護士が入り法廷闘争がヒートアップ、法廷闘争そのものが本人たちから離れていき、最終的には国をゆるがすことになるというもの。

    その間、いろいろな伏線がちりばめられていきます。自分的には、最後の終わり方そのものに異議はないのですが、そのちょい手前のところは別の描き方があったのではないかと思います。アカデミー賞の外国語映画賞にノミネートされただけの価値はある映画です。

    見終わった後、考えさせられる映画です。学校での教材にでも使ってよい良質な映画と思います。お薦めの映画です。

    2.「パリ、憎しみという名の罠」

    『あるいは裏切りという名の犬』などのヒット作で知られる、現在のフレンチ・ノワール界最大の巨匠オリヴィエ・マルシャルの最新作が遂に日本上陸!フランスでは公開初日に8.2万人、初週末合計28.6万人を動員し、同週の初登場作品No1となった大ヒット作とのこと。

    映画のストーリーは、債を抱え、倒産の準備を進めるアントワヌは、温室効果ガス排出枠に関する取引の中で違法に金を稼ぐ方法を思い付くことから始まります。

    名優のジェラール・ドパルデューも出演しています。しかし彼、太りすぎでしょう。

    製作はEUROCORPも入っています。アクション系やクライムものはEUROCORPが入ると俄然おもしろくなりますね。

    この映画のオチは、最後のシーンかな。見てのお楽しみですね。だけど、このオリヴィエ・マルシャル監督の作品、日本の配給会社はどの作品にも意気な題名をつけますね。

    見て損のない映画だと思います。

  • これを観ずに死ねるか「情熱のシーラ」は原作良し、ロケ場所良し、時代背景良し、主人公の設定良し、近年見たドラマでは最高

    これを観ずに死ねるか「情熱のシーラ」は原作良し、ロケ場所良し、時代背景良し、主人公の設定良し、近年見たドラマでは最高

    この確定申告の作業が忙しい時期に完全にはまってしまいました。「情熱のシーラ」全17話。

    きっかけは、数カ月前の日曜日の日経新聞のエンタメ記事で紹介されていたからです。大変薦められていました。

    日本では、2015年6月から『情熱のシーラ』としてNHK総合テレビジョンで放送されたと言う。スペインでは全11話で放送されたが、日本ではアメリカhuluなどで配信されている全17話に編集されたバージョンが放送されている

    ドラマでは実在の人物と架空の人物で描かれています。ちなみに主人公シーラは架空の人物かと。まず、このドラマは原作の魅力に力があるので成功していると思う。基本は第2次世界大戦頃のナチスとスペインの時代背景で物語が進んでいきます。

    ロケ地は、モロッコ、マドリード、リスボンが中心。特にモロッコのタンジールとティトアンの風景が最高です。自分はモロッコはマラケシュしか行ったことがないが、タンジールにも行きたくなるようなドラマです。ティトアンは初めて聞く土地の名前ですが、ドラマから察するにタンジールから近そうですね。リスボンも行ったことがあるが、本当に裏通りの寂しいの風景は良いです。スパイが暗躍してもよい町ですが、逆に寂しすぎる所が難かな。

    モロッコは、1日に何回かアザーンが町中に流されますが、これを聞くと旅情が高まります。異国情緒たっぷり。

    もちろん、主人公シーラ役のアドリアーナ・ウガルテの力もドラマには寄与していると思います。モロッコからマドリードに戻ってからのファッションは特筆ものですね。

    お針子から仕立て屋へ、それでスパイで思い出すのが、ジョン・ル・カレの小説に「パナマの仕立て屋」があるが、確かに、諜報活動には向いていますね。いろんな内輪の雑談がされますよね。

    そうゆう意味では、原作の主人公の女性のオートクチュールの仕立て屋という設定と、諜報活動をからめたところで、小説が成功しています

    しかし、スペインという国、ピカソのゲルニカに代表される内戦とフランコの独裁と数奇な近代史を抱えている国です。

    「情熱のシーラ」、次がたまらなく見たくなるドラマ、久しぶりに見ました。近年見たテレビドラマでは一押しです。観ずに死ねるかレベルのドラマです。

    女性陣にもファッションで大変参考になるドラマです。

    確定申告で忙しい時期ですが、見てお得なドラマでした。アディオス!

    お前も悪よのう、「ボルジア家 愛と欲望の教皇一族」は是非見るべしのドラマ、チェザーレがこんな人物だったとは





  • 2018年下半期の自分的わがまま映画ベストテン。ボブ・ホスキンスの半端ない演技に脱帽。

    2018年下半期の自分的わがまま映画ベストテン。ボブ・ホスキンスの半端ない演技に脱帽。

    土日は朝はほとんど毎週映画を1本づつ見ています。自宅でDVDですが。

    自称「午前10時の映画祭 in my house」といったところでしょうか。そこで、自分なりに2018年の下期に見た映画で印象に残った作品を列挙してみたいと思います。

    • 長く熱い週末(主演: ボブ・ホスキンス)
    • ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
    • 黒いオルフェ
    • モナリザ(主演: ボブ・ホスキンス)
    • 穴(監督: ジャック・ベッケル)
    • ノー・マンズ・ランド
    • 孤狼の血
    • 現金に手を出すな
    • ザ・スクエア/思いやりの聖域(第70回カンヌ映画祭最高賞受賞)
    • その男ゾルバ
    • ブラウン・メアリー
    • ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
    • レディ・プレーヤー1(監督: スティーブン・スピルバーグ)
    • Xミッション(主演: エドガー・ラミレス)

    主演がボブ・ホフキンスの映画が2本入っていますが、この人、主演を張れるような風貌をしていないにもかかわらず、小悪党ものをやらせたら天下一品です。切羽詰まった感が半端ありません。「長く熱い週末」の触れ込みは“英国映画協会「20世紀のイギリス映画ベスト100」で21位に輝く犯罪映画の傑作!”だそうです。若き日のヘレン・ミレンが妻役で出ていますが、大変な美人ですね。監督はジョン・マッケンジーです。特に、最後の終わりがよい。これを観れずに死ねるか、です。

    あと、「Xミッション」ですが、この映画知りませんでした。エドガー・ラミレスが主演でみた映画。話しのすじは大したことないが、映像はすごいと思います。エドカー・ラミレスが出るだけで、映像が締まります。マシュー・マコノヒー主演の「ゴールド」でも、エドガー・ラミレスがいなかったら、ダメな映画で終わっていたと思います。この人の「カルロス」も長い映画ですが、おもしろいですね。役者根性があると思います。

    今、男性俳優の中では、ライアン・ゴズリングとエドカー・ラミレスが一番いけていると思います。

    「黒いオルフェ」は名作として知られていますが、初めて観ました。話しよりはその世界観に関心しました。ガルシア・マルケス的世界のラテンですね、特にラストは。もちろん、カルロス・ジョビンの曲も大傑作。

    「レディ・プレーヤー1」は最近SFXを持ち込んで作ったゲームのような世界観、これが年取ったスピルバーグが監督したなんて信じられません。スピルバーグ恐るべしです。スピルバーグは「ペンタゴン・ペーパー」も撮っていますが、こちらは王道的な作りとラスト終わり方が時代を風刺した意味シンな終わり方がよかった。

    カンヌのパルムドールの「ザスクエア」は毒とユーモアが聞いて、現代を切り取ったような映画。音楽の使い方といい、切れ味のするどい風刺映画。同じ系列で「ノー・マンズ・ランド」も同じ。

    「孤狼の血」は役所浩司に日本アカデミーの主演男優賞をあげたいですね。見た後、豚を食べれなくなりました。

    最後ですが、白黒のフランス映画「穴」。ただただ、傑作です。脱獄もの、ここに極めりですね。監督のジャック・ベッケルの遺作にして最高傑作というのもうなずけます。まだ観ていない映画の中にこんな傑作があったなんて信じられません。またまた、これを観れずに死ねるか、です。

    来年の抱負は、ボブ・ホスキンスのように、切羽詰まらないように暮らしていきたいものです。

  • カルロスゴーンの逮捕を見て、「地獄の黙示録」のカーツ大佐を思い出した。また、替わりが現れるだろうということ

    カルロスゴーンの逮捕を見て、「地獄の黙示録」のカーツ大佐を思い出した。また、替わりが現れるだろうということ

    ここ最近、カルロス・ゴーンが逮捕された話題でもちきりです。

    事の本質と真偽は裁判が結審するまでわかりませんが、マスコミから流される報道だけを見て判断するに、結局、人間の本質は変わらないということ

    この事件を見て、自分の好きな映画の一つ「地獄の黙示録」のカーツ大佐のことを思い出しました。この映画は自分の大学生の時に封切られた。コッポラ監督の超大作ということで、期待して映画館で観た覚えがある。

    だけど、その時の感想は、「なんじゃこの映画。全く意味がわからない」と思った。

    その後、DVDを購入して30代の時に再び観た。この時は上映時より時間が長いバージョン。

    年齢を経て、社会経験を経て、ようやく意味がわかった気がする。

    結局、人間の本質は変わらないものということを言いたいんだよな。

    ベトナムのジャングルの奥でカーツ大佐が自分の帝国を築く。それを良しとしないアメリカが

    大尉のマーティン・シーンを派遣して暗殺させ、帝国をつぶそうという話し。結局、カーツ大佐を殺しても、また、第2のカーツ大佐を作り出してしまうということ。原作はコンラッドの「闇の奥」。

    もちろん、マスコミで流されていることが事実であれば、カルロス・ゴーンがやったことは許されるものではないが、人間の本質は変わらないのであるから、また、日産でも他社でも第2、第3のカルロス・ゴーンが現れることだろう。

    自分の手帳にメモしている言葉。昔の日経新聞で冨士ダイスの新庄鷹義社長が言っていた言葉。「会社の幹部の品性は能力に優先する」と。

    また同じく以前掲載された日経新聞の「私の履歴書」から元野村証券社長の田淵節也さんの言葉。自分のメモより。

    人間の器量の大きさを指す「清濁併せ呑む」というのは好きな言葉だ。世の中には善い人間もいれば、悪い人間もいるが、本当に判別できるものなのか。何が清で何が濁か、人間には分からない。神様だけがご存じで、評価はうんと後になってから分かる。

    そしてもう一つ

    経営者の資質で最も大事なのは「運・鈍・根」の「鈍」ということを学んだ。運は誰にも巡ってくるし、根気強い努力も大切だが、鈍に徹するのが一番難しい。「切れ者は警戒されてうまくない」と教えられた。

    そんなことを思いおこさせた事件でした。以前の奥さんと離婚されていない時に、麻布十番の奥まったところに、ゴーンさんの奥さんが開いていた「レバノン料理」のレストランを思い出しました。

    しかし、コッポラの中で一番好きな映画は「ゴッドファーザー Part1」だけど、コッポラを破産させるほどお金をつぎ込んで製作された「地獄の黙示録」も超おすすめの映画ですよ。

  • あのフレディ様の「ボヘミアンラプソディ」を六本木ヒルズで観てきた。こんな激込み体験ははじめて

    あのフレディ様の「ボヘミアンラプソディ」を六本木ヒルズで観てきた。こんな激込み体験ははじめて

    先日の土曜日、時間が空いたので六本木ヒルズのTOHOシネマズであの話題の「ボヘミアンラプソディ」を観てきた

    映画館で映画を観に行くのは久しぶりだな。あの「午前10時からの映画祭」を六本木ヒルズでやらなくなって、なんとなく足が遠くなっていた。まあ、どうしても映画館で観たい映画がなかったこともあるが。

    ネットで座席を確保しようとチェックすると、六本木ヒルズのあの広いスクリーン2で席がほとんど残っていなかった。すごい人気。よって家族で観るのは止めて、1人で観に行った。

    公開初日でもないのにすごい人気。さすがに、日米の映画興行成績で1位登場の映画。

    映画の感想は、多くの人が語っているように、フレディ役のレミ・マレックはよく似ているには似ていたが、というレベルだと思う。映画の作りもすごくオーソドックな作り。同性愛あたりなどの話しはさらりと流し、万人に見られる映画にしあがっていたと思う。

    ただ、やっぱりこの映画は原曲の力がすごすぎるので、映像やストーリーや役者が多少満足できなくても、それを補う力を持っている。

    だけど、ロジャー・テイラー役の人は似ていなかったと思う。

    これは、是非マンマミーアと同じく、ミュージカルになると思う。おそらく、ロンドンかニューヨークで。その時は是非、かけつけて観てみたいな。

    丁度前後して、最近、DVDで観た映画の感想。すべてお薦め作品です。

    「孤狼の血」

    柚月裕子のベストセラー小説を白石和彌監督が映画化した任侠ドラマ。これは、掛け値なしに面白かった。役所浩司、日本アカデミーの主演男優賞じゃないのかな。だけど、それ以降、豚肉がなんとなく気持ち悪くで食べられません。傑作だと思う。

    「穴」

    監督のジャック・ベッケルが、ジョゼ・ジョヴァンニの同名実録小説を基に撮った意欲作。1960年のフランス映画。いわゆる監獄ものの脱走劇。こんな傑作があるとは知りませんでした。「大脱走」級の名作だと思います。超おすすめ。モノクロ映画です。

    「黒いオルフェ」

    一般的には、世界にボサノヴァ を知らしめた恋愛映画の傑作。カンヌ国際映画祭パルム・ドール。話しは単純なのだが、リオデジャネイロの景色がすばらしいですね。それと、最後の部分、百年の孤独の著者ガブリエル・マルケスの世界がすでにこの地にはあったのだということがよくわかった。

    「ノー・マンズ・ランド」

    ボスニア戦争を描いた不条理な話し。アカデミー賞 外国語映画賞。脚本の力を感じた作品。舞台でやってもよいと思う。考えさせられる映画だね。

    「ザ・スクエア 思いやりの聖域 」

    昨年の第70回カンヌ映画祭最高賞受賞作。現代の格差社会の現実とデジタル社会の矛盾をスタイリッシュに描いています。音楽も秀逸。だけど、こんな美術館のキュレーターでいそうだな。