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  • 評価高いダルデンヌ監督最新作の「トリとロキタ」を無料で観られる方法とは、カギはテアトルシネマ

    評価高いダルデンヌ監督最新作の「トリとロキタ」を無料で観られる方法とは、カギはテアトルシネマ

    本日は映画のお話しです。

    今週はじめにヒューマントラストシネマ有楽町にて「トリとロキタ」という映画を観た。一言で言うと大変緊張感漂う映像とあらすじ、少しドキュメンタリータッチ、現代のアフリカ移民がヨーロッパに押し寄せ暮らす現実を描いた映画ですね。いわゆる有名俳優は出ていませんが。ベルギー、おそらくブリュセルの妖しい夜がビビットに描かれています

    本当はこの映画を映画館まで行って観るべきかどうか迷っていたのですが、観に行ってよかったな。背中を押したのは、日経新聞でも先週の週刊誌でも軒並み取り上げられていたのでね。

    そのどれも好意的な批評だったので。

    映画はこんな感じの内容です。

    ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督最新作
    ダルデンヌ兄弟が、キャリア35年にして到達したシンプルかつ強靭な傑作!

    地中海を渡りヨーロッパへやってきた人々が大勢ベルギーに暮らしている。トリとロキタも同様にベルギーへやってきた。トリはまだ子供だがしっかり者。10代後半のロキタは祖国にいる家族のため、ドラッグの運び屋をして、はした金を稼いでいる。

    偽りの姉弟としてふたりは支え合いながら、出口のない搾取の日々を過ごす。ロキタは、偽造ビザを手に入れて正規の仕事に就くために、さらに危険な闇組織の仕事を始めるのだが……。

    他に頼るもののないふたりの温かな絆と、それを断ち切らんとするばかりの冷たい世界。彼らを追い詰めるのは麻薬や闇組織なのか、それとも……。観客は固唾をのんで、幸せを祈りながら、トリとロキタが立ち向かう運命をただ見守るのだ

    自分はこの監督のダルデンヌ兄弟という方を知らなかったのです。かなり著名な映画監督なのですね。(汗)

    ちなみにちょこっとアドバイスを。

    今回映画を観に行ったヒューマントラストシネマですが、角川系のテアトルシネマグループに所属しています。都内では、有楽町・渋谷・池袋・新宿他にあります。

    そして、何とテアトルシネマは上場会社(証券コード: 9633)であり、こちらの株主優待を利用すれば無料で映画を鑑賞できるのです。(自分もこのことを数ヶ月前に知ったのです、こちらも汗)

    ということは、当然、この鑑賞券がメルカリなどに出品されています。但し、この優待券には住所と名前がしっかりとプリントアウトされています。

    これは、自分の体験談ですが、窓口でこの券を差し出してもこの点をチェックされることはないですね(本人確認はない)。フリーパスです。ただ、席の事前予約はできないので、映画館の窓口でガチの選択となります。

    そして一番注意しないといけないのは、新作は金曜日に公開されますがその日から日曜日まではこちらの優待を使えず、公開週後の翌月曜日からでないと使えないのには要注意です。

    インド映画のあの「RRR」をいち早く観たかったために、自分はこれで失敗したのでした。(これも汗)

    胸熱インド映画「RRR」を観てきたよ、途中で“これはまいったな”と口ずさむことしきり、頭をからっぽにして楽しんでね





  • タランティーノが激賞の「影の軍団」を視聴中、昔はコンプライアンスなんて関係ないね、よき時代

    タランティーノが激賞の「影の軍団」を視聴中、昔はコンプライアンスなんて関係ないね、よき時代

    最近自宅のDVD鑑賞でハマっている作品があるのです。その作品とはあの偉大な故千葉真一主演の「影の軍団」なのです。(もう、タイトルからしていいよね、心躍るものがあるね)

    自分が関心を持つきっかけは、あのクエンティン・タランティーノが激賞しているコメントを見たからなのです。そのリスペクト愛は「キル・ビル」でサニー千葉を登場させていることでもわかりますね。

    第1作シリーズ(全27話)は1980年4月1日からフジテレビ系列で放映が開始されています。22時台の放送ということで、やっぱり色っぽい銭湯のシーンが毎回出てくるからなのかな。(何せ、服部半蔵役=千葉真一のハンサンは銭湯の主人という役設定なのでね

    だけど銭湯のシーンはコンプライアンスの厳しい地上波では考えられないシーンです、深い時間帯でもね。(よい時代だったね)

    そんなことより「影の軍団」です。もちろん皆さんご存知のように、当時の千葉真一は動けて派手なアクションもできるトップスターです。その魅力が満載です。だけど、今から見ると数人で毎回大きな仕事をするのは無理がある設定かな。(まあ水戸黄門みたいなものです)

    あの音楽が流れてくると、毎週観たくなる麻薬みたいなドラマですね。岡林信康のひょうひょうとした唄もなじんでくるのです。

    当時から樹木希林(まだ若いよ)はあんな役をすんなりこなしていたのね、緩急をつける役者としてはすごいね。長谷直美も三林京子も若いね。火野正平も出ているのですが、昔も今もあのキャラクターが全面に出ています。まあ、名脇役ですね、コミカルな雰囲気を出すという意味でね。

    だけど、山村聡はいるだけで様になるね。昔はこんな感じのいるだけで絵になるというか、芝居が落ち着く重鎮がいたね。DVD1本につき、4話収録されています。だから、DVD1本観るのに、3時間30分もかかるのです。この長さが玉にキズかな。

    ストーリーもほぼ決まったフォーマットに添っているので、1回に数本見ると飽きてくるんだな。まあ、んなドラマを地上波でやっていたなんで、今のテレビと比較すると、雲泥の差ですね。昔の方がよかったよ。

    まあ、タランティーノが絶賛しているのも分かるよね。

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  • 目黒シネマで松田優作の「蘇る金狼」と「野獣死すべし」を観た、小林麻美より風吹ジュンだね

    目黒シネマで松田優作の「蘇る金狼」と「野獣死すべし」を観た、小林麻美より風吹ジュンだね

    一昨日は東京は桜満開というのに、雨模様です。こんな日は映画に限るね。

    今回の映画館は本当にシブいよ。目黒駅前にある単館の映画館の「目黒シネマ」に観に行ったのです。何と2本立て上映です。シニア料金は1,000円という安さです。

    何を観に行ったかというとあの大藪春彦原作で松田優作主演のあの2本です。

    • 野獣死すべし(1980年作)
    • 蘇える金狼(1979年作)

    自分の記憶ではこの2本ともに観たことがなかったので、雨模様をこれ幸いとばかりに利用したのでした。11時から始まって、中入り15分を挟んで終了が15時30分というものです。

    この映画はフィルム上映ではなくブルーレイ上映だったのです。どちらもあの角川映画で製作は角川春樹さんの名前をスクリーンで見た時は歴史を感じましたね

    話しとしては、「蘇る金狼」の方がおもしろい。「野獣死すべし」は最後の方であんな滑稽無糖な展開になるんだろうなという印象

    だけど、主演の松田優作はこの人しかできない演技をしていたね。独特な雰囲気があるよ、やっぱり。そして、「蘇る金狼」の女優は風吹ジュン、まあ演技はダメですがヌードありの体当たり演技で許せます。だけど、「野獣死すべし」の小林麻美(今の人は知らないだろうな)は役の存在自体も変だし、演技もダメで全く見どころなかったね。いつものあの少しアンニュイな雰囲気を撒き散らすだけです。繰り返しますが、役も無理やり設定したという感じです。

    両作共に監督は村川透さんという方です。自分はこの監督知りません。大藪春彦の原作の良し悪しは読んだことがないのでわからないですが、やっぱり監督の力量がないと思うんだな

    40年前の映画ですが、演出も古いというかわけわかんないよというシーンも多いね。「ゴットファーザー」は1972年公開だよ。偉大な映画と較べても仕方ないですが、もう少しなんとかならないのかな。

    「野獣死すべし」の銀行強盗、あの時代でもあのやり方はないよね、あれでは興ざめするよ。だけど、成田三樹夫はさすがの悪人面でいい味だすね。佐藤慶もだよ。

    まあ、いろんな批判はしましたが、この2本立てを1,000円で観れたのはお得感あったよ。映画館を出れば15時30分です。お昼もまだ食べていません。せっかく目黒まで遠征してきたのですから、ここは中華麺の老舗名店「支那ソバ かづ屋」に行ってビールとワンタン麺と思っていたのですが、外は大雨。傘も持たずに来たので、このお楽しみができなかったのは残念無念。

    だけど、松田優作て、今の俳優で言えば松山ケンイチが似ているのかな。こんなつぶやきをすると、どちらのファンからも怒られるのかな。

    目黒シネマで“宇宙最強の男、ドニー・イェン”の映画を観たあとは、「かづ屋」へ直行するしかないだろう、美味いね“支那そば”





  • 阪妻版と三船版の「無法松の一生」を劇場で観たよ、阪東妻三郎を初めて観たが、迫力あるね、あの故田村正和のお父さんだものね

    阪妻版と三船版の「無法松の一生」を劇場で観たよ、阪東妻三郎を初めて観たが、迫力あるね、あの故田村正和のお父さんだものね

    本日の話しは本当にシブいよ。古い映画のお話しです。

    実は先週と今週続けて「無法松の一生」を劇場で見たのです。絶賛開催中の“午前十時の映画祭”でね。昭和生まれの自分としては「無法松の一生」というタイトルだけは知ってはいたのですが、話しの筋も知らず、ましてや映画も観たことがないのです。相当な年配の方以外はそうだと思うのです。まあ、頭にはあっても忘れ去られおり、興味もなかったのです。

    ましてや、主演が阪東妻三郎と三船敏郎の2つがあることなど露も知らずです。

    まあ、時間もあったので、先週まず阪東妻三郎主演の「無法松の一生」を観たのです。こちらは白黒映画です。今回の劇場上映のために作られた解説が15分あったかな。この阪妻版は戦時中ということもあり、まずは日本の軍部からの検閲で相当部分がカット、アメリカに敗戦後の検閲で更にカットという憂き目を見ての、映画だったのですね。

    阪妻版と御船版の比較はあとにするとして、この阪妻を観て深く感動したのです。解説の中でも誰かが言っていたように検閲でずたずたにされたことにより、より普遍的なテーマも持つ映画になったかと。肝心の話しこんな感じです。ちみなに両方とも監督は稲垣 浩です。

    明治30年、小倉に無法松と呼ばれる人力俥夫の松五郎がいた。松五郎は博奕で故郷を追放されていたが舞い戻り、若松警察の撃剣の先生と喧嘩をして頭を割られ、木賃宿の宇和島屋で寝込んでいた。そんな松五郎は喧嘩っ早いことで評判で、ある日、芝居小屋で仲間の熊吉と枡席でニンニクを炊いて嫌がらせをし、木戸番と喧嘩するが、土地の顔役である結城重蔵の仲裁で素直に謝った。松五郎は意気と侠気のある男だった

    松五郎は堀に落ちてけがをした少年・敏雄を助ける。敏雄の父親は陸軍大尉の吉岡小太郎であり、これが縁で松五郎は吉岡家に出入りするようになった。しかし、吉岡大尉は雨天の演習で風邪を引き急死した。夫人のよし子は、敏雄が気の弱いことを心配して松五郎を頼りにする。松五郎は夫人と敏雄に献身的に尽くしていった

    やがて敏雄は小倉中学の4年生になり、青島陥落を祝う提灯行列の日に他校の生徒と喧嘩をして母をハラハラさせるが、松五郎は逆にそれを喜び喧嘩に加勢した。その後敏雄は五高に入学し、松五郎とは疎遠になっていった。小倉祇園太鼓の日、夏休みのため敏雄が五高の先生を連れてきて帰省した。本場の祇園太鼓を聞きたがっていた先生の案内役をしていた松五郎は、山車に乗って撥を取り太鼓を打つ。流れ打ち、勇み駒、暴れ打ち。長い間聞くことのできなかった本場の祇園太鼓を叩き、町中にその音が響いた

    それから数日後、松五郎は吉岡家を訪ね、夫人に対する思慕を打ち明けようとするが、「ワシの心は汚い」と一言言って、彼女のもとを去った。その後、松五郎は酒に溺れ、遂に雪の中で倒れて死んだ。彼の遺品の中には、夫人と敏雄名義の預金通帳と、吉岡家からもらった祝儀が手を付けずに残してあった

    いわゆる人情&悲恋ものです。話しと時代背景は日本人の琴線に触れますね。三船敏郎版はカラーだし、吉岡夫人にはあの高峰秀子です。こちらも観るしかないだろうと。高峰秀子を大画面で見れる機会はないと思うので。こちらは検閲カットのない完全版です。

    思ったのは三船はさすがの演技、高峰秀子は声が少しだみ声なので色気がないかなと思ったのですが、やっぱりあの運動会のシーンでの阪妻の方に軍配を上げるな。思うに、妙に検閲でカットたれた阪妻の方が優れているのです。あの三船の最後の雪の中のシーンも必要ないし、婦人に打ち明けようとするところもなくても良いよ。阪妻版の最後バサッと切る方が余韻があってよいね

    だけど三船版での拾い物は、親分役に笠智衆が見れたところかな。これは拾い物です。

    話しは変わりますが、高峰秀子の著書「わたしの渡世日記」は傑作だよ。あの楠木建教授も大推薦だよ。

  • 「フェイブルマンズ」を観たよ、やっぱりスピルバーグは偉大なり、近年で最高の映画のエンディングです

    「フェイブルマンズ」を観たよ、やっぱりスピルバーグは偉大なり、近年で最高の映画のエンディングです

    本日も映画のお話しです。何せ2023年のアカデミー賞の発表が日本時間の2023年3月13日(月)と迫ってきたものでね。

    この月曜日はアカデミー賞の作品賞最有力といわれる「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 」(いわゆる略称: エブエブ)、昨日はスピルバーグの幼少期のエピソードを投影した自伝的内容「フェイブルマンズ」(The Fablemans)を2日続けて見に行ったのです。

    まずはスピルバーグの作品から。

    スピルバーグの作品を映画館で観たのは随分昔の記憶しかないんだな。巨匠に対して失礼ですが。但し、DVDではすべて見てますよ。おそらく数十年ぶりの劇場での作品鑑賞です。

    実はあまり期待していなかったのです。何故なら、あのエブエブの方の前評判が高かったのでね。だけど、日経新聞の土曜日夕刊の恒例の“シネマ万華鏡”ではこの2作品を取り上げていましたが、「フェイブルマンズ」の扱いの方が大きかったね。

    ちなみに「フェイブル」とは「寓話」(ぐうわ)の意味ですね。

    観た感想です。ここ10年ぐらいの映画の中で終わり方が一番決まっている映画だね。たった最後の3分の出来事です。あの有名監督の言う「〇〇○○○は上か下、真ん中は凡庸」というセリフ、本当の話しなのかな。本当にしてはあまりにも出来すぎているので、作り話としても、よく出来ているエンディングです。終わりよければすべて良し。まさに「ニューシネマパラダイス」を思い起こさせます。そっちは音楽はモリコーネですが、こっちはジョン・ウィリアムスだよ。

    そして、ママが繰り返し言う意味深なセリフ、「あらゆるものには意味がある」。あの映画の1コマ1コマに意味があるということを言っているのかな、それとも最後のあの場面のことなのかな。

    やっぱり映画の1コマ1コマには意味があるという含蓄なんだろうな。ママとあの人とのことを1コマで知ったように。

    主演女優賞はママ役のミッシェル・ウィリアムズでよいんじゃなかろうか

    本当によい映画を観させていただきました。やっぱりスピルバーグは偉大なりです。(当たり前か)

    それに引き換え「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 」(エブエブ)の方はやっぱり訳わからない映画だよ。マルチバースがそんなに面白いの。みんなこの物語の本質がわかるのかな。もしかして、1回観ただけではわからないのかも(それとも自分がバカなのか)

    映像的にはおもしろいところもあったが、あの石のシーンね。はっきり言って、自分の感性ではおそらく何回観ても訳解んないと思います。

    そして、今年の作品賞はスピルバーグにはあげにくいので、「イニシェリン島の精霊」か「逆転のトライアングル」かと思います。自分の予想ですね。

    繰り返します。「フェイブルマンズ」の最後は本当に後味が良い映画でした。映画はこうでなくっちゃね。

    (追記)

    作品賞はエブエブだったね。本当に作品賞に値するのかな、叱られそう。

    ケイト・ブランシェットの迫真に迫る演技が話題の「TAR」(ター)を観たよ、誰がモデルかな





  • ポール・バーホーベンは偉大なり、「ベネディタ」を観て再認識した

    ポール・バーホーベンは偉大なり、「ベネディタ」を観て再認識した

    昨日ブログにアップした銀座のとんかつ屋さんに行く前に観た映画はあのポール・バーホーベンの「ベネディタ」なのです。封切りされて2週間ほどですが、小さい劇場でしか公開されていなくて、かつかなり満員気味なのでいつ伺うか時を待っていたのです。

    (余談 いい映画を観たあとのビールととんかつは最高だね)

    予告を観た時から修道女のお話しということしか予備知識はないのですが。なんたって監督がポール・バーホーベンですから、問答無用の“観るべし”まさしく必見の映画と思った次第です。

    ポール・バーホーベンはハリウッドに行ってあの「氷の微笑」を撮っていますが、自分にとってはあの「ブラックブック」があまりに印象的なんだな。娯楽性とあの耽美性のエログロはこの監督のすごいところでしょう。本当に傑作です。少しブラックジョークが効き過ぎなところもね。

    そして、今回の「ベネディタ」です。話しのすじはこんな感じです。

    17世紀にレズビアン主義で告発された実在の修道女ベネデッタ・カルリーニの数奇な人生と彼女に翻弄される人々を描いた伝記映画

    17世紀、ペシアの町。聖母マリアと対話し奇蹟を起こすとされる少女ベネデッタは、6歳で出家してテアティノ修道院に入る。純粋無垢なまま成人した彼女は、修道院に逃げ込んできた若い女性バルトロメアを助け、秘密の関係を深めていく。そんな中、ベネデッタは聖痕を受けてイエスの花嫁になったとみなされ、新たな修道院長に就任。民衆から聖女と崇められ強大な権力を手にするが……。

    「おとなの恋の測り方」のビルジニー・エフィラが主演を務め、「さざなみ」のシャーロット・ランプリング、「神々と男たち」のランベール・ウィルソンが共演。2021年・第74回カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品。

    2021年製作/131分

    中世の教会ものですので、話しが陰鬱になりがちですが、そこは当代きっての鬼才ポール・バーホーベンです。エロもグロも入れて第一級のエンターテインメントに仕上げています。人々が映画に求めているものをよく知っていらっしゃいます。

    女優さんもまさに体当たりの演技です。DVDで観ると少し暗い画面が多いので、やっぱり映画館で見ることをおすすめします。

    どうしてもっと大きな劇場でやらないのかな、不思議です。

    やっぱり、ポール・バーホーベンは偉大なりです。再認識させていただいた次第です。

    イタリア映画「帰れない山」は2023年劇場公開された作品ではNo.1だよ





  • 映画「逆転のトライアングル」は2作品連続でパルム・ドール獲得という偉業、あのバレンシアガ顔には驚いた

    映画「逆転のトライアングル」は2作品連続でパルム・ドール獲得という偉業、あのバレンシアガ顔には驚いた

    本日は先週劇場で観た「逆転のトライアングル」という映画についてです。

    本作を観ようと思ったのは、単純にその予告編を劇場で観て、2022年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール(最高賞)を獲ったという情報からだけなのです。

    筋書きも監督も何の情報もなく、ガチ観です。(こんな表現あるのかな)

    日比谷のTOHOシネマズで観たのですが、公開されてわずかとはいえ、朝の回でも結構観客がいたのには驚いたね。

    ガチ観の感想です。

    導入部には驚いたね。あの「バレンシアガ」顔と「H&M」顔の演出には斬新だね。つかみはOKです。だけど、どうしてあのレストランでの支払いごときで延々と引っ張るのかよくわからなかったのです。(最後になって少しわかったかな)

    続いてヨットの場面です。これはこれでシニカルな演出ですね。ここまで観て、この監督ただものではないな、という感想が頭によぎります

    そして、最後の島に漂着してからの話しになります。自分としては、この物語どうやって結末を迎えるのかな、という疑問がよぎります。最後は多少、切れ味の少ない終わり方かと思ったのですが、本当に楽しめた映画だったたのです。これを作った監督は只者ではないね、と素直に思ったのでした。

    ここまでが劇場で観た素直な感想だったのです。

    そして、観た直後の日本経済新聞の夕刊の「シネマ万華鏡」にこの「逆転のトライアングル」が大々的に取り上げられていたのです。

    昨年のカンヌ国際映画祭におけるパルム・ドール(最高賞)の受賞作。監督は、スウェーデンのリューベン・オストルンドで、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」に続いて、2作品連続でパルム・ドール獲得という偉業である。

    (中略)

    端正な画面、綿密な脚本と、強烈な風刺とブラックユーモアとが絶妙なバランスで掛けあわされ、大いに笑いを誘う。

    (中略)

    ただ、ラストの階級制度の逆転には既視感があり、もうひと捻り欲しかったという気もする。

    2時間27分

    自分もこの感想には全く同意です。ただ、この監督があの「ザ・スクエア」を作った人だとは初めて知ったんだな。その映画もシニカルで非常に自分としては評価した映画だったのですね。そうなんだ、2作続けてカンヌでパルムドールはすごいね。いわゆる有名俳優は使っていないのにもかかわらずです。やはりストーリーというか、脚本が素晴らしいのかね。

    この監督の才気はすごいね

    本当に日本映画の監督もちまちました恋愛ばかりの映画を作っている場合ではないよね。もっと、時代を切り取った才気を出さないと本当にダメになると思い知らされた映画でした。

    必見だよ。男優もいい、あのバカさ加減がね。

  • モリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」を読破、タイトルからしびれるね

    モリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」を読破、タイトルからしびれるね

    あのタランティーノが放った名言、「かれは現代のモーツァルトだよ、現在のヴェートーベンだよ、現代のシューベルトだよ」と。

    そのモリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」(エンニオ・モリコーネ (著), アレッサンドロ・デ・ローザ (著))を3週間かけて読破したのです。弁当箱より分厚い本ですが、実に面白かったのです。音楽を勉強している人などにとっては自分の100倍ぐらいの吸収がある本だと思います。

    しかし、本のタイトルがしびれるね。(この言葉はモリコーネの言葉です)

    初期のモリコーネの名を高めたあのセルジオ・レオーネとの3作は「ドル箱3部作」と呼ばれているのですね。(荒野の用心棒・夕陽のガンマン・続 夕陽のガンマンのことだよ)

    そして、ストラヴィンスキーのことを再三とりあげて激賞していますね。音楽家にとってはすごい進歩を起こした人なのね。素人には今ひとつわからないストラヴィンスキーなのに。

    本から抜粋です。まずはルイス・バカロフの言葉です。(1933年生まれ、「イル・ポスティーノ」で第68回アカデミー作曲賞)

    アルバン・ベルクは1920年代に、シューマンの「トロイメライ」を研究していた。そのなかで、かれはこの曲を“完璧”にせしめている一連の要素に注目している。彼が注目したのは、音程の築き方、特に完全四度の使用についてだった。実際のところそれが正しいのかどうかはわからないけれどね。….

    エンリオがベルクの分析に関心を持ったかどうかもわからないが、彼の書いたメロディの多くがきわめて有名になったことを考えると、彼なりに何らかの“秘訣”を発見したのだろう。ただ、ここまでくれば、彼に直接訊いてみるよりほかないだろう。

    2014年3月26日

    次はモリコーネと一番多くの映画で連れ添ったジュリアーノ・モンタルドの言葉(映画監督、代表作は「死刑台のメロディ」)です。

    でもいいんだ。ぼくの傍らにはいつだってエンニオがいるから。優れた職人で芸術家でもある偉大なエンニオがいつもそばにいてくれるんだ。

    2014年5月26日

    特に、付録の「証言」というコーナーでトルナトーレがあの「ニュー・シネマ・パラダイス」の音楽について詳細に回答していますので、必読です。

    最後に本書の紹介文です。

    「疑いの余地なく、本書は、わたしに関して書かれた本のうち、詳細にわたり丁寧に検討された正真正銘の最良の書である。これは真実の書である。」 ──エンニオ・モリコーネ

    前衛音楽から映画音楽へ 若き音楽家との対話によって紡がれる マエストロの生涯とその創造のすべて

    『荒野の用心棒』『夕陽のガンマン』『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』『死刑台のメロディ』『エクソシスト2』『ニュー・シネマ・パラダイス』『ミッション』『アンタッチャブル』『海の上のピアニスト』『鑑定士と顔のない依頼人』『ヘイトフル・エイト』…… 数々の名作で知られる映画音楽界の巨匠エンニオ・モリコーネと若き音楽家アレッサンドロ・デ・ローザとの対話によって紡がれる、マエストロの生涯と創作の真実

    映画音楽は映画という芸術に対して何をすることができるのか。音楽としての純粋性を損なうことなく、大衆が理解可能な音楽はいかにして可能か。音楽は人と人をどのように結びつけることができるのか。そして、なぜ人は作曲を続けるのか。

    本書には、モリコーネが歩んできた人生、映画音楽家としての活動、 経験、その音楽が生まれた契機と育まれた経緯のみならず、彼が生きた歴史・社会・文化的状況をめぐる思いのすべてが綴られる。

    映画、ラジオ、テレビといった様々なメディアが到来しては次々に様相を塗り替えていった現代社会のなかで、「音楽」はそこに何を残すことができたのか。決して音楽の世界に閉じこもることなく、新しい環境のなかに飛び込み、苦闘した作曲家はやがて映画音楽界の巨匠と呼ばれるようになる。

    ゴッフレド・ペトラッシのもとで作曲を学び、ダルムシュタットでジョン・ケージと出会った作曲学生時代。そしてRAI(イタリア放送協会)やRCAでプロとしてのキャリアをスタートしてからの下積み。その後のセルジオ・レオーネ、ベルナルド・ベルトルッチ、ピエル・パオロ・パゾリーニ、ダリオ・アルジェント、ジュゼッペ・トルナトーレ、ジョン・カーペンター、オリヴァー・ストーン、ブライアン・デ・パルマ、ペドロ・アルモドバル、ロマン・ポランスキー、クエンティン・タランティーノらとのコラボレーションに至るまで、モリコーネの生涯が詳細に語られる。

    楽しい読書体験でした。

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  • ブラッド・ピット主演の大作「バビロン」を観たよ、あと30分ほどカットすればよい映画になったと思うな

    ブラッド・ピット主演の大作「バビロン」を観たよ、あと30分ほどカットすればよい映画になったと思うな

    本日は映画のお話しです。

    先日、あの超大作の「バビロン」を劇場に観に行ったのです。何せ、劇場で観た予告編から非常に興味が湧いていたのです。なんたって監督はあの「ラ・ラ・ランド」を作ったデイミアン・チャゼルなのですから、主演はブラッド・ピットとくれば、超大作でしよう。

    だけど、この手の大盤振る舞いの映画はコケることが多いんだな。監督の思い込みが激しくなって。悪い例では、あの「ディア・ハンター」のマイケル・チミノの次作の「天国の門」のようにね。

    そんなこともあって、あえて劇場で見るのには少し躊躇していた自分です。まあ、意を決して見に行こうかと。主演はブラッド・ピット、マーゴット・ロビーです。

    観ての率直な感想です。

    話しの内容としては、サイレントから音声入りの映画に移行していく時代の中で、サイレント時代子の大スターであった人(ブラッド・ピット)がうまく時代合わずというのが主ストーリーです。これにいろいろな伏線が展開・挿入されていく物語りです。

    前半部分はすばらしかったな。冒頭の強烈なパーティーの演出、ロケ風景でもおもしろさは圧巻でした。ただ、後半部分はダラダラとした展開かな。上映時間は189分です。

    特に後半部分のマーゴット・ロビーが賭けに負けて借金をつくり、友人がボスのところに行って洞窟でおかしなものを見せられるところ。この15分は確実にカットできると思いました。

    マーゴット・ロビーのはっちゃけぶりはよかったな。

    あと、テーマ曲もなかなかでした。さすがに「ラ・ラ・ランド」を作った監督だけのことはあります。

    そして、一番の違和感はエンディングですね。あの手法は「ニューシネマ・パラダイス」の二番煎じではないのかな

    要約すると、もう30分ぐらいカットして編集すると中身の凝縮した映画になったのでは。だけど、あのロケシーン面白かったね。

    だけど不思議に思うのは、あの「タイタニック」のことです。何でも製作25周年記念で今劇場で再上映されていますが、ほとんどすべての上映回で売り切れ続出です。

    今、タイタニックを見るぐらいなら、この「バビロン」を見た方が楽しいのにね。

    人の心理はよくわかりません。

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  • くだらなくて、メロメロになるインド映画「バンバン」を観たぞ、大画面のキレキレのカトリーヌ・カイフ様は無敵なり

    くだらなくて、メロメロになるインド映画「バンバン」を観たぞ、大画面のキレキレのカトリーヌ・カイフ様は無敵なり

    2日前の金曜日は東京は雪模様のあいにくの天気です。こんな日でものこのこと出かける理由があったのです。1ケ月前の映画館での予告であのカトリーヌ・カイフ様の映像が流れたのでした。

    当然インド映画のスパイアクション映画でしたが、その予告を観た段階で“必ず観に行くべし”と手帳に書き込んだのでした。自分、少し狂っているのかな。

    そしてその日(上映初日)が大雪の日だったのです。

    はっきり最初から言います。観ての感想です。ストーリー滑稽無糖、はっきり言っておもしろくない、くだらない映画です。だけど、ニヤニヤして観ている自分がそこにあったのです。

    まあ、最近は難しくなった007と対局にあり、ローアン・アトキンソンのパロディ007の中間ぐらいのスパイ映画かな。

    だけど、カトリーヌ・カイフのファンにはたまりません。が、すでに役からして相当無理があります。成熟の極地にあるカイフ様が無垢な処女のような役は難しいでしょう。体つきもすでに成熟の極地にありますので。ちなみにカトリーヌ・カイフは1983年生まれですので、ほぼ40歳です。

    映画はこのカトリーヌ・カイフと主人公のリティク・ローシャンのグラビア映画かと思うばかりです。この映画のポスター見るだけでたまりませんね。特にカトリーヌ・カイフ様の後ろ姿。(自分狂っているのかな)ちなみに映画の宣伝文句です。

    トム・クルーズとキャメロン・ディアスのコンビで全世界大ヒットを記録した『ナイト&デイ』。激しいアクションとロマンスをコメディタッチで描くその作風は、1本の映画に喜怒哀楽全ての要素を求めるインド映画界のニーズにハマり、正式にリメイク権が獲得され、そこに更なるアクションとロマンス、そしてド派手なダンスを加えてマサラ風味にアレンジされた本作『バンバン!』が誕生した!本国インドでは2014年公開時に年間興行収入4位を記録。製作費16億ルピー(約28億円)をつぎ込み、インドのみならずタイ、ギリシャ、ドバイ、チェコでの撮影を敢行。車やバイクだけでなく、水上スキーからF1カーまで、あらゆるマシンを駆使したカーチェイスや、絢爛豪華なダンスシーンがド肝抜くスケールで展開する!

    ド派手な怪盗ラージヴィ―ルに、2018年に“世界で最もハンサムな男性ランキング”で6位となった、インド映画界きってのイケメンスター、リティク・ローシャン。日本でも公開された『スーパー30 アーナンド先生の教室』では封印していたイケメンオーラ全開で、セクシーで謎多きヒーローを演じている。
    事件に巻き込まれ、地味な銀行員から、魅力あふれる女性に華麗な変化を遂げるハルリーンに、“最もセクシーなアジア人女性“と評される『チェイス!』のカトリーナ・カイフ。2人のファンタジックな美男美女っぷりも見どころの一つだ。
    監督は、2019年に『WAR ウォー!!』でインド年間興行成績No.1を獲得したシッダールト・アーナンドが務め、ハリウッドを超えるインドアクションの第一人者の実力を発揮している。

    カイフ様はこのお年になってもインド映画ですので、踊って歌ってビキニの腹出しもしなくてはなりません。日本で言えば、綾瀬はるかちゃんにキレキレのダンスと歌を歌わせるというものです。それを考えれば、インドの女優さんは大変だな。

    本当にバカな時間を過ごしましたが、自分にとっては至福の2時間30分でした。これは最大級のホメ言葉ですよ

    是非、観に行くべし。

    参考に自分のインド映画ベスト3です。

    • 「きっと、うまくいく」(アーミル・カーン主演)
    • 「PK」(アーミル・カーン主演)
    • 「命ある限り」(我らがカトリーヌ・カイフ様の最高傑作だよ)

    そして、あの「スラムドック・ミリオネア」は別格ということで。

    だけど、今日のブログは大変楽しく書けました。



  • 「池波正太郎の銀座日記」を再読、先生オススメの「オペラ・ハット」に今の映画が色あせると言わせるとは

    「池波正太郎の銀座日記」を再読、先生オススメの「オペラ・ハット」に今の映画が色あせると言わせるとは

    今読んでいる本に池波正太郎先生の「池波正太郎の銀座日記(全)」があります。自分が保有している版は文庫本で平成5年7月の8刷版ですね。

    購入と同時に一度読んだのですが、最近、ロバート・ハリスさんも再読しているということで、その影響で自分も蔵書から引っ張り出して今、読んでいるところなのです。

    今の年齢で読むとまた感慨深いものがあります。

    自分の今の生活も池波先生と同様に、グルメと映画と小説に絵に旅という生活なんだな。先生と違うところは小説を書いていないところかな(いや無理かな)。

    脇道にそれましたが、この日記、実におもしろいのです。その中の「来年の賀状」というエッセイです。

    夜、テレビで古いアメリカ映画「オペラ・ハット」を観る。すばらしい。いまの映画が色あせて感じられるほどだった。ことに、ロバート・リスキンの脚本がよく、巻頭から核心に入るまでの展開は、胸がすくようだった。若きゲイリー・クーパー、ジーン・アーサーのスタアとしての大きさ、魅力は、いまや世界が、時代が失ったものだ。

    先生、大絶賛なのでした。自分は残念ながら観たことなかったんだな。こうまで言われれば、観るしかない。監督は大巨匠のフランク・キャプラです。

    感想ですか。ゲイリー・クーパーの若々しいこと。ジーン・アーサーもすばらしい。脚本が丁寧ですね。よく書かれています。アメリカの良心という映画ですね。キャプラお得意のスタイルですね。

    今から見れば多少青臭い感じの話しですが、監督の訴えたいことがよくわかる映画ですね。

    映画繋がりでもう1本。先日、“午前10時の映画際”であのライザ・ミネリ主演の「キャバレー」を観たのです。監督はボブ・フォッシーです。

    自分は観たことあると思っていたのですが、初めてということに気づきました。おそらくシカゴと混同したんだな。これはおそらく20-30歳代に見ると、あまり感動しなかったかも。

    人生を少し経てきて、「人の世は道化師みたいな」もんだよ、ということがわかるようになって中の劇中劇も楽しめたのでした。少しフェリーニみたいな感触もあるのかな。

    驚愕したのが、狂言回しの役のMC(ジョエル・グレイ)の演技です。この人の狂言回しで劇中劇が進んでいくのですが、その多彩な技と達者ぶりには舌をまきます。この役でアカデミー賞助演男優賞も納得です。この人がいなければこの映画、平凡なものになっていただろうな。まさしく何かが乗り移った狂気が感じられました。

    話しはナチスが台頭してくるベルリンが舞台というののは初めてしりました。てっきり、NYかシカゴあたりを連想させるタイトルなののでね。だけどライザ・ミネリの髪型おもしろいね、個性的と言うのかもわかりませんが。ライザ・ミネリの恋人役のあの素朴そうなイギリス人はちょっと違うのでは、という配役だな。

    話しは池波先生に戻りますが、「池波正太郎の銀座日記(全)」はおすすめですよ。自分はまた何年後かにまた読むつもりです。

  • 「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を鑑賞、天才の仕事場を見れるだけでも奇跡のようなことだよ

    「モリコーネ 映画が恋した音楽家」を鑑賞、天才の仕事場を見れるだけでも奇跡のようなことだよ

    本日の午前に予告編で紹介されたときから観たい映画を観に行ったのです。その映画とは、「モリコーネ 映画が恋した音楽家」なのです。監督は、あのジュゼッペ・トルナトーレです。正確にはドキュメンタリーかと思いますが、モリコーネを撮るにはの人トルナトーレしかいませんね

    まだ、公開されて5日目ですが、地味なモリコーネを扱う映画に午前の回でも多く人が来ていたのには驚きました。

    感想ですか?至福の2時間37分を過ごさせていただきました。全編トルナトーレのモリコーネ愛が溢れているのです。予告編でもタランティーノが絶叫していた“現代のベートーベン”の仕事ぶりが見れたののですから。

    冒頭のモリコーネの仕事場と楽譜を書く姿を見れたのはミーハーな自分にとってはもうそれだけで良いという感じなんだな。

    映画で分かったのは、若いころ作曲の理論を相当に勉強しているのね、当たり前か。そして、キャリアの最初はポップスの作曲や編曲をしていたのね。

    映画音楽を手掛けだしての最初の名声はあの「荒野の用心棒」の印象的な口笛でテーマ曲。確かに斬新すぎます。時が経てわかる革新性。「続・夕陽のガンマン」でのコヨーテの鳴き声。最高です。オリバー・ストーンが自分の映画でモリコーネに「荒野の用心棒」のような楽曲が欲しいと言ったのには笑ったね。

    モリコーネ、イーストウッド、セルジオ・レオーネ にとって名声を確立したマカロニ・ウェスタンの3部作ですね。

    この映画の中での登場人物も、パット・メセニー、クインシー・ジョーンズ、スプリングスティーン等々、豪華絢爛です。

    自分が初めて知ったのは、レオーネの「ウェスタン」の冒頭のハエの音などもモリコーネの音楽の一部なのね。すごい斬新性。

    そして「ミッション」の音楽はモリコーネ自身が語っているように、メロディーが天から舞い降りてきたと。これでその年のアカデミー音楽賞がハンコックのラウンド・ミッドナイトとは。アカデミーが本当に間違いを犯したんだね。既存曲のラウンド・ミッドナイトに負けるとは。モリコーネが語っている方が100%正しいね。

    断った仕事で1つだけ後悔したのはキューブリックの「時計じかけのオレンジ」 だと。

    「シシリアン」の音楽制作には苦労したと等々。

    そしてタランティーノが吠えるのは最後のほうだよ。“現代のモーツァルトだよ、現在のヴェートーベンだよ、現代のシューベルトだよ”と。「ヘイトフル・エイト」の楽曲は交響曲調に書いたよと。これでアカデミー音楽賞をとったんだね。その時のプレゼンターはクインシーだよ。アカデミー名誉賞の時はイーストウッドがプレゼンター。

    アカデミーの会場でモリコーネとジョン・ウィリアムスが一緒に座っている姿を見ると、涙ものですね。

    この映画の終わり方もよいね。モリコーネ曰く、

    • 自分がベートーベンかどうかは200年経過しないとわからないよ
    • 自分は絶対音楽と現代音楽の融合を目指してきた

    この映画、自分ももう1回映画館で観て、DVDが発売されたら永久保存のために購入すると決めました。

    もう一度言います、現代の天才の仕事場と仕事ぶりが見れるのはこの映画だけだよ。その意味でもトルナトーレには感謝しかないね。これだけプライベートを撮らせるのを許される人はトルナトーレしかいないんだもの。

    モリコーネ大先生の最新刊の大著、「あの音を求めて モリコーネ、音楽・映画・人生を語る」を読破、タイトルからしびれるね



  • 2023年初劇場映画はイタリア映画の「離ればなれになっても」、日本ももっと骨太な人生讃歌を描かないと映画がダメになるよ!

    2023年初劇場映画はイタリア映画の「離ればなれになっても」、日本ももっと骨太な人生讃歌を描かないと映画がダメになるよ!

    2023年になって初めての劇場での映画の鑑賞は、イタリア映画の「離ればなれになっても」だったのです。理由は新聞での映画評価が高かったのと、お正月早々でも地味な映画なので、ゆったりと観れると思ったのでした。

    映画のキャッチコピーは、

    • “はじまりは16歳、ローマ。誰もが振り向く宝石(ジェンマ)に僕らは心を奪われた-”
    • “出会いと別れを繰り返した40年間の〈ほろ苦い追憶の日々〉”

    監督は、ガブリエレ・ムッチーノという方です。何でも、

    • イタリア三週連続の1位
    • 2020年イタリア・アカデミー賞 ダヴィッド・ドナテッロ賞 3部門ノミネート

    これだけ聞いても、どれだけすごいのかわかりません。

    内容はこんな感じ。

    初めての恋におちた2人が、激動の時代に翻弄され、出会いと別れを繰り返す——

    40年の歳月が教えてくれた愛の真実を描くヒューマン・ラブストーリー

    イタリアで公開されるや大ヒットを記録し、SNSに「2度泣いた」「魅惑的な美しさに完全に夢中」「信じられないほど感動」など激賞コメントが駆け巡った話題の逸品。

    主人公は、「宝石ジェンマ」という名前の通り美しく輝くジェンマと、彼女の初恋の相手であるパオロ。2人が16歳で出会った1982年から2022年まで、激動の時代に翻弄され出会いと別れを繰り返す日々が描かれる。

    見つめるだけで息が止まった幼い恋、大人の都合で離ればなれにされた切ない時間、まさかの親友の裏切り、身を引き裂く別れ、涙の再会の思いもしなかった行方──40年の歳月が教えてくれた愛の真実とは──?

    監督は『幸せのちから』のガブリエレ・ムッチーノ。イタリアとハリウッドを行き来して培った手腕で、ローマとナポリの絶景を舞台に、愛と人生の謎を解き明かすダイナミックなヒューマンドラマを織り上げた。

    観る者の懐かしい記憶を呼び覚ます音楽は、『ライフ・イズ・ビューティフル』でアカデミー賞を受賞したニコラ・ピオヴァーニ。 イタリアの映画評論家が、「巨匠エットーレ・スコラ監督の不朽の名作『あんなに愛しあったのに』へのオマージュ」と絶賛。愛の奇跡を信じさせてくれる、ラブストーリーの新たな傑作が誕生した!

    実は自分、2022年に観た映画で一番感動したのがイタリア映画だったのです。DVD鑑賞ですが。その映画は

    • 「ジョルダーニ家の人々」
    • 「輝ける青春」

    どちらも家族の問題を扱う大河ドラマなんだな。これにいたく感動したので、この手のイタリア映画には触手が動くのです。そして、「離ればなれになっても」です。

    最初は、子供時代と大人になってから顔が変わるので少し誰が誰だかわからなくなり、少し難解なのです。話しが進むに連れて、配役がなじんできますので、面白さが出てきます。

    話しは、女性のジェンマを巡る男3名の人生と時代の移り変わりを丁寧に描かれています。最後は人生いろんなことがあったけれど、という万感胸に迫るものがあります。

    そして、リカルド役のサンタマリア・サンタマリアはあの超名作「ジョルダーニ家の人々」の長男ではないですか。俄然興味がわきます。

    ジェンマ役はミカエラ・ラマツォッティはどうかな。はすっぱなところを出すイタリア女としては適役なのかな。日本人には少しどうなのかな。

    だけど、よい映画です。近年の日本映画もこれぐらいのものを作れないのかな。やっぱり脚本が違うのか。向田邦子さんの「阿修羅のごとく」のような脚本家はいないのかな。

    若い人の恋愛映画ばかりで面白くないね。もっと人生を描かないとね

  • アバターの映像はすばらしい、だけどストーリーがね、ブラックパンサーとRRRに負けるぞ、2022年のベストは「コーダ あいのうた」かな

    アバターの映像はすばらしい、だけどストーリーがね、ブラックパンサーとRRRに負けるぞ、2022年のベストは「コーダ あいのうた」かな

    本日は映画のお話しです。先日封切り初日の12月16日(金)に超話題の「アバター ウェイ・オブ・ウォーター」を鑑賞したのでした。日比谷の東宝シネマでの入りは4割ぐらいだったかな。

    観ての自分の素直な感想。確かに3時間の超大作であり、映像の美しさも度肝を抜くものですが、第1作から時間が空きすぎて、前の話しからの続きなのでもう前の話しは忘れてしまったよ、という感じなのです。ナビィやアバターの関係性が今一わからないんだな。

    今回の話し自体はシンプルなのですが、その続きの人間関係がすぐには理解できないので、面白さは半減するのかな。全5話で完結という話しも聞こえてきますが、どうなのかな。

    自分はシニア料金で視聴できるので1,200円で視聴できる娯楽としてはコスパは素晴らしいものがありますが、インド映画のあの「RRR」に撃破されるのではないのかな

    お金のかけ方はアバターかと思いますが、映画のパワーではRRRに負けていると思います。アバターでは鑑賞後、拍手は起きなかったもの

    映画館で拍手を目撃したのはRRRだけです。その意味では貴重な映画体験でした。自分ではアバターより「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」の方が上だと思うな。こちらの方が目頭が熱くなったもの

    ここでちょっとしたディップを。このアバター公開の数日前、六本木ヒルズの前の道路を歩いていたのです。前からアロハぽい派手なシャツを来た恰幅のよい初老の外人とすれちがったのです。冬なのに派手なシャツを着ているやつがいるなと思ったのでした。

    映画の予告を観てこの男が写っているのです。ジェームス・キャメロンと盟友のアバターのプロデューサーのジョン・ランドーその人だったのです。おそらく、プロモーションで来日していて六本木のグランド・ハイアットに宿泊していたんだろうなと。

    そして、今年も映画館とDVDでたくさんの映画を観ました。

    2022年で一番自分なりのベストはアカデミー賞作品賞もとった「コーダ あいのうた」かな。映画の最後にエミリア・ジョーンズにジョニ・ミッチェルの「Both Sides Now」を歌わせる演出にまいったのでした。ストーリーもいいしね。

    そして、映画館でゴットファーザー三部作を続けて観たのは初めての体験だった。やっぱりゴットファーザーは2部まで、と改めて思ったのでした。11月のシチリア旅行でゴッドファーザー村へ行けなかったのは残念無念。

    ディア・ハンターも劇場で2週続けて2回観たしね。満足、満足

    渋谷のBunkamuraの劇場でロミー・シュナイダーの没後四十年ということで「太陽が知っている」も観たな。やっぱりいいよね。あの白い水着がいいんだね(変態かね)

    DVDではイタリアの「ジョルダーニ家の人々」が傑作だと思いました。少し前の作品ですが。現代社会というか家族を取り巻く世相を反映した傑作イタリア映画だと思いました。さすが、岩波映画館で上映されただけのことはあります。

    そんな感想を持った2022年の映画界なのでした。

  • 「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」を観て、不覚にも涙を流したんだな、やっぱり大作だよ、観るべし

    「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」を観て、不覚にも涙を流したんだな、やっぱり大作だよ、観るべし

    本日からイタリアへ行くというのに、行く直前ですがどうしても観ておきたい映画があったのです。イタリアから帰国してからだと、あの“すずめの戸締まり”に圧倒されて、上映される回数が圧倒的に少なくなる可能性があると思ってです。

    観たかった映画は、マーベル映画ですが「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」だったのです。

    ヒーロー映画として異例のアカデミー賞3冠、作品賞も初ノしミネートを果たし、全世界で社会現象となった「ブラックパンサー」の待望の続編

    国王とヒーロー、2つの顔を持つティ・チャラを失ったワカンダ国に海の帝国の脅威が迫る。ティ・チャラの妹であり天才科学者のシュリたちは、この危機にどう立ち向かうのか。そして、新たな希望となるブラックパンサーを受け継ぐ者は誰なのか…。未来を切りひらく者たちの熱き戦いを描いた、ドラマチック・アクション超大作が始まる。

    ティ・チャラ国王役のチャドウィック・ボーズマンがあの若さでお亡くなりになったので、映画も国王亡き後のお話しとなっています。

    観た第一印象です。敵のキャラクターの設定もかなり強引ですが、自分としては絶対にマーベル映画では感動しないぞ、と思っていたのですが、鑑賞後はジーンとくるものがありました

    不覚にも目頭が熱くなってしまったんだな。(これじゃ、ダメだな自分)

    161分というかなりの長編ですが、映画としてはよく出来ています。あの大ヒット中のインド映画「RRR」と同様にこの料金でこの長編クオリティを観ることが出来て幸せな映画です。

    予告編でのあのカッコよいシーンは最後の方にあるのね。このブラックパンサー、終わり方を見るといつまでも続きそうですね。

    だけど、適役の羽根パタパタはないだろうというツッコミが入りそうですが。だけど、ワカンダの戦士の腕を前で交差する仕草は、エジプトの遺跡の彫像で見るポーズなんだな。

    さすがにアイアンマンやアベンジャーズは映画館で観る必要はないと思いますが、ブラック・パンサーは是非大画面で。

    「RRR」のブログ記事でも言ったのですが、日本映画ももっとぶっ飛んだ映画を作らないといけないぞ。「ドライブ・マイーカー」みたいなチマチマとした同じような映画ばかりでは本当に衰退してしまうんだと思います。黒澤の「乱」ぐらいのものを作ろうよ。

    話しは余談ですが、先週、午前10時の映画際で「ディア・ハンター」を2回見に行ったのです。観ておかないと大画面は観れるのは何年後になるかわかりませんので。

    何回も観ると、伏線がよくわかりますね。やっぱり監督のマイケル・チミノはこの映画1本で映画史に名を残したのでした。偉大だね

    というわけで本日は軽い話題でした。

    それではイタリアに行ってきます。シチリアではあのゴッドファーザーの坂道のカフェで写真がとれるかな?



  • 胸熱インド映画「RRR」を観てきたよ、途中で“これはまいったな”と口ずさむことしきり、頭をからっぽにして楽しんでね

    胸熱インド映画「RRR」を観てきたよ、途中で“これはまいったな”と口ずさむことしきり、頭をからっぽにして楽しんでね

    現在、メキシコシティ滞在記を書いていますが、急遽、メキシコから戻ってきてすぐに見たかった映画のことを報告したいと思います。すぐに書かないわけにはいかない胸熱映画だった

    その映画とはインド映画の「RRR」というものです。

    自分の率直な感想としては、アメリカのアベンジャー全員集合をも超えた映画なんだな。(映画としていいか悪いかは別にして)アベンジャーズもかわいいものだな。

    観終わった後に、日本の映画館で拍手があったのは自分の体験としては初めてだったのです。

    自分も途中で“これはまいったな”と口ずさむことしきりです。これは褒め言葉でも酷評しているわけではありません。もう、何でもありで、ラーメンと天ぷらとステーキを全部食べたような映像体験なのでした。

    日経新聞の10月21日夕刊の「シネマ万華鏡」で取り上げられていたので一部抜粋します。

    「バーフバリ」シリーズで壮大かつハイテンションのスペクタクルを展開してのけたインドのS・S・ラージャマウリ監督が、またしてもとんでもなく熱く激しい映画を生み出した。

    上映時間は約3時間。

    舞台は大英帝国の支配下にあるインド。ある村の少女が総督に連れ去られてしまい、その奪還のため最強の戦士ビームが街に出る。そのことを知った総督は、勇敢な現地警官・ラーマに逮捕を命じた。

    そして、2人は互いの正体を知らずに出会い、友情を育む。

    前半はラブコメあり、サスペンスあり、もちろん大アクションあり、さらにインド映画らしく歌って踊って--と、これまでもかとエンターテイメントの要素が詰め込まれていく。

    前半のクライマックスはビームによる奪還戦だ。完全装備の軍隊を配した、要塞のような総督の邸宅をいかに突破するのか。そしてラーマの選択は--。

    そこで展開される、奇想天外かつド迫力のアクションには、圧倒されるばかり。

    だが、ここでまだ90分。折り返し点でしかない。前半の段階で既に日本映画なら映画史に残る、ハリウッドでも上位レベルのアクション映画なのに、それが実は前菜にすぎないことに気づく

    後半で描かれるのは、人々の不屈の魂だ。

    まあ、こんな大人数の部隊の2人で戦えるわけないだろうという、ツッコミはないです。お前ら何考えているのという映画です。

    いい悪いではなく(限りなく悪いという意味)、日本のちまちました恋愛や家族の問題などを描くちまちました映画では、もうインド映画には到底、太刀打ちできないな。「鎌倉殿の13人」も話が小さいことにちまちまし過ぎです。

    タランティーノの「キル・ビル」でもかわいいものです。ビームとラームがいれば、ウクライナでもこの2人だけでロシアに勝てるんじゃないの。

    007もシリアスな映画になってきている昨今、まったく違う路線を突き進む(この監督だけなのかな)インド映画はすごいです。

    目から血がしたたるなどの細かい映像表現もいいね。まあ、この映画を1,800円で見れれば、満足度は高いね。まるで最新映画の2本立てだもの。

    まるで、小林旭の「熱き心に」のごとく、熱い映画でした。

    だけど、やっぱり自分としてはインド映画ではアミール・カーンの「きっと、うまくいく」や「PK」やシャー・ルク・・カーンの「命ある限り」の方が好きだし、傑作だとは思うのですが。

    とにかくこの「RRR」は頭をからっぽにして楽しまない損する映画です。

    秋の夜長におすすめします。きっと上映後、拍手したくなりますよ。

    くだらなくて、メロメロになるインド映画「バンバン」を観たぞ、大画面のキレキレのカトリーヌ・カイフ様は無敵なり





  • ジャン=リュック・ゴダール監督追悼で映画館で「勝手にしやがれ」を観た、脚本というより映像演出の斬新さが秀逸だな

    ジャン=リュック・ゴダール監督追悼で映画館で「勝手にしやがれ」を観た、脚本というより映像演出の斬新さが秀逸だな

    本日も昔の名画のお話しです。先日、フランスのジャン=リュック・ゴダール監督がお亡くなりになられました。自分の映画史の中ではそんなに思い入れのある監督ではなかったのですが、「勝手にしやがれ」と「気狂いピエロ」はDVDで鑑賞していたと思ったのです。

    映画館の大スクリーンで観る「勝手にしやがれ」はどんなものかなと興味本位で、渋谷のBunkamuraル・シネマに足を向けたのでした。

    “ジャン=リュック・ゴダール監督追悼上映”に参戦です。

    9月13日に91年の生涯を閉じたジャン=リュック・ゴダール監督を追悼し、ゴダール監督の長編デビュー作『勝手にしやがれ』と、ヌーヴェル・ヴァーグの最高到達点と評される代表作『気狂いピエロ』の2作品を追悼上映いたします。

    ジャン=リュック・ゴダールは1930年12月3日パリ生まれ。「カイエ・デュ・シネマ」誌などで映画評や映画論を執筆したのち、長編監督デビュー作となった『勝手にしやがれ』(60)がベルリン国際映画祭監督賞及びジャン・ヴィゴ賞を獲得して以来、フランソワ・トリュフォー、エリック・ロメール、クロード・シャブロル、ジャック・リヴェットらとともにヌーヴェル・ヴァーグの中心人物として、また映画史において最も重要で影響力のある映画監督のひとりとして知られています。

    2022年9月13日、スイスの自宅で91歳の生涯を閉じたゴダール監督に敬意を表し、追悼上映を行います。

    鑑賞した後の感想です。実はこの名画「勝手にしやがれ」を観たことがないことが分かったのでした。アチャーです。

    月並みな表現ですが、この映画は脚本というよりジャン=ポール・ベルモンドとジーン・セバーグの魅力とジャン・リュック・ゴダールの斬新な演出とカメラワークが最大の魅力なのかな。「気狂いピエロ」ほど難解な話しの筋ではないな。

    当時のパリの雰囲気が映像に爆発しています。当時、この映画を観たらその斬新な演出にはまっただろうなという映画ですね。だけど、ジーン・セバーグはオードリー・ヘップバーンに容姿やそのコケティッシュさ雰囲気も含め、よく似ていますね。そう素直に思ったのでした。

    だけど、当時のパリでもジャン=ポール・ベルモンドの演じた役の日常はやっぱりありえないな。まあ、映画だと言われればそうなのですが。気狂いピエロといい、やっぱり最後は破滅的になるのね。

    話は脇道にそれますが、沢田研二の「勝手にしやがれ」はこの邦題が由来なのかな。

  • 「午前十時の映画祭」、映画館の大画面でフェリーニの屈指の名作「8 1/2」を観て、改めて尊敬し直した、巨匠に対して失礼かな?

    「午前十時の映画祭」、映画館の大画面でフェリーニの屈指の名作「8 1/2」を観て、改めて尊敬し直した、巨匠に対して失礼かな?

    丁度2日前に「午前十時の映画祭」でフェデリコ・フェリーニの名作「8 1/2」を日本橋の“TOHOシネマズ”の大きなスクリーンで初めて観たのでした。

    DVDでは自宅で2回ほど観たことはあるのですが。いつ観てもフェリーニは難解といういイメージしかなかったのですが、この歳になって映画も沢山観てきて、人生経験もたくさんしてきたので、初めてこの「8 1/2」を堪能できました。

    物語はこんな感じです。釈迦に説法かもわかりませんが。

    43才の映画監督のグイド(マルチェロ・マストロヤンニ)は、新作の撮影に入っているはずが構想はさっぱりまとまらない。体調を崩した彼は、医者から薦められた湯治場にやって来た。妻ルイザ(アヌーク・エーメ)との関係は冷え切っており、カルラ(サンドラ・ミーロ)と愛人関係にあったが、今はそれもわずらわしくなっていた。湯治場で見かけた美しい女性(クラウディア・カルディナーレ)に一瞬心ときめいたが、それも空しい幻影に過ぎずー。

    映画の解説としてはこんな解説が付いています。

    「混沌が映画だ。人生は祭りだ」―スランプに苦しむ映画監督のイマジネーションが自由奔放に繰り広げられる巨匠フェリーニの野心作にして代表作。『8 1/2』とは、音楽作品が作曲番号で呼ばれるように、作品番号で付けられた題名。アカデミー賞では外国語映画賞と衣装デザイン賞(白黒)、モスクワ映画祭ではグランプリを受賞した

    改めて思ったのは、最後の20分ぐらいで出てくるクラウディア・カルディナーレが女優陣の中で一番おいしいところを持っていくのね、と素直に思ったのでした。やっぱり当時のイタリア随一のミューズには勝てないということでしょうか。ヴィスコンティの山猫も彼女だしね。

    終わりの方でのセリフも良いね。自分的には「混沌が映画だ。人生は祭りだ」より「投資家に取っては映画製作での失敗はただの損失、監督にとっては失敗は監督としての終わりの烙印」云々のセリフには痺れたね。何故、痺れたかというと、マイケル・チミノの「天国の門」を思い出したからです。最後のシーンで道化師が出てくるのは意味深だね。“人生は祭りで、つまるところ道化だよ”ということなのかな。

    最後の方のハーレムのシーンはなくてもよいのでは。何か意味があるのかな。

    改めて思ったのは、映画の冒頭シーンは監督の才能がよく出ているね。自分的にはヴィスコンティとフェリーニを比べれば、今までは圧倒的にあの廃退美のヴィスコンティが好きだったのですが、今回、フェリーニを見直しました。巨匠に対して失礼か!

    マルチェロ・マストロヤンニはニヤけていい男だね!イタリア男、ここに極まりだね。

  • ネットフリックスの超話題作、アナ・デ・アルマス主演のマリリン・モンローの生涯を描いた映画「ブロンド」を観たよ、監督の力量かな?

    ネットフリックスの超話題作、アナ・デ・アルマス主演のマリリン・モンローの生涯を描いた映画「ブロンド」を観たよ、監督の力量かな?

    本日はネットフリックス(Netflix)での映画の話しです。

    先週の週末です。ネットフリックスでの視聴がはじまったアナ・デ・アルマス主演のマリリン・モンローの生涯を描いたフィクション映画「ブロンド」を是非早く観たいと思い、この週末に鑑賞したのでした。

    今の現役の女優でマリリン・モンロー役をさせたら一番似合うであろうアナ・デ・アルマス主演ですから、期待が高まります。映画の概略です。

    ブロンドは、ジョイス・キャロル・オーツによる同名の2000年の小説に基づいて、アンドリュー・ドミニクによって書かれ監督された2022年のアメリカの架空の伝記ドラマ映画です.この映画は、アナ・デ・アルマスが演じるアメリカの女優マリリン・モンローの生涯とキャリアをフィクション化したものです。

    視聴時間は2時間47分とかなりの大作となっています。18禁です。今年のカンヌ国際映画祭のコンペティションに出品されましたが、賞は取れませんでしたね。

    視聴したあとでの自分の個人的な感想です。

    やっぱりアナ・デ・アルマスはいいね。マリリン役が彼女でなかったら、おそらくこの作品は途中で視聴をやめていたな。映画としては凡長すぎると思います。

    アナ・デ・アルマスは昔からヌードをいといませんので、この映画でもかなり大胆に裸をさらしています。この作品で一番残念だったのは、監督の演出というか構成をもっとシンプルにしたほうが良いです。小難しい構成ではなく、もっと娯楽映画に仕上げた方がよいと思います。監督の失敗作だと思います。あまりに、ベイビー願望が強すぎる描き方なんだな。(事実はそうなのかもわかりませんが)

    あと気になったのはJFケネディの描き方かな。あんな描き方、ケネディ家からクレームがこないのかな。

    監督のことを悪く行っていますが、映画館で出来上がった映画を見せる演出は目新しくてよかったな。自分も見終わって、これではカンヌでは賞が取れなかったのも無理はないなと確信した次第です。

    「ブロンド」から話しはそれますが、アナ・デ・アルマスの前作(主演ではないですが)は007の「ノー・タイム・トゥ・ダイ」だったと思うのです。あの映画の中でのアルマスは良かったですね。ハイヒールを履いて、ダニエル・クレイグとの立ち回り、動けて戦えるアルマスにはほれぼれしたな。あんなアクションができるのなら、ダニエル・クレイグの次は女性007の噂もありましたが、それなら2-3作はアナ・デ・アルマスの007でもよいのでは単純に思ったのでした。

    そして、話しはまた「ブロンド」に戻りますが、素材がマリリンモンローだけに、脚本と監督次第ではおもしろい映画になったであろうに、と思うのです。残念無念

  • 「コーダ あいのうた」はエミリア・ジョーンズにジョニの「Both Sides Now」を手話付で唄わせた時点で勝ちだな、V先生はどうして宮本亜門なの?

    「コーダ あいのうた」はエミリア・ジョーンズにジョニの「Both Sides Now」を手話付で唄わせた時点で勝ちだな、V先生はどうして宮本亜門なの?

    この3連休に「コーダ あいのうた」を自宅で鑑賞した。よい映画だとは知っていましたが、映画館に行くまではないと思っていたのです。そして、約1週間前に最近平日にほぼ毎日聞いているInterFMのロバートハリスさんがナビゲーターをしている“大人のラジオ”「Otona no Radio Alexandria」という番組の中でハリスさんも娘さんの推奨で鑑賞して感激し、3度ほど感涙にむせったというのが、すぐ視聴すべし、と思った理由だったのです。

    そして、何とアマゾンのPrime Videoで無料で見れるのです。この作品は、

    2022年度アカデミー賞<作品賞>を含む、3部門(助演男優賞:トロイ・コッツァー、脚色賞)受賞しています。

    話しはこんな感じです。

    豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる。
    陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から、“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
    新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。
    すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。
    だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。
    悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意をし・・・。

    監督と脚本は、シアン・ヘダーという女性ですね。

    何と言っても主演のエミリア・ジョーンズ(Emilia Jones)がいいですね。おそらくメジャーでは初の主演だと思いますが、彼女当てましたね。ぴったりの役が運命のごとく回ってきたという感じです。

    聴覚障害者の父親のトロイ・コッツァーもよい(なんたってアカデミーの助演男優賞ですから)のですが、お兄ちゃん役のダニエル・デュラントも非常に印象深い演技をしていたと思います。

    だけど、この映画で一番美味しいところを持っていったのは、音楽教師役(ベルナルド・ヴィラロボス / V先生)の エウヘニオ・デルベスだったと思います。どうしても、宮本亜門とオーバーラップするんだな。この手の役はどうしてもこうゆうキャラにしたいのね。

    そして、エミリア・ジョーンズが最後に唄うジョニ・ミッチェルの「Both Sides Now」の楽曲の力強さはたまらないね。エミリア・ジョーンズは若さあふれるといった歌唱です。演出も映画でまだこんな手法があったのね、といった演出がありますね。

    だけど、自分は今年のアカデミー作品賞は自分の思い込みで別の作品だとてっきり思っていて、失礼しました。見終わって、作品賞に値しますね。ペコリ

    このジョニ・ミッチェルの「Both Side Now」は映画でもよく使われますが、この作品以外では「ラブ・アクチュアリー」での使われ方も最高でした。

    ちなみに、コーダ(CODA, Children of Deaf Adult)とは、きこえない・きこえにくい親をもつきこえる子どものことを指します。

    この3連休に最高の映画を観させていただきました。