少し前の話しになりますが、2020年11月8日の日本経済新聞の日曜版にエノテカ会長の廣瀬恭久さんのエッセイに気になるワインの紹介があったのです。
この廣瀬さん、88年にワインの輸入販売を手掛けるエノテカを創業し、社長に。2015年から現職の会長職を務められている方です。
ワインを語るのであれば、日本では決して外せないお店、あのエノテカなのです。
今回のエッセイは、“「トスカーナの宝」を見守る”という題です。
緩やか丘に糸杉が立ち並ぶ風景が有名なイタリア・トスカーナ。
モンタルチーノという村があり、ジャンフランコ・ソルデラさんの「カーゼ・バッセ」というワイナリーがある。
イタリアのワイン業界の人に「好きなイタリアワインを3つあげてくれ」というと10人中10人がカーゼ・バッセをあげる。ソルデラさんは保険業から転身し、造り始めた。
ソルデラさんは非常にストイックで、ワインを造るにあたり、自然環境を丁寧に作り上げていった。例えば自分のぶどう畑の周りには数多くのバラを植え、森を配置。そしてミツバチを放つ。
そのことで、ぶどうが非常にナチュラルに育つ。素人だからこそ、いがらみもなく、徹底して突き進むことができた。熟成されていて、非常にエレガントな味わいが特徴だ。
取引をしたいと2005年、彼に会いにいった。そこでワインをテイスティングさせてもらうことになった。テイスティングは一般的な消費者であれば口に含んだのを飲むが、我々のように職業として取り組むときには口に入れ味わった後、吐器に捨てるか、なければ地面に出す。
ここでも同じように捨てようとしたが、それをソルデラさんが止めた。
「よせ、捨てないでくれ。俺のワインを味わってくれ」。そんなことを言われたことがないので、本当に驚いた。でもその時に「この人は本当に自分のワインを愛しているんだ」ということを感じた。
ますます彼のことを好きになり、取引を始めた。
ただ、タイミングが悪かった。高価格帯の商品の消費が落ちていたうえ、円高が進行。カーゼ・バッセはなかなか売り上げが伸びない。取引を一時中断せざるを得なくなったが、心の中では常に彼のワインのことがあった。
そして、18年年末。機は熟したと感じ、ソルデラさんにコンタクトをとって、取引を再開したいと伝えた。彼も「是非やりたい」と、19年2月に会う約束をした。
そんな中悲しい知らせが。私が向かう直前、19年2月16日に亡くなられた。落ち着いた後、私はソルデラさんの跡を継いだ娘のモニカさんと息子のマウロさんに会いに行った。彼女は「父親がやっていたことを2人で守っていく」と話してくれた。
彼女らが父親のようにこだわりのワイン造りを進めていくことができるか。支える気持ちで見守っていく。
そして、自分はあいにくこのトスカーナの「カーゼ・バッセ」を知らなかったのです。高級ワインでボトルで飲んだことがあるのは、ナパのオーパス・ワンだけなのです。
そして、この「カーゼ・バッセ」、かなりのお値段にびっくりした次第です。
楽天市場での紹介文です。
丸みのあるエレガントな味わいと長い余韻が魅力!
サンジョヴェーゼ100%で偉大なワインを追求する孤高の造り手カーゼバッセ
いつかは飲んでみたいな、カーゼ・バッセ
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