カテゴリー: 映画

  • モリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」を読破、タイトルからしびれるね

    モリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」を読破、タイトルからしびれるね

    あのタランティーノが放った名言、「かれは現代のモーツァルトだよ、現在のヴェートーベンだよ、現代のシューベルトだよ」と。

    そのモリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」(エンニオ・モリコーネ (著), アレッサンドロ・デ・ローザ (著))を3週間かけて読破したのです。弁当箱より分厚い本ですが、実に面白かったのです。音楽を勉強している人などにとっては自分の100倍ぐらいの吸収がある本だと思います。

    しかし、本のタイトルがしびれるね。(この言葉はモリコーネの言葉です)

    初期のモリコーネの名を高めたあのセルジオ・レオーネとの3作は「ドル箱3部作」と呼ばれているのですね。(荒野の用心棒・夕陽のガンマン・続 夕陽のガンマンのことだよ)

    そして、ストラヴィンスキーのことを再三とりあげて激賞していますね。音楽家にとってはすごい進歩を起こした人なのね。素人には今ひとつわからないストラヴィンスキーなのに。

    本から抜粋です。まずはルイス・バカロフの言葉です。(1933年生まれ、「イル・ポスティーノ」で第68回アカデミー作曲賞)

    アルバン・ベルクは1920年代に、シューマンの「トロイメライ」を研究していた。そのなかで、かれはこの曲を“完璧”にせしめている一連の要素に注目している。彼が注目したのは、音程の築き方、特に完全四度の使用についてだった。実際のところそれが正しいのかどうかはわからないけれどね。….

    エンリオがベルクの分析に関心を持ったかどうかもわからないが、彼の書いたメロディの多くがきわめて有名になったことを考えると、彼なりに何らかの“秘訣”を発見したのだろう。ただ、ここまでくれば、彼に直接訊いてみるよりほかないだろう。

    2014年3月26日

    次はモリコーネと一番多くの映画で連れ添ったジュリアーノ・モンタルドの言葉(映画監督、代表作は「死刑台のメロディ」)です。

    でもいいんだ。ぼくの傍らにはいつだってエンニオがいるから。優れた職人で芸術家でもある偉大なエンニオがいつもそばにいてくれるんだ。

    2014年5月26日

    特に、付録の「証言」というコーナーでトルナトーレがあの「ニュー・シネマ・パラダイス」の音楽について詳細に回答していますので、必読です。

    最後に本書の紹介文です。

    「疑いの余地なく、本書は、わたしに関して書かれた本のうち、詳細にわたり丁寧に検討された正真正銘の最良の書である。これは真実の書である。」 ──エンニオ・モリコーネ

    前衛音楽から映画音楽へ 若き音楽家との対話によって紡がれる マエストロの生涯とその創造のすべて

    『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『死刑台のメロディ』『エクソシスト2』『ニュー・シネマ・パラダイス』『ミッション』『アンタッチャブル』『海の上のピアニスト』『鑑定士と顔のない依頼人』『ヘイトフル・エイト』…… 数々の名作で知られる映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネと若き音楽家アレッサンドロ・デ・ローザとの対話によって紡がれる、マエストロの生涯と創作の真実

    映画音楽は映画という芸術に対して何をすることができるのか。音楽としての純粋性を損なうことなく、大衆が理解可能な音楽はいかにして可能か。音楽は人と人をどのように結びつけることができるのか。そして、なぜ人は作曲を続けるのか。

    本書には、モリコーネが歩んできた人生、映画音楽家としての活動、 経験、その音楽が生まれた契機と育まれた経緯のみならず、彼が生きた歴史・社会・文化的状況をめぐる思いのすべてが綴られる。

    映画、ラジオ、テレビといった様々なメディアが到来しては次々に様相を塗り替えていった現代社会のなかで、「音楽」はそこに何を残すことができたのか。決して音楽の世界に閉じこもることなく、新しい環境のなかに飛び込み、苦闘した作曲家はやがて映画音楽界の巨匠と呼ばれるようになる。

    ゴッフレド・ペトラッシのもとで作曲を学び、ダルムシュタットでジョン・ケージと出会った作曲学生時代。そしてRAI(イタリア放送協会)やRCAでプロとしてのキャリアをスタートしてからの下積み。その後のセルジオ・レオーネ、ベルナルド・ベルトルッチ、ピエル・パオロ・パゾリーニ、ダリオ・アルジェント、ジュゼッペ・トルナトーレ、ジョン・カーペンター、オリヴァー・ストーン、ブライアン・デ・パルマ、ペドロ・アルモドバル、ロマン・ポランスキー、クエンティン・タランティーノらとのコラボレーションに至るまで、モリコーネの生涯が詳細に語られる。

    楽しい読書体験でした。

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  • ブラッド・ピット主演の大作「バビロン」を観たよ、あと30分ほどカットすればよい映画になったと思うな

    ブラッド・ピット主演の大作「バビロン」を観たよ、あと30分ほどカットすればよい映画になったと思うな

    本日は映画のお話しです。

    先日、あの超大作の「バビロン」を劇場に観に行ったのです。何せ、劇場で観た予告編から非常に興味が湧いていたのです。なんたって監督はあの「ラ・ラ・ランド」を作ったデイミアン・チャゼルなのですから、主演はブラッド・ピットとくれば、超大作でしよう。

    だけど、この手の大盤振る舞いの映画はコケることが多いんだな。監督の思い込みが激しくなって。悪い例では、あの「ディア・ハンター」のマイケル・チミノの次作の「天国の門」のようにね。

    そんなこともあって、あえて劇場で見るのには少し躊躇していた自分です。まあ、意を決して見に行こうかと。主演はブラッド・ピット、マーゴット・ロビーです。

    観ての率直な感想です。

    話しの内容としては、サイレントから音声入りの映画に移行していく時代の中で、サイレント時代子の大スターであった人(ブラッド・ピット)がうまく時代合わずというのが主ストーリーです。これにいろいろな伏線が展開・挿入されていく物語りです。

    前半部分はすばらしかったな。冒頭の強烈なパーティーの演出、ロケ風景でもおもしろさは圧巻でした。ただ、後半部分はダラダラとした展開かな。上映時間は189分です。

    特に後半部分のマーゴット・ロビーが賭けに負けて借金をつくり、友人がボスのところに行って洞窟でおかしなものを見せられるところ。この15分は確実にカットできると思いました。

    マーゴット・ロビーのはっちゃけぶりはよかったな。

    あと、テーマ曲もなかなかでした。さすがに「ラ・ラ・ランド」を作った監督だけのことはあります。

    そして、一番の違和感はエンディングですね。あの手法は「ニューシネマ・パラダイス」の二番煎じではないのかな

    要約すると、もう30分ぐらいカットして編集すると中身の凝縮した映画になったのでは。だけど、あのロケシーン面白かったね。

    だけど不思議に思うのは、あの「タイタニック」のことです。何でも製作25周年記念で今劇場で再上映されていますが、ほとんどすべての上映回で売り切れ続出です。

    今、タイタニックを見るぐらいなら、この「バビロン」を見た方が楽しいのにね。

    人の心理はよくわかりません。

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  • くだらなくて、メロメロになるインド映画「バンバン」を観たぞ、大画面のキレキレのカトリーヌ・カイフ様は無敵なり

    くだらなくて、メロメロになるインド映画「バンバン」を観たぞ、大画面のキレキレのカトリーヌ・カイフ様は無敵なり

    2日前の金曜日は東京は雪模様のあいにくの天気です。こんな日でものこのこと出かける理由があったのです。1ケ月前の映画館での予告であのカトリーヌ・カイフ様の映像が流れたのでした。

    当然インド映画のスパイアクション映画でしたが、その予告を観た段階で“必ず観に行くべし”と手帳に書き込んだのでした。自分、少し狂っているのかな。

    そしてその日(上映初日)が大雪の日だったのです。

    はっきり最初から言います。観ての感想です。ストーリー滑稽無糖、はっきり言っておもしろくない、くだらない映画です。だけど、ニヤニヤして観ている自分がそこにあったのです。

    まあ、最近は難しくなった007と対局にあり、ローアン・アトキンソンのパロディ007の中間ぐらいのスパイ映画かな。

    だけど、カトリーヌ・カイフのファンにはたまりません。が、すでに役からして相当無理があります。成熟の極地にあるカイフ様が無垢な処女のような役は難しいでしょう。体つきもすでに成熟の極地にありますので。ちなみにカトリーヌ・カイフは1983年生まれですので、ほぼ40歳です。

    映画はこのカトリーヌ・カイフと主人公のリティク・ローシャンのグラビア映画かと思うばかりです。この映画のポスター見るだけでたまりませんね。特にカトリーヌ・カイフ様の後ろ姿。(自分狂っているのかな)ちなみに映画の宣伝文句です。

    トム・クルーズとキャメロン・ディアスのコンビで全世界大ヒットを記録した『ナイト&デイ』。激しいアクションとロマンスをコメディタッチで描くその作風は、1本の映画に喜怒哀楽全ての要素を求めるインド映画界のニーズにハマり、正式にリメイク権が獲得され、そこに更なるアクションとロマンス、そしてド派手なダンスを加えてマサラ風味にアレンジされた本作『バンバン!』が誕生した!本国インドでは2014年公開時に年間興行収入4位を記録。製作費16億ルピー(約28億円)をつぎ込み、インドのみならずタイ、ギリシャ、ドバイ、チェコでの撮影を敢行。車やバイクだけでなく、水上スキーからF1カーまで、あらゆるマシンを駆使したカーチェイスや、絢爛豪華なダンスシーンがド肝抜くスケールで展開する!

    ド派手な怪盗ラージヴィ―ルに、2018年に“世界で最もハンサムな男性ランキング”で6位となった、インド映画界きってのイケメンスター、リティク・ローシャン。日本でも公開された『スーパー30 アーナンド先生の教室』では封印していたイケメンオーラ全開で、セクシーで謎多きヒーローを演じている。
    事件に巻き込まれ、地味な銀行員から、魅力あふれる女性に華麗な変化を遂げるハルリーンに、“最もセクシーなアジア人女性“と評される『チェイス!』のカトリーナ・カイフ。2人のファンタジックな美男美女っぷりも見どころの一つだ。
    監督は、2019年に『WAR ウォー!!』でインド年間興行成績No.1を獲得したシッダールト・アーナンドが務め、ハリウッドを超えるインドアクションの第一人者の実力を発揮している。

    カイフ様はこのお年になってもインド映画ですので、踊って歌ってビキニの腹出しもしなくてはなりません。日本で言えば、綾瀬はるかちゃんにキレキレのダンスと歌を歌わせるというものです。それを考えれば、インドの女優さんは大変だな。

    本当にバカな時間を過ごしましたが、自分にとっては至福の2時間30分でした。これは最大級のホメ言葉ですよ

    是非、観に行くべし。

    参考に自分のインド映画ベスト3です。

    • 「きっと、うまくいく」(アーミル・カーン主演)
    • 「PK」(アーミル・カーン主演)
    • 「命ある限り」(我らがカトリーヌ・カイフ様の最高傑作だよ)

    そして、あの「スラムドック・ミリオネア」は別格ということで。

    だけど、今日のブログは大変楽しく書けました。



  • 「池波正太郎の銀座日記」を再読、先生オススメの「オペラ・ハット」に今の映画が色あせると言わせるとは

    「池波正太郎の銀座日記」を再読、先生オススメの「オペラ・ハット」に今の映画が色あせると言わせるとは

    今読んでいる本に池波正太郎先生の「池波正太郎の銀座日記(全)」があります。自分が保有している版は文庫本で平成5年7月の8刷版ですね。

    購入と同時に一度読んだのですが、最近、ロバート・ハリスさんも再読しているということで、その影響で自分も蔵書から引っ張り出して今、読んでいるところなのです。

    今の年齢で読むとまた感慨深いものがあります。

    自分の今の生活も池波先生と同様に、グルメと映画と小説に絵に旅という生活なんだな。先生と違うところは小説を書いていないところかな(いや無理かな)。

    脇道にそれましたが、この日記、実におもしろいのです。その中の「来年の賀状」というエッセイです。

    夜、テレビで古いアメリカ映画「オペラ・ハット」を観る。すばらしい。いまの映画が色あせて感じられるほどだった。ことに、ロバート・リスキンの脚本がよく、巻頭から核心に入るまでの展開は、胸がすくようだった。若きゲイリー・クーパー、ジーン・アーサーのスタアとしての大きさ、魅力は、いまや世界が、時代が失ったものだ。

    先生、大絶賛なのでした。自分は残念ながら観たことなかったんだな。こうまで言われれば、観るしかない。監督は大巨匠のフランク・キャプラです。

    感想ですか。ゲイリー・クーパーの若々しいこと。ジーン・アーサーもすばらしい。脚本が丁寧ですね。よく書かれています。アメリカの良心という映画ですね。キャプラお得意のスタイルですね。

    今から見れば多少青臭い感じの話しですが、監督の訴えたいことがよくわかる映画ですね。

    映画繋がりでもう1本。先日、“午前10時の映画際”であのライザ・ミネリ主演の「キャバレー」を観たのです。監督はボブ・フォッシーです。

    自分は観たことあると思っていたのですが、初めてということに気づきました。おそらくシカゴと混同したんだな。これはおそらく20-30歳代に見ると、あまり感動しなかったかも。

    人生を少し経てきて、「人の世は道化師みたいな」もんだよ、ということがわかるようになって中の劇中劇も楽しめたのでした。少しフェリーニみたいな感触もあるのかな。

    驚愕したのが、狂言回しの役のMC(ジョエル・グレイ)の演技です。この人の狂言回しで劇中劇が進んでいくのですが、その多彩な技と達者ぶりには舌をまきます。この役でアカデミー賞助演男優賞も納得です。この人がいなければこの映画、平凡なものになっていただろうな。まさしく何かが乗り移った狂気が感じられました。

    話しはナチスが台頭してくるベルリンが舞台というののは初めてしりました。てっきり、NYかシカゴあたりを連想させるタイトルなののでね。だけどライザ・ミネリの髪型おもしろいね、個性的と言うのかもわかりませんが。ライザ・ミネリの恋人役のあの素朴そうなイギリス人はちょっと違うのでは、という配役だな。

    話しは池波先生に戻りますが、「池波正太郎の銀座日記(全)」はおすすめですよ。自分はまた何年後かにまた読むつもりです。

  • 「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を鑑賞、天才の仕事場を見れるだけでも奇跡のようなことだよ

    「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を鑑賞、天才の仕事場を見れるだけでも奇跡のようなことだよ

    本日の午前に予告編で紹介されたときから観たい映画を観に行ったのです。その映画とは、「モリコーネ 映画が恋した音楽家」なのです。監督は、あのジュゼッペ・トルナトーレです。正確にはドキュメンタリーかと思いますが、モリコーネを撮るにはの人トルナトーレしかいませんね

    まだ、公開されて5日目ですが、地味なモリコーネを扱う映画に午前の回でも多く人が来ていたのには驚きました。

    感想ですか?至福の2時間37分を過ごさせていただきました。全編トルナトーレのモリコーネ愛が溢れているのです。予告編でもタランティーノが絶叫していた“現代のベートーベン”の仕事ぶりが見れたののですから。

    冒頭のモリコーネの仕事場と楽譜を書く姿を見れたのはミーハーな自分にとってはもうそれだけで良いという感じなんだな。

    映画で分かったのは、若いころ作曲の理論を相当に勉強しているのね、当たり前か。そして、キャリアの最初はポップスの作曲や編曲をしていたのね。

    映画音楽を手掛けだしての最初の名声はあの「荒野の用心棒」の印象的な口笛でテーマ曲。確かに斬新すぎます。時が経てわかる革新性。「続・夕陽のガンマン」でのコヨーテの鳴き声。最高です。オリバー・ストーンが自分の映画でモリコーネに「荒野の用心棒」のような楽曲が欲しいと言ったのには笑ったね。

    モリコーネ、イーストウッド、セルジオ・レオーネ にとって名声を確立したマカロニ・ウェスタンの3部作ですね。

    この映画の中での登場人物も、パット・メセニー、クインシー・ジョーンズ、スプリングスティーン等々、豪華絢爛です。

    自分が初めて知ったのは、レオーネの「ウェスタン」の冒頭のハエの音などもモリコーネの音楽の一部なのね。すごい斬新性。

    そして「ミッション」の音楽はモリコーネ自身が語っているように、メロディーが天から舞い降りてきたと。これでその年のアカデミー音楽賞がハンコックのラウンド・ミッドナイトとは。アカデミーが本当に間違いを犯したんだね。既存曲のラウンド・ミッドナイトに負けるとは。モリコーネが語っている方が100%正しいね。

    断った仕事で1つだけ後悔したのはキューブリックの「時計じかけのオレンジ」 だと。

    「シシリアン」の音楽制作には苦労したと等々。

    そしてタランティーノが吠えるのは最後のほうだよ。“現代のモーツァルトだよ、現在のヴェートーベンだよ、現代のシューベルトだよ”と。「ヘイトフル・エイト」の楽曲は交響曲調に書いたよと。これでアカデミー音楽賞をとったんだね。その時のプレゼンターはクインシーだよ。アカデミー名誉賞の時はイーストウッドがプレゼンター。

    アカデミーの会場でモリコーネとジョン・ウィリアムスが一緒に座っている姿を見ると、涙ものですね。

    この映画の終わり方もよいね。モリコーネ曰く、

    • 自分がベートーベンかどうかは200年経過しないとわからないよ
    • 自分は絶対音楽と現代音楽の融合を目指してきた

    この映画、自分ももう1回映画館で観て、DVDが発売されたら永久保存のために購入すると決めました。

    もう一度言います、現代の天才の仕事場と仕事ぶりが見れるのはこの映画だけだよ。その意味でもトルナトーレには感謝しかないね。これだけプライベートを撮らせるのを許される人はトルナトーレしかいないんだもの。

    モリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」を読破、タイトルからしびれるね



  • 2023年初劇場映画はイタリア映画の「離ればなれになっても」、日本ももっと骨太な人生讃歌を描かないと映画がダメになるよ!

    2023年初劇場映画はイタリア映画の「離ればなれになっても」、日本ももっと骨太な人生讃歌を描かないと映画がダメになるよ!

    2023年になって初めての劇場での映画の鑑賞は、イタリア映画の「離ればなれになっても」だったのです。理由は新聞での映画評価が高かったのと、お正月早々でも地味な映画なので、ゆったりと観れると思ったのでした。

    映画のキャッチコピーは、

    • “はじまりは16歳、ローマ。誰もが振り向く宝石(ジェンマ)に僕らは心を奪われた-”
    • “出会いと別れを繰り返した40年間の〈ほろ苦い追憶の日々〉”

    監督は、ガブリエレ・ムッチーノという方です。何でも、

    • イタリア三週連続の1位
    • 2020年イタリア・アカデミー賞 ダヴィッド・ドナテッロ賞 3部門ノミネート

    これだけ聞いても、どれだけすごいのかわかりません。

    内容はこんな感じ。

    初めての恋におちた2人が、激動の時代に翻弄され、出会いと別れを繰り返す——

    40年の歳月が教えてくれた愛の真実を描くヒューマン・ラブストーリー

    イタリアで公開されるや大ヒットを記録し、SNSに「2度泣いた」「魅惑的な美しさに完全に夢中」「信じられないほど感動」など激賞コメントが駆け巡った話題の逸品。

    主人公は、「宝石ジェンマ」という名前の通り美しく輝くジェンマと、彼女の初恋の相手であるパオロ。2人が16歳で出会った1982年から2022年まで、激動の時代に翻弄され出会いと別れを繰り返す日々が描かれる。

    見つめるだけで息が止まった幼い恋、大人の都合で離ればなれにされた切ない時間、まさかの親友の裏切り、身を引き裂く別れ、涙の再会の思いもしなかった行方──40年の歳月が教えてくれた愛の真実とは──?

    監督は『幸せのちから』のガブリエレ・ムッチーノ。イタリアとハリウッドを行き来して培った手腕で、ローマとナポリの絶景を舞台に、愛と人生の謎を解き明かすダイナミックなヒューマンドラマを織り上げた。

    観る者の懐かしい記憶を呼び覚ます音楽は、『ライフ・イズ・ビューティフル』でアカデミー賞を受賞したニコラ・ピオヴァーニ。 イタリアの映画評論家が、「巨匠エットーレ・スコラ監督の不朽の名作『あんなに愛しあったのに』へのオマージュ」と絶賛。愛の奇跡を信じさせてくれる、ラブストーリーの新たな傑作が誕生した!

    実は自分、2022年に観た映画で一番感動したのがイタリア映画だったのです。DVD鑑賞ですが。その映画は

    • 「ジョルダーニ家の人々」
    • 「輝ける青春」

    どちらも家族の問題を扱う大河ドラマなんだな。これにいたく感動したので、この手のイタリア映画には触手が動くのです。そして、「離ればなれになっても」です。

    最初は、子供時代と大人になってから顔が変わるので少し誰が誰だかわからなくなり、少し難解なのです。話しが進むに連れて、配役がなじんできますので、面白さが出てきます。

    話しは、女性のジェンマを巡る男3名の人生と時代の移り変わりを丁寧に描かれています。最後は人生いろんなことがあったけれど、という万感胸に迫るものがあります。

    そして、リカルド役のサンタマリア・サンタマリアはあの超名作「ジョルダーニ家の人々」の長男ではないですか。俄然興味がわきます。

    ジェンマ役はミカエラ・ラマツォッティはどうかな。はすっぱなところを出すイタリア女としては適役なのかな。日本人には少しどうなのかな。

    だけど、よい映画です。近年の日本映画もこれぐらいのものを作れないのかな。やっぱり脚本が違うのか。向田邦子さんの「阿修羅のごとく」のような脚本家はいないのかな。

    若い人の恋愛映画ばかりで面白くないね。もっと人生を描かないとね

  • アバターの映像はすばらしい、だけどストーリーがね、ブラックパンサーとRRRに負けるぞ、2022年のベストは「コーダ あいのうた」かな

    アバターの映像はすばらしい、だけどストーリーがね、ブラックパンサーとRRRに負けるぞ、2022年のベストは「コーダ あいのうた」かな

    本日は映画のお話しです。先日封切り初日の12月16日(金)に超話題の「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」を鑑賞したのでした。日比谷の東宝シネマでの入りは4割ぐらいだったかな。

    観ての自分の素直な感想。確かに3時間の超大作であり、映像の美しさも度肝を抜くものですが、第1作から時間が空きすぎて、前の話しからの続きなのでもう前の話しは忘れてしまったよ、という感じなのです。ナビィやアバターの関係性が今一わからないんだな。

    今回の話し自体はシンプルなのですが、その続きの人間関係がすぐには理解できないので、面白さは半減するのかな。全5話で完結という話しも聞こえてきますが、どうなのかな。

    自分はシニア料金で視聴できるので1,200円で視聴できる娯楽としてはコスパは素晴らしいものがありますが、インド映画のあの「RRR」に撃破されるのではないのかな

    お金のかけ方はアバターかと思いますが、映画のパワーではRRRに負けていると思います。アバターでは鑑賞後、拍手は起きなかったもの

    映画館で拍手を目撃したのはRRRだけです。その意味では貴重な映画体験でした。自分ではアバターより「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」の方が上だと思うな。こちらの方が目頭が熱くなったもの

    ここでちょっとしたディップを。このアバター公開の数日前、六本木ヒルズの前の道路を歩いていたのです。前からアロハぽい派手なシャツを来た恰幅のよい初老の外人とすれちがったのです。冬なのに派手なシャツを着ているやつがいるなと思ったのでした。

    映画の予告を観てこの男が写っているのです。ジェームス・キャメロンと盟友のアバターのプロデューサーのジョン・ランドーその人だったのです。おそらく、プロモーションで来日していて六本木のグランド・ハイアットに宿泊していたんだろうなと。

    そして、今年も映画館とDVDでたくさんの映画を観ました。

    2022年で一番自分なりのベストはアカデミー賞作品賞もとった「コーダ あいのうた」かな。映画の最後にエミリア・ジョーンズにジョニ・ミッチェルの「Both Sides Now」を歌わせる演出にまいったのでした。ストーリーもいいしね。

    そして、映画館でゴットファーザー三部作を続けて観たのは初めての体験だった。やっぱりゴットファーザーは2部まで、と改めて思ったのでした。11月のシチリア旅行でゴッドファーザー村へ行けなかったのは残念無念。

    ディア・ハンターも劇場で2週続けて2回観たしね。満足、満足

    渋谷のBunkamuraの劇場でロミー・シュナイダーの没後四十年ということで「太陽が知っている」も観たな。やっぱりいいよね。あの白い水着がいいんだね(変態かね)

    DVDではイタリアの「ジョルダーニ家の人々」が傑作だと思いました。少し前の作品ですが。現代社会というか家族を取り巻く世相を反映した傑作イタリア映画だと思いました。さすが、岩波映画館で上映されただけのことはあります。

    そんな感想を持った2022年の映画界なのでした。

  • 「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」を観て、不覚にも涙を流したんだな、やっぱり大作だよ、観るべし

    「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」を観て、不覚にも涙を流したんだな、やっぱり大作だよ、観るべし

    本日からイタリアへ行くというのに、行く直前ですがどうしても観ておきたい映画があったのです。イタリアから帰国してからだと、あの“すずめの戸締まり”に圧倒されて、上映される回数が圧倒的に少なくなる可能性があると思ってです。

    観たかった映画は、マーベル映画ですが「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」だったのです。

    ヒーロー映画として異例のアカデミー賞3冠、作品賞も初ノしミネートを果たし、全世界で社会現象となった「ブラックパンサー」の待望の続編

    国王とヒーロー、2つの顔を持つティ・チャラを失ったワカンダ国に海の帝国の脅威が迫る。ティ・チャラの妹であり天才科学者のシュリたちは、この危機にどう立ち向かうのか。そして、新たな希望となるブラックパンサーを受け継ぐ者は誰なのか…。未来を切りひらく者たちの熱き戦いを描いた、ドラマチック・アクション超大作が始まる。

    ティ・チャラ国王役のチャドウィック・ボーズマンがあの若さでお亡くなりになったので、映画も国王亡き後のお話しとなっています。

    観た第一印象です。敵のキャラクターの設定もかなり強引ですが、自分としては絶対にマーベル映画では感動しないぞ、と思っていたのですが、鑑賞後はジーンとくるものがありました

    不覚にも目頭が熱くなってしまったんだな。(これじゃ、ダメだな自分)

    161分というかなりの長編ですが、映画としてはよく出来ています。あの大ヒット中のインド映画「RRR」と同様にこの料金でこの長編クオリティを観ることが出来て幸せな映画です。

    予告編でのあのカッコよいシーンは最後の方にあるのね。このブラックパンサー、終わり方を見るといつまでも続きそうですね。

    だけど、適役の羽根パタパタはないだろうというツッコミが入りそうですが。だけど、ワカンダの戦士の腕を前で交差する仕草は、エジプトの遺跡の彫像で見るポーズなんだな。

    さすがにアイアンマンやアベンジャーズは映画館で観る必要はないと思いますが、ブラック・パンサーは是非大画面で。

    「RRR」のブログ記事でも言ったのですが、日本映画ももっとぶっ飛んだ映画を作らないといけないぞ。「ドライブ・マイーカー」みたいなチマチマとした同じような映画ばかりでは本当に衰退してしまうんだと思います。黒澤の「乱」ぐらいのものを作ろうよ。

    話しは余談ですが、先週、午前10時の映画際で「ディア・ハンター」を2回見に行ったのです。観ておかないと大画面は観れるのは何年後になるかわかりませんので。

    何回も観ると、伏線がよくわかりますね。やっぱり監督のマイケル・チミノはこの映画1本で映画史に名を残したのでした。偉大だね

    というわけで本日は軽い話題でした。

    それではイタリアに行ってきます。シチリアではあのゴッドファーザーの坂道のカフェで写真がとれるかな?



  • 胸熱インド映画「RRR」を観てきたよ、途中で“これはまいったな”と口ずさむことしきり、頭をからっぽにして楽しんでね

    胸熱インド映画「RRR」を観てきたよ、途中で“これはまいったな”と口ずさむことしきり、頭をからっぽにして楽しんでね

    現在、メキシコシティ滞在記を書いていますが、急遽、メキシコから戻ってきてすぐに見たかった映画のことを報告したいと思います。すぐに書かないわけにはいかない胸熱映画だった

    その映画とはインド映画の「RRR」というものです。

    自分の率直な感想としては、アメリカのアベンジャー全員集合をも超えた映画なんだな。(映画としていいか悪いかは別にして)アベンジャーズもかわいいものだな。

    観終わった後に、日本の映画館で拍手があったのは自分の体験としては初めてだったのです。

    自分も途中で“これはまいったな”と口ずさむことしきりです。これは褒め言葉でも酷評しているわけではありません。もう、何でもありで、ラーメンと天ぷらとステーキを全部食べたような映像体験なのでした。

    日経新聞の10月21日夕刊の「シネマ万華鏡」で取り上げられていたので一部抜粋します。

    「バーフバリ」シリーズで壮大かつハイテンションのスペクタクルを展開してのけたインドのS・S・ラージャマウリ監督が、またしてもとんでもなく熱く激しい映画を生み出した。

    上映時間は約3時間。

    舞台は大英帝国の支配下にあるインド。ある村の少女が総督に連れ去られてしまい、その奪還のため最強の戦士ビームが街に出る。そのことを知った総督は、勇敢な現地警官・ラーマに逮捕を命じた。

    そして、2人は互いの正体を知らずに出会い、友情を育む。

    前半はラブコメあり、サスペンスあり、もちろん大アクションあり、さらにインド映画らしく歌って踊って--と、これまでもかとエンターテイメントの要素が詰め込まれていく。

    前半のクライマックスはビームによる奪還戦だ。完全装備の軍隊を配した、要塞のような総督の邸宅をいかに突破するのか。そしてラーマの選択は--。

    そこで展開される、奇想天外かつド迫力のアクションには、圧倒されるばかり。

    だが、ここでまだ90分。折り返し点でしかない。前半の段階で既に日本映画なら映画史に残る、ハリウッドでも上位レベルのアクション映画なのに、それが実は前菜にすぎないことに気づく

    後半で描かれるのは、人々の不屈の魂だ。

    まあ、こんな大人数の部隊の2人で戦えるわけないだろうという、ツッコミはないです。お前ら何考えているのという映画です。

    いい悪いではなく(限りなく悪いという意味)、日本のちまちました恋愛や家族の問題などを描くちまちました映画では、もうインド映画には到底、太刀打ちできないな。「鎌倉殿の13人」も話が小さいことにちまちまし過ぎです。

    タランティーノの「キル・ビル」でもかわいいものです。ビームとラームがいれば、ウクライナでもこの2人だけでロシアに勝てるんじゃないの。

    007もシリアスな映画になってきている昨今、まったく違う路線を突き進む(この監督だけなのかな)インド映画はすごいです。

    目から血がしたたるなどの細かい映像表現もいいね。まあ、この映画を1,800円で見れれば、満足度は高いね。まるで最新映画の2本立てだもの。

    まるで、小林旭の「熱き心に」のごとく、熱い映画でした。

    だけど、やっぱり自分としてはインド映画ではアミール・カーンの「きっと、うまくいく」や「PK」やシャー・ルク・・カーンの「命ある限り」の方が好きだし、傑作だとは思うのですが。

    とにかくこの「RRR」は頭をからっぽにして楽しまない損する映画です。

    秋の夜長におすすめします。きっと上映後、拍手したくなりますよ。

    くだらなくて、メロメロになるインド映画「バンバン」を観たぞ、大画面のキレキレのカトリーヌ・カイフ様は無敵なり





  • ジャン=リュック・ゴダール監督追悼で映画館で「勝手にしやがれ」を観た、脚本というより映像演出の斬新さが秀逸だな

    ジャン=リュック・ゴダール監督追悼で映画館で「勝手にしやがれ」を観た、脚本というより映像演出の斬新さが秀逸だな

    本日も昔の名画のお話しです。先日、フランスのジャン=リュック・ゴダール監督がお亡くなりになられました。自分の映画史の中ではそんなに思い入れのある監督ではなかったのですが、「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」はDVDで鑑賞していたと思ったのです。

    映画館の大スクリーンで観る「勝手にしやがれ」はどんなものかなと興味本位で、渋谷のBunkamuraル・シネマに足を向けたのでした。

    “ジャン=リュック・ゴダール監督追悼上映”に参戦です。

    9月13日に91年の生涯を閉じたジャン=リュック・ゴダール監督を追悼し、ゴダール監督の長編デビュー作『勝手にしやがれ』と、ヌーヴェル・ヴァーグの最高到達点と評される代表作『気狂いピエロ』の2作品を追悼上映いたします。

    ジャン=リュック・ゴダールは1930年12月3日パリ生まれ。「カイエ・デュ・シネマ」誌などで映画評や映画論を執筆したのち、長編監督デビュー作となった『勝手にしやがれ』(60)がベルリン国際映画祭監督賞及びジャン・ヴィゴ賞を獲得して以来、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメール、クロード・シャブロル、ジャック・リヴェットらとともにヌーヴェル・ヴァーグの中心人物として、また映画史において最も重要で影響力のある映画監督のひとりとして知られています。

    2022年9月13日、スイスの自宅で91歳の生涯を閉じたゴダール監督に敬意を表し、追悼上映を行います。

    鑑賞した後の感想です。実はこの名画「勝手にしやがれ」を観たことがないことが分かったのでした。アチャーです。

    月並みな表現ですが、この映画は脚本というよりジャン=ポール・ベルモンドとジーン・セバーグの魅力とジャン・リュック・ゴダールの斬新な演出とカメラワークが最大の魅力なのかな。「気狂いピエロ」ほど難解な話しの筋ではないな。

    当時のパリの雰囲気が映像に爆発しています。当時、この映画を観たらその斬新な演出にはまっただろうなという映画ですね。だけど、ジーン・セバーグはオードリー・ヘップバーンに容姿やそのコケティッシュさ雰囲気も含め、よく似ていますね。そう素直に思ったのでした。

    だけど、当時のパリでもジャン=ポール・ベルモンドの演じた役の日常はやっぱりありえないな。まあ、映画だと言われればそうなのですが。気狂いピエロといい、やっぱり最後は破滅的になるのね。

    話は脇道にそれますが、沢田研二の「勝手にしやがれ」はこの邦題が由来なのかな。

  • 「午前十時の映画祭」、映画館の大画面でフェリーニの屈指の名作「8 1/2」を観て、改めて尊敬し直した、巨匠に対して失礼かな?

    「午前十時の映画祭」、映画館の大画面でフェリーニの屈指の名作「8 1/2」を観て、改めて尊敬し直した、巨匠に対して失礼かな?

    丁度2日前に「午前十時の映画祭」でフェデリコ・フェリーニの名作「8 1/2」を日本橋の“TOHOシネマズ”の大きなスクリーンで初めて観たのでした。

    DVDでは自宅で2回ほど観たことはあるのですが。いつ観てもフェリーニは難解といういイメージしかなかったのですが、この歳になって映画も沢山観てきて、人生経験もたくさんしてきたので、初めてこの「8 1/2」を堪能できました。

    物語はこんな感じです。釈迦に説法かもわかりませんが。

    43才の映画監督のグイド(マルチェロ・マストロヤンニ)は、新作の撮影に入っているはずが構想はさっぱりまとまらない。体調を崩した彼は、医者から薦められた湯治場にやって来た。妻ルイザ(アヌーク・エーメ)との関係は冷え切っており、カルラ(サンドラ・ミーロ)と愛人関係にあったが、今はそれもわずらわしくなっていた。湯治場で見かけた美しい女性(クラウディア・カルディナーレ)に一瞬心ときめいたが、それも空しい幻影に過ぎずー。

    映画の解説としてはこんな解説が付いています。

    「混沌が映画だ。人生は祭りだ」―スランプに苦しむ映画監督のイマジネーションが自由奔放に繰り広げられる巨匠フェリーニの野心作にして代表作。『8 1/2』とは、音楽作品が作曲番号で呼ばれるように、作品番号で付けられた題名。アカデミー賞では外国語映画賞と衣装デザイン賞(白黒)、モスクワ映画祭ではグランプリを受賞した

    改めて思ったのは、最後の20分ぐらいで出てくるクラウディア・カルディナーレが女優陣の中で一番おいしいところを持っていくのね、と素直に思ったのでした。やっぱり当時のイタリア随一のミューズには勝てないということでしょうか。ヴィスコンティの山猫も彼女だしね。

    終わりの方でのセリフも良いね。自分的には「混沌が映画だ。人生は祭りだ」より「投資家に取っては映画製作での失敗はただの損失、監督にとっては失敗は監督としての終わりの烙印」云々のセリフには痺れたね。何故、痺れたかというと、マイケル・チミノの「天国の門」を思い出したからです。最後のシーンで道化師が出てくるのは意味深だね。“人生は祭りで、つまるところ道化だよ”ということなのかな。

    最後の方のハーレムのシーンはなくてもよいのでは。何か意味があるのかな。

    改めて思ったのは、映画の冒頭シーンは監督の才能がよく出ているね。自分的にはヴィスコンティとフェリーニを比べれば、今までは圧倒的にあの廃退美のヴィスコンティが好きだったのですが、今回、フェリーニを見直しました。巨匠に対して失礼か!

    マルチェロ・マストロヤンニはニヤけていい男だね!イタリア男、ここに極まりだね。

  • ネットフリックスの超話題作、アナ・デ・アルマス主演のマリリン・モンローの生涯を描いた映画「ブロンド」を観たよ、監督の力量かな?

    ネットフリックスの超話題作、アナ・デ・アルマス主演のマリリン・モンローの生涯を描いた映画「ブロンド」を観たよ、監督の力量かな?

    本日はネットフリックス(Netflix)での映画の話しです。

    先週の週末です。ネットフリックスでの視聴がはじまったアナ・デ・アルマス主演のマリリン・モンローの生涯を描いたフィクション映画「ブロンド」を是非早く観たいと思い、この週末に鑑賞したのでした。

    今の現役の女優でマリリン・モンロー役をさせたら一番似合うであろうアナ・デ・アルマス主演ですから、期待が高まります。映画の概略です。

    ブロンドは、ジョイス・キャロル・オーツによる同名の2000年の小説に基づいて、アンドリュー・ドミニクによって書かれ監督された2022年のアメリカの架空の伝記ドラマ映画です.この映画は、アナ・デ・アルマスが演じるアメリカの女優マリリン・モンローの生涯とキャリアをフィクション化したものです。

    視聴時間は2時間47分とかなりの大作となっています。18禁です。今年のカンヌ国際映画祭のコンペティションに出品されましたが、賞は取れませんでしたね。

    視聴したあとでの自分の個人的な感想です。

    やっぱりアナ・デ・アルマスはいいね。マリリン役が彼女でなかったら、おそらくこの作品は途中で視聴をやめていたな。映画としては凡長すぎると思います。

    アナ・デ・アルマスは昔からヌードをいといませんので、この映画でもかなり大胆に裸をさらしています。この作品で一番残念だったのは、監督の演出というか構成をもっとシンプルにしたほうが良いです。小難しい構成ではなく、もっと娯楽映画に仕上げた方がよいと思います。監督の失敗作だと思います。あまりに、ベイビー願望が強すぎる描き方なんだな。(事実はそうなのかもわかりませんが)

    あと気になったのはJFケネディの描き方かな。あんな描き方、ケネディ家からクレームがこないのかな。

    監督のことを悪く行っていますが、映画館で出来上がった映画を見せる演出は目新しくてよかったな。自分も見終わって、これではカンヌでは賞が取れなかったのも無理はないなと確信した次第です。

    「ブロンド」から話しはそれますが、アナ・デ・アルマスの前作(主演ではないですが)は007の「ノー・タイム・トゥ・ダイ」だったと思うのです。あの映画の中でのアルマスは良かったですね。ハイヒールを履いて、ダニエル・クレイグとの立ち回り、動けて戦えるアルマスにはほれぼれしたな。あんなアクションができるのなら、ダニエル・クレイグの次は女性007の噂もありましたが、それなら2-3作はアナ・デ・アルマスの007でもよいのでは単純に思ったのでした。

    そして、話しはまた「ブロンド」に戻りますが、素材がマリリンモンローだけに、脚本と監督次第ではおもしろい映画になったであろうに、と思うのです。残念無念

  • 「コーダ あいのうた」はエミリア・ジョーンズにジョニの「Both Sides Now」を手話付で唄わせた時点で勝ちだな、V先生はどうして宮本亜門なの?

    「コーダ あいのうた」はエミリア・ジョーンズにジョニの「Both Sides Now」を手話付で唄わせた時点で勝ちだな、V先生はどうして宮本亜門なの?

    この3連休に「コーダ あいのうた」を自宅で鑑賞した。よい映画だとは知っていましたが、映画館に行くまではないと思っていたのです。そして、約1週間前に最近平日にほぼ毎日聞いているInterFMのロバートハリスさんがナビゲーターをしている“大人のラジオ”「Otona no Radio Alexandria」という番組の中でハリスさんも娘さんの推奨で鑑賞して感激し、3度ほど感涙にむせったというのが、すぐ視聴すべし、と思った理由だったのです。

    そして、何とアマゾンのPrime Videoで無料で見れるのです。この作品は、

    2022年度アカデミー賞<作品賞>を含む、3部門(助演男優賞:トロイ・コッツァー、脚色賞)受賞しています。

    話しはこんな感じです。

    豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる。
    陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から、“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
    新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。
    すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。
    だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。
    悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意をし・・・。

    監督と脚本は、シアン・ヘダーという女性ですね。

    何と言っても主演のエミリア・ジョーンズ(Emilia Jones)がいいですね。おそらくメジャーでは初の主演だと思いますが、彼女当てましたね。ぴったりの役が運命のごとく回ってきたという感じです。

    聴覚障害者の父親のトロイ・コッツァーもよい(なんたってアカデミーの助演男優賞ですから)のですが、お兄ちゃん役のダニエル・デュラントも非常に印象深い演技をしていたと思います。

    だけど、この映画で一番美味しいところを持っていったのは、音楽教師役(ベルナルド・ヴィラロボス / V先生)の エウヘニオ・デルベスだったと思います。どうしても、宮本亜門とオーバーラップするんだな。この手の役はどうしてもこうゆうキャラにしたいのね。

    そして、エミリア・ジョーンズが最後に唄うジョニ・ミッチェルの「Both Sides Now」の楽曲の力強さはたまらないね。エミリア・ジョーンズは若さあふれるといった歌唱です。演出も映画でまだこんな手法があったのね、といった演出がありますね。

    だけど、自分は今年のアカデミー作品賞は自分の思い込みで別の作品だとてっきり思っていて、失礼しました。見終わって、作品賞に値しますね。ペコリ

    このジョニ・ミッチェルの「Both Side Now」は映画でもよく使われますが、この作品以外では「ラブ・アクチュアリー」での使われ方も最高でした。

    ちなみに、コーダ(CODA, Children of Deaf Adult)とは、きこえない・きこえにくい親をもつきこえる子どものことを指します。

    この3連休に最高の映画を観させていただきました。

  • 「グッバイ・クルエル・ワールド」を観たよ。タランティーノを崇拝?だけど、脚本が残念

    「グッバイ・クルエル・ワールド」を観たよ。タランティーノを崇拝?だけど、脚本が残念

    その映画は劇場での事前の予告編もなしに公開されたのです。自分だけが知らなかったのかもわかりませんが。

    その映画とは日本映画の「グッバイ・クルエル・ワールド」(Goodbye Cruel World)です。その告知を見た途端に、劇場ではほとんど日本映画は見ないのだけど、観たくなったんだな。

    いわゆる犯罪ものの映画なのかなという知識しかありません。ちなみに、「cruel」とは、“残酷な、残虐な、むごい、非情な”、という意味ですね。

    映画のキャッチはこんな感じなのですね。

    西島秀俊、斎藤工、宮沢氷魚、玉城ティナ、宮川大輔、三浦友和

    豪華俳優陣の出演と監督・⼤森⽴嗣、脚本・高田亮のオリジナルで贈る本作は、大森監督の⽣々しいまでに抉る⼈物描写はそのままに、暴力と銃をスタイリッシュな映像で魅せる。さらにソウルやファンク、⾳楽やファッションのジャンルを超えた組み合わせ、銃の構え⽅、タバコの吸い⽅・・・。
    キャラクターからアイテムまで、どこまでもクルエル・ワールド全開!

    という訳で、今週は「靴ひものロンド」に続いて2回劇場に足を運んだのでした。

    観ての感想です。かなりクエンティン・タランティーノの初期の映画を意識した演出というか作り方ですね。レザボアからジャッキー・ブラウンまでを。

    全編にわたり音楽もタランティーノ好みのソウル音楽を挿入しています。

    話しはヤクザの金を盗んで、それからの出来事が中心の映画です。自分としては、準主役級の宮沢氷魚、玉城ティナの2人は初めて知ったのです。ほとんどテレビのドラマは見ないので。

    脚本で残念だったのは、リアリティが乏しすぎたところかな。あれだけの乱射事件と銃をぶっ放し、スタンドを爆破すれば大勢の警察がすぐに来るだろう!

    あんな血まみれになって、どうして遠くに移動できるの!ツッコミというか、このあたりも丁寧に脚本づくりしないと現実味がないと思うんだな。

    大森南朋の刑事も日本の警察機構の中であれだけの目に見える堕落は決して野放しというか、刑事の資格剥奪されているだろう

    役者では狂気さでは斎藤工がよい演技をしています。リアリティありすぎです。西島秀俊はやっぱり悪人役にはなりきれないと思いました。

    最後の終わり方も、少し?マークかな。あそこまで無事にたどり着けないだろう。

    比較する日本映画では、「孤高の血」があると思います。こちらの方がリアリティがあるな。原作があるからかな。

    SEXシーンはなくて暴力シーンが過激なのでR15指定なのか。

    だけど、この手の日本映画は珍しいので、ツッコミどころはありますが、劇場で是非お楽しみください。だけどやっぱり、宮沢氷魚の最後の演技もよくわかりませんでした。

    やっぱり、タランティーノは偉大なりを実感した次第です。やはり脚本の妙ですね。

  • あのジュンパ・ラヒリが惚れ込んだ原作の映画「靴ひものロンド」を鑑賞、自分的には監督の演出がよくないな

    あのジュンパ・ラヒリが惚れ込んだ原作の映画「靴ひものロンド」を鑑賞、自分的には監督の演出がよくないな

    有楽町にあるヒューマントラストシネマという映画館を初めて訪れたのです。観に行った映画は「靴ひものロンド」というイタリア映画なのでした。実は数日前まではこの映画も原作も全く知らなかったのですが。

    この映画を知ったきっかけは、先週末金曜日の日経新聞の夕刊の「シネマ万華鏡」だったのです。その映画批評の写真に自分の知っている男優が写っていたのです。

    あの名作の「輝ける青春」の主人公を演じたルイジ・ロ・カーショが出演しているのかと。この「輝ける青春」(邦題は本当にダサいですが、内容は折り紙つきです)はラジオでロバート・ハリスさんが推奨されていて、自分も鑑賞し深い感動に包まれたのです。このルイジ・ロ・カーショは日本の俳優の故加藤剛さんに雰囲気が似ているね。自分、古いね。

    そして、日経の批評はこんな感じです。

    2017年、米ニューヨーク・タイムズ紙の“注目の本”に選出されたイタリアの作家ドメニコ・スタルノーネの小説「靴ひも」(映画の原題も同じ)を、「ローマ法王になる日まで」(17年)のダニエーレ・ルケッティが脚本を書き、監督した。

    1980年のイタリア・ナポリを主要舞台に、夫婦と子供(姉と弟)ら一家4人の30年間を描く。中年期と老年期、子供から大人へと成熟する4人は同一俳優が演じるのではなく、年齢に合った別の俳優と交代、ドラマ前半の中年期の印象的なエピソードを老年期の夫婦が振り返ることで、年齢を重ねた同一人物だとわかる見せ方が目新しい。

    この批評だけではおそらく見に行かなかったと思うのです。後押ししたのは、アマゾンで原作をチェックしたときです。

    荒らされた家、消えた猫……本当に失ったものは何だったのか。ふたりの子どもと妻を残して、夫は若い女と暮らすために家を出た。四十年前の危機を、乗り越えてきたはずの家族。彼らを繫ぎ留めていた紐帯は、留守宅を襲う何者かによって、ぷつりと断たれた――。ジュンパ・ラヒリが惚れ込んで英訳し、全米で絶賛された家族小説

    自分的には、この“ジュンパ・ラヒリが惚れ込んだ”という一文を見て、見に行くしかないなということになったんだな。

    見ての感想です。骨太なストーリーではなく、非常に繊細な物語なのね。だけど、監督の“年齢に合った別の俳優と交代”は必要なかったのでは。十分にメイクをすれば中年期も老年期も演じられると思うのですが。子供たちはしかたありませんが。そのため、全く顔と体型が違う(ルイジ・ロ・カーショの役)ので、同一人物の物語なのか話がわからなくなるのです。自分的には奥さんは再婚したのかと思いました。

    それと、映画を観ただけでは靴紐の結び方が何故それほど重要か、わからなかったんだな。原作の方はもっと深みがあるんだろうな。多分。

    繰り返しますが、繊細なストーリーですね。このストーリー、女性が観ると違う感想を持つのかな。だけど、イタリア映画は良いね。そして、不倫相手(これは不倫じゃないか)の女性は魅力的でいいですね。何を観ているんだか!

  • 「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」が終る。やっぱり、太陽が知っている・ルートヴィヒ・追想だね

    「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」が終る。やっぱり、太陽が知っている・ルートヴィヒ・追想だね

    8月中旬から上映が始まった「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」については、「太陽が知っている」を観に行って先日もそのブログを書いたところなのですが、その後結局は自分が見ていなかったロミー・シュナイダー出演の映画を3本ほど観に行ったのです。

    既に観に行ったものも含めて、今回の映画祭で上映された映画はすべて見たということになりました。今回は自分の備忘録も含めて、その感想を記しておきたいと思うのです。

    今回の「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」で上映されたのは次の7本です。

    • 『離愁 4Kデジタルリマスター版』
    • 『地獄』
    • 『太陽が知っている 4Kデジタルリマスター版』
    • 『夕なぎ』
    • 『マックスとリリー』
    • 『サン・スーシの女』
    • 『華麗なる女銀行家 4Kデジタルリマスター版』
    • 『地獄』

    そして、「太陽は知っている」は別にして、追加で観た3本は、「離愁」「華麗なる女銀行家」「マックスとリリー」です。映画として面白かったのは「マックスとリリー」かな。なんと古い映画ですが日本で劇場初公開とのこと。娼婦役ですが、フィルム・ノワール感満載の佳作ですね。この役をカトリーヌ・ドヌーヴからロミー・シュナイダーが奪ったとのこと。それもそさりなんと思います。

    「地獄」は監督に焦点を当てたドキュメンタリーなので「情婦マノン」「恐怖の報酬」などで知られる名匠の監督のアンリ=ジョルジュ・クルーゾーに思い入れがなければあまり面白い作品ではないな。

    だけど驚いたのは、自分が観た回のどれもが、シニア層特にシニアの女性層でほぼ一杯になった映画館というものを初めて観たのです。みんなノスタルジックな感覚に浸りたいのかな。

    そんな渋谷でのロミー・シュナイダー祭も9/8(木)で一旦は終了のようです。

    だけど、これでロミー・シュナイダーの出演映画のほぼすべてを見たことになると思いますが、やっぱり評価は変わらないな。やっぱりこの3本になりますね。

    • 「太陽が知っている」(アラン・ドロンとの共演)
    • 「ルートヴィヒ」(監督: ルキーノ・ヴィスコンティ)
    • 「追想」(あのニュー・シネマ・パラダイスのフィリップ・ノワレとの共演)

    映画的には卒倒するほどの美意識映画の「ルートヴィヒ」が圧倒的ですが、「太陽が知っている」の白い水着もいいし(コレばっかり言っていて変態だな)、「追想」の火炎放射器もすごいぞ、と言いたいですね。

    特に「追想」はあの内藤陳氏が“コレを観ずに死ねるか”といった映画なのですね。

    思うに、願わくばもう少し多くのヴィスコンティ作品でロミー・シュナイダーを観たかったな。「山猫」のクラウディア・カルディナーレの替わりにロミー・シュナイダーでも良かったと思うのですが。やっぱりイタリアが舞台なら、クラウディア・カルディナーレなのかな?

  • バーブラ・ストライサンドとレディー・ガガの共通点は?ブスと超美人に見える時があるんだな、不思議

    バーブラ・ストライサンドとレディー・ガガの共通点は?ブスと超美人に見える時があるんだな、不思議

    今日は映画のお話しなのです。

    自分の大好きな映画に「追憶」(原題: The Way We Were)があります。監督はシドニー・ポラック、主演はバーブラ・ストライサンドとロバート・レッドフォードという最強の布陣です。

    恋愛映画ですから、超男前のロバート・レッドフォードは最適役、ハリウッドでかなうものはいないでしょう。その相手役のバーブラ・ストライサンドは美人かというと少し?がつく配役と思うのです。素直に考えれば。

    だけど、映画を観進めていくと不思議ことが起こるのです。最初はやっぱりバーバラは美人じゃないな、どうしてロバート・レッドフォードが惹かれるのはおかしいのではと思うのです。

    だけど、あら不思議、終盤にかけていくにしたがってあのバーブラ・ストライサンドが超美人に見えてくるんだな。監督のマジックかどうかはわかりませんが、自分でもこの人、美人だなと納得するのです。

    ストーリーもバーバラが唄う主題歌も素晴らしいのですが、自分の中ではいつも不思議だなと思わせる映画がこの「追憶」なんだな。

    そして、そのバーブラ・ストライサンドと比べたくなる女性に、あのレディー・ガガ様がいるのです。半年前に観た映画に「ハウス・オブ・グッチ」があるのです。レディー・ガガ様が主演ですが、この人も本当にブスに見える時と超美人に見える時があるのです。まさにバーバラ現象が起こるのです。

    だけど今、イタリア女を演じさせたらこの人が一番似合っているね。スクリーンで見て確信したのでした。だけど、「ハウス・オブ・グッチ」の中でのデブになったアルパチーノは見たくなかったな。あのゴットファーザーのマイケルはどこに行ったんだ。使用前・使用後の様相です。

    今日はバーブラ・ストライサンドとレディー・ガガの相似性について語りたかったのですが、もう一つ、先週末にDVDで観た映画のことを。

    名優のケネス・ブラナー(制作・監督・脚本)が製作した「ベルファスト」です。

    彼の幼少期を投影した自伝的作品で 故郷への郷愁とリスペクトを 英国・アイルランド実力派俳優たちの競演で魅せる、 泣き笑いの人生賛歌、という作品です。あえてモノクロで撮っており、すばらしい作品だった。俳優陣もいいのです。

    父親役の人、どこかで見たことある人だな、ハンサムでサム・シェパードみたいな人だなと思ったのでした。調べたら、あのダコダ・ジョンソンを緊縛した人間ではないですか

    あの「フィフティ・シェイズ・フリード」3部作の変態男性だったとは。お母さん役のカトリーナ・バルフも美人でいい役者さんですね。

    まあ、この映画の主人公は少年バディ(ジュード・ヒル)だと思いますが、この少年を見ているとどうしても「ニュー・シネマ・パラダイス」のトトとオーバーラップするね。

    とにかく「ベルファスト」はよい映画です。だけど、ダコダ・ジョンソンを緊縛したあいつは許せないな。

    余談ですが、現在の自民党の茂木幹事長は本当に“なべおさみ”にそっくりだな。家内から聞いた話しですが、そのことを本人に言うと激怒りするというのです。

    だけど、週末のお昼ごろ、赤坂あたりを普段着でうろつくのはやめてほしいな。幹事長になってからはお見受けしませんが。

    というわけで本日はお顔のお話しでした。

  • “没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭”が開催中、「太陽は知っている」を観て、大人の女の色気に卒倒してください

    “没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭”が開催中、「太陽は知っている」を観て、大人の女の色気に卒倒してください

    昨日金曜日から上映が始まった映画でその知らせを聞いてから楽しみにしていた映画企画があったのです。そして、その初日に早速、渋谷のBunkamuraにある「ル・シネマ」に足を運んだのでした。

    その企画とは、「没後40年 ロミー・シュナイダー映画祭」なのです。そう、あの今は亡き大女優のロミー・シュナイダー(Romy Schneider、1938年 – 1982年)の没後40年を迎えての企画です。まさに、卒倒ものの企画ですね。

    キャッチコピーは、“波乱万丈の生涯を送った、ヨーロッパ映画最高の映画女優 その軌跡をたどる、初の本格的な特集上映”です。

    自分的にも、名女優はたくさんおられますが、ロミー(気安く呼ぶなと言われそうですが)はその美貌ではやっぱり映画史上のNo.1女優だと思うんだな。大人の女を演じさせれば、この人になかなうものはありません。特に、今回観た「太陽が知ってる」の白と黒の水着姿にはまいるんだな。

    だけど、ロミー・シュナイダーで44年間の生涯だったんだな。自分的には彼女の映画でベスト3は下記かな。

    • 「太陽が知っている」
    • 「ルートヴィヒ」(監督: ルキーノ・ヴィスコンティ)
    • 「追想」

    特に、水着以外でのロミーの美貌は「ルートヴィヒ」で炸裂します。自分の親父のヴィスコンティはよくわかっているね。山猫のカルディナーレとは違うね。

    そして、今回の8/5(金)~8/25(木)の特集上映されるのはこの6作品なのです。

    • 『太陽が知っている 4Kデジタルリマスター版』
    • 『マックスとリリー』※日本劇場初公開
    • 『夕なぎ』
    • 『離愁 4Kデジタルリマスター版』
    • 『華麗なる女銀行家 4Kデジタルリマスター版』
    • 『サン・スーシの女』
    • 『地獄』※日本劇場初公開

    このラインナップであれば、いの一番に大画面で見ないといけないのは、「太陽が知っている」でしょう。原題は、「La piscine」で「スイミングプール」という意味ですね。

    あらすじはこんな感じです。

    『太陽が知っている 4Kデジタルリマスター版』(1969年)

    監督:ジャック・ドレー

    出演:アラン・ドロン、ロミー・シュナイダー、モーリス・ロネ、ジェーン・バーキン

    バカンスを過ごしていたジャン=ポール(アラン・ドロン)とマリアンヌ(ロミー・シュナイダー)だが、マリアンヌが招待したハリー(モーリス・ロネ)と娘ペネロープ(ジェーン・バーキン)がやってきてから雰囲気は一変する。

    ハリーはマリアンヌの元恋人で、ジャン=ポールはハリーに劣等感を抱えていたのだ……。陽光降り注ぐサントロペの別荘を舞台に、4人の男女の思惑が官能的かつ不穏に交錯し合う心理サスペンス。かつて恋人同士だったドロンとロミーが後戻りのできない道を歩んでゆくカップルを熱演。

    自分の記憶では、もう少しロミーとアラン・ドロンがプール脇でいちゃいちゃするシーンが多いと思っていたのですが、そんなに多くないのね。そして、ロミーの白い水着姿ばかりと思っていたのですが、そんなにシーン的には多くないのね。人間の記憶ほどあてにならないものはありません。

    若き日のあの泣く子も黙るジェーン・バーキンも出ていますが、ロミーの大人の色気から見れば小娘(いい意味で)ですね。

    そして、舞台は南仏のサントロペです。サントロペと言えば、自分がイチオシの水着ブランドで偏愛するVilebrequin(ヴィルブレクイン)の発祥地なんだな。(超マニアックだね)どうりで舞台がおしゃれすぎます。

    だけど、やっぱりいい映画だったな。ロミーの映画、あといくつ観に行こうかな。

    最後に「追憶」ですが、鉄板の“これを観ずに死ねるか”の映画の一本に挙げられていますよ。ナチに対して火炎放射器が炸裂します。

    こんな映画を見れて、生きててよかった。

  • 泰明庵で“せりカレーそば”を食す。夏でもあるよ、但し、根っこはなし

    泰明庵で“せりカレーそば”を食す。夏でもあるよ、但し、根っこはなし

    昨日は家族の一人が週末に観に行って激賞した映画があったのです。題名は「アルピニスト」です。東京の都心では日比谷のシャンテで現在上映中なのです。そんなに激賞するならと朝の回にのこのこと一人で鑑賞しに行ったのです。

    一言で言うと、確かにすごかった。ドキュメンタリーですが、是非、大きな画面で見ることをおすすめします。ドキュメンタリーと言えども、大手のユニバーサル配給の映画ですので、おもしろさは半端ありません

    こんなあらすじです。

    命綱無し、たった独り、前人未到の挑戦

    映画制作の発端は、モーティマー監督が耳を疑う噂を聞いたことだった、その噂によると、クライマーたちの間では知られている名山に一人で挑んで、次々と記録的な登頂を成功させている若者がいるらしい

    彼の名前はマーク・アンドレ・ルクレール。カナダ生まれの23歳の青年だ。偉業を成し遂げながらもその名が知られていないのは、彼がSNSを一切やらないからだった。

    現在、登山の世界ではSNSで登頂を世界に向けて発信することが主流になっており、スポンサーと契約を結んで派手な宣伝をしてクライミングに挑むアルピニストも多い。しかし、マークは自分を売り込むことには興味がなく、自分の楽しみのためだけに登山をする。モーティマーはカナダに赴いてマークを見つけ出し、そのカリスマ的な人柄に惹かれて彼のドキュメンタリー映画を撮ることにする。そして、完成したのが無名の天才アルピニストの姿を記録した『アルピニスト』だ

    だけど、本日はこの映画の話しではないのです。見終わったのが、午前の11時30分です。外はかなりの雨です。ランチでも食べようかな。となると、久しぶりに近くのそば屋さんの「泰明庵」に行こうかなと思った次第です。秋から冬場にかけては週1回は通っているお店です。そのシーズンは“せり入り”のカレー南蛮があるのです。自分的にはその旬のシーズン以外はないと思いこんでいたのです。そんな情報だったんだな。まあ、雨だし、代わりにニラ入りのカレー南ばんにしようと思って。

    久しぶりの泰明庵です。4ケ月ぶりかな。本日は2Fへ。まずは映画の興奮の熱冷ましにビールを1本。サッポロの黒ラベル、うまいね

    そして注文です。お姉さんに恐る恐る“せりカレーそば”あるのと聞くと、あっさりと「はい、あります」とのことです。それではこの逸品しかないな。ついでに、いつものようにせりの根も入れてね、というと、「お客さん、この時期は根はないんですよ」とのことです。

    根入りのせりカレーそばは食べれませんが、普通のは今の時期でも食べられるのね。初めて知りました。そして、一人でビールを1本丁度飲み干したぐらいに、思いがけない「せりカレーそば」の登場です。この餡の照りだよね

    泰明庵のカレー南ばん、普通盛りでもかなり麺は多いです。普通の人は大盛りは厳禁だな。

    カレー南ばん、やっぱり旨いよ。せりも根っこがなければすごく食べやすいよ。だけど、あの根っこがたくさん入ってるせりカレーそばが本来の泰明庵のカレーそばでしょう。寿司にわさびが入っていないぐらいの違いです。

    だけど夏にもせりカレー南ばんがあることを確認できただけでも今日の収穫でした。ご馳走様でした。

    東京で最高峰のカレー南蛮と言われる「日本ばし やぶ久」でカレー蕎麦を食す。辛さが増すごとに値段も上がるよ



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  • ノルウェー版大豆田とわ子?映画「わたしは最悪。」を見たぞ。恋愛と人生に悩む現代人に送る、セリフが刺さる映画だよ

    ノルウェー版大豆田とわ子?映画「わたしは最悪。」を見たぞ。恋愛と人生に悩む現代人に送る、セリフが刺さる映画だよ

    週初めの昨日月曜日に思い立って、渋谷にあるBunkamuraル・シネマにて絶賛上映中の「わたしは最悪。」という映画を見てきたのでした。きっかけは、そのキャッチコピーです。

    ノルウェー版大豆田とわ子?! 映画『わたしは最悪。』はリアルな台詞が刺さる

    自分は実は松たか子主演の「大豆田とわ子と三人の元夫」は見たこともなかったのですが、その“近年非常におもしろいドラマだった”という高評価は知っていたのです。

    ちなみに、「わたしは最悪。」はこんな映画プロフィールなのです。

    『わたしは最悪。』(原題・ノルウェー語: Verdens verste menneske)は、ヨアキム・トリアー監督による2021年のダーク・ロマンティック・コメディドラマ映画である。

    『リプライズ(英語版)』(2006年)と『オスロ、8月31日(英語版)』(2011年)から続くトリアー監督の「オスロ三部作」の第3作である。

    プレミア上映は第74回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門で行われ、レナーテ・レインスヴェが女優賞を受賞した。第94回アカデミー賞には国際長編映画賞と脚本賞にノミネートされた。

    話しは、主人公女性の20代後半から30代前半の恋とキャリアと日々の暮らしが描かれ、その物語はリアリティあるセリフに溢れています。私って、失敗の多い人生かもという自分探しの物語というのかな。それに恋愛と現代性が交わってきます。

    一番の魅力はこの主人公を演じた女優のレテーナ・レインスヴェの魅力かな。カンヌでの主演女優賞も納得かな。2つ目は脚本が緻密で出来がすばらしいのです。物語は12章にカットされて、最後に最終章がついています。

    まあ、あえて言えば本当にたわいののない話しをこれだけ魅力的な映画に仕上げるのは監督の力量でしょう。そして、オスロの街の風景がよいです。中盤に時がとまる映像演出は魅力的な演出です。そう、主人公が走っているポスターのカットの場面です。

    北欧の映画というと、どうしても日照時間が少ない影響なのか、暗い風景の映画を思い出します。そう、自分のイメージではアキ・カウリスマキ監督なのです。西加奈子さんの最新刊「夜が明ける」も絶望的な主人公でアキ・マケライネンの北欧映画が取り上げられていたもんな。

    だけど、この映画は違います。そうだよな、北欧がすべて暗い風景ではないんだよな。この映画では普通の美しいオスロが描かれています

    そして、最後に感心したところ。12章まで見終わって、さあ最後です。この拡散した物語をどうまとめて終わらせるのだろうと思ったのでした。心配したのかな。

    だけど、数分の余韻のある終わらせ方には感心したんだな。監督の力量を確認できました。いまの時代、「ノッティングヒルの恋人」ような夢物語より、風刺の効いた現代という時代をきりとった物語の方がリアルさんがあっていいんだな。時代を反映するラブ・コメディーです。

    自分的には非常にお薦めする映画です。あの女優さん、本当にいいね。