タグ: パルムドール

  • 映画「ANORA アノーラ」は佳作レベルと思うな、アカデミーもカンヌもどうした

    映画「ANORA アノーラ」は佳作レベルと思うな、アカデミーもカンヌもどうした

    2025年3月6日(木)

    本日もまずは映画のお話しから。まあ、アカデミー賞に経緯をはらって、コタキナバル旅は本日も休止。昨日、観に行った映画はこちら。

    • 「ANORA アノーラ」

    数日前のアカデミー賞で作品賞、監督賞、主演女優賞、脚本賞、編集賞、助演男優賞の主要部門をかっさらった映画です。そして昨年のカンヌのパルムドール受賞作です。この事実には敬意を払わないとね。

    「タンジェリン」「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法」「レッド・ロケット」などで高い評価を受けてきたショーン・ベイカー監督が手がけた人間賛歌の物語。ニューヨークを舞台に、若きストリップダンサーのアノーラが、自らの幸せを勝ち取ろうと全力で奮闘する等身大の生きざまを描いた。

    ニューヨークでストリップダンサーをしながら暮らすロシア系アメリカ人のアニーことアノーラは、職場のクラブでロシア人の御曹司イヴァンと出会い、彼がロシアに帰るまでの7日間、1万5000ドルの報酬で「契約彼女」になる。パーティにショッピングにと贅沢三昧の日々を過ごした2人は、休暇の締めくくりにラスベガスの教会で衝動的に結婚する。幸せ絶頂の2人だったが、ロシアにいるイヴァンの両親は、息子が娼婦と結婚したとの噂を聞いて猛反発し、結婚を阻止すべく、屈強な男たちを2人のもとへ送り込んでくる。ほどなくして、イヴァンの両親もロシアから到着するが……。

    身分違いの恋という古典的なシンデレラストーリーを、現代風にリアルに映し出す。タイトルロールのアノーラ(通称アニー)を演じるのは、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」や「スクリーム」に出演してきた新星マイキー・マディソン。アノーラに夢中になるお調子者のロシア新興財閥の息子イヴァン役に、ロシアの若手俳優マーク・エイデルシュテイン。第97回アカデミー賞では計6部門にノミネートされ、作品、監督、主演女優、脚本、編集の5部門を受賞した。

    2024年製作/139分/R18+/アメリカ
    原題または英題:Anora

    観ての感想。映画としては非常におもしろくて佳作といったところ。そんなに時代風刺もしていないし、ウィットに飛んだわけでもないしね、終わりもおとなしい。

    カンヌもアカデミーも何をそんなに気に入ったのか、自分としては。やっぱりデュランを描いた「名もなき者」でしょう、あのティモシー・シャラメに尽きると思うのですが。

    この映画の主演女優の人、今、日本映画で飛ぶ鳥を落とす勢いの河合優実にそっくりだね、これが時代が求めている女優なのか。だけどアノーラの人、そのお年でアカデミー主演女優賞とは、現代のシンデレラストリー。

    繰り返します、自分としてはカンヌもアカデミーも質が落ちたね、単に自分の感性が鈍いのかな

    観終われば、昨日は臨時休業だった麻布十番の「新福菜館」へ、昨日のリベンジマッチです。

    ビールとラーメン(並)です。やっぱり美味し。ご馳走様でした。

    劇場で「ローマの休日」を観たよ、解説は何と淀川さんの名調子、喜楽でチャーシュー麺を

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  • カンヌのパルムドール受賞作「落下の解剖学」を観たよ、結末が少し安易と思う

    カンヌのパルムドール受賞作「落下の解剖学」を観たよ、結末が少し安易と思う

    2024年2月27日(火)

    3連休の月曜日です。本日は満を持して楽しみにしていた映画「落下の解剖学」を渋谷の劇場に鑑賞にでかけました。何たって、

    • 2023年・第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門最高賞のパルムドール受賞作

    だもんね。劇場の予告でも相当告知していたからね。

    これが長編4作目となるフランスのジュスティーヌ・トリエ監督が手がけヒューマンサスペンス。視覚障がいをもつ少年以外は誰も居合わせていなかった雪山の山荘で起きた転落事故を引き金に、死亡した夫と夫殺しの疑惑をかけられた妻のあいだの秘密や嘘が暴かれていき、登場人物の数だけ真実が表れていく様を描いた。

    人里離れた雪山の山荘で、視覚障がいをもつ11歳の少年が血を流して倒れていた父親を発見し、悲鳴を聞いた母親が救助を要請するが、父親はすでに息絶えていた。当初は転落死と思われたが、その死には不審な点も多く、前日に夫婦ゲンカをしていたことなどから、妻であるベストセラー作家のサンドラに夫殺しの疑いがかけられていく。息子に対して必死に自らの無罪を主張するサンドラだったが、事件の真相が明らかになっていくなかで、仲むつまじいと思われていた家族像とは裏腹の、夫婦のあいだに隠された秘密や嘘が露わになっていく。

    女性監督による史上3作目のカンヌ国際映画祭パルムドール受賞作。主人公サンドラ役は「さようなら、トニー・エルドマン」などで知られるドイツ出身のサンドラ・ヒュラー。第96回アカデミー賞でも作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞の5部門にノミネートされている。

    2023年製作/152分/G/フランス
    原題:Anatomie d’une chute

    観ての感想。

    脚本が非常によく出来ていると思います、伏線の入れ方も実に巧妙です。撮影も主人公と隣り合わせで参加していると錯覚させるようなドキュメンタリータッチの構成も仕組まれています。ただ、結末は少し安易すぎないかな、と思ったね。ネタバレになるからここまで。あの終わり方では真実は違うのかな。

    もう一つ指摘したいのは、少し凡長すぎないかということ。2時間ぐらいにすればコンパクトで観やすいと思うのですが。

    決して悪い映画ではないのですが、まあ面白いサスペンス映画といったところかな。コンペティションにはヴィム・ヴェンダースのあの「PERFECT DAYS」も出品されていたので、自分ならそちらを取るね。

    だけど、その緻密な脚本とカメラワークには関心しました、こうゆう撮り方も今後多くなるかもね。あのポール・グリーングラスのボーン・シリーズでアクションものの撮影方法が変わったようにね。

    観終わればいつものように渋谷の喜楽へ。今日は1時30分なのに行列なしに“チャーシューめん”を食べれたよ、みんなどうしたんだ

    今日も充実した一日でした。

    ジュリエット・ビノシュの「ショコラ」、ジョニデがいいところを持っていくね



  • イタリア映画「帰れない山」は2023年劇場公開された作品ではNo.1だよ

    イタリア映画「帰れない山」は2023年劇場公開された作品ではNo.1だよ

    喧騒の2023年のGWも終わりました。GWが終わった後からが、活動の時ですね。

    というわけでGW開けの月曜日に映画館に映画を見に行くことにしたのです。昨日も映画の話しを書きましたが、今日は最新の劇場映画です。

    観た映画とは、イタリア映画の「帰れない山」です。まずは感想です。すばらしい映画です。2023年はまだ折り返し点には行っていないですが、自分の現在のNo.1かな。ひたすら実直に脇道にそれずに大自然と友情の物語をたんたんと描いています。

    147分という長尺ですが、時間を忘れて見入りましたね。これがアメリカ映画だとLBGTとかの話しを絡めてくるんだろうな。しかし、イタリア映画は違います

    アメリカ映画で言うなら、あの「Into the Wild」が好きな人にはオススメかな。

    実は自分はこの本のことは知っていたのです。ベストセラーになっていていつかは読みたいなと。著者はパオロ コニェッティ。

    この人の自伝というか体験した物語でしょう。こんな物語です。

    街の少年と山の少年 二人の人生があの山で再び交錯する。山がすべてを教えてくれた。牛飼い少年との出会い、冒険、父の孤独と遺志、心地よい沈黙と信頼、友との別れ――。北イタリア、モンテ・ローザ山麓を舞台に、本当の居場所を求めて彷徨う二人の男の葛藤と友情を描く。イタリア文学の最高峰「ストレーガ賞」を受賞し、世界39言語に翻訳された国際的ベストセラー

    とにかくモンテ・ローザの自然がすばらしいね。特に北イタリアやアルプス好きにはたまらないね。「Into the Wild」の方は若者の若さゆえの無謀さ自然への憧憬の物語ですが、こちらの方も生きることの厳しさというか人生を語っているね

    自分も北イタリアではドロミテもアオスタからクールマイユールに行ったことがあるがまた夏のよいシーズンに行きたくなってくねる。クールマイユールに行ったのは2004年。クールマイユールからフランスのシャモニーにぬけるケーブルカールートはすごいよね

    話しは脱線しましたが、山で暮らすのも大変だよ、現代は。お金とか教育の問題だとか現実的な問題が絡んできます。もう、ソローのような「森の生活」は厳しいね。

    この映画の監督は、過剰な演出は極力抑えて、主役は雄大なモンテローザです。

    カンヌ国際映画祭にも出品され「第75回 審査員賞 受賞」だよ。この時に一緒にパルムドールを争って最高賞をとったのがあの「逆転のトライアングル」とはね。

    風刺の聞きすぎた作品と「帰れない山」、正に正反対にある映画だね。話しとしてはこちらの方が秀逸だと思いますが、映画は監督のものなのでオリジナリティ性から言っては「逆転のトライアングル」がパルムドールでもしかたないのかな。

    だけど、「帰れない山」は本当に素晴らしい映画です。日本で全く話題になっていないのはどうして。こんないい映画。必見ですぞ

    「ジョルダーニ家の人々」、これは現在の多様な家族のあり方を描いたイタリアドラマの大傑作





  • 映画「逆転のトライアングル」は2作品連続でパルム・ドール獲得という偉業、あのバレンシアガ顔には驚いた

    映画「逆転のトライアングル」は2作品連続でパルム・ドール獲得という偉業、あのバレンシアガ顔には驚いた

    本日は先週劇場で観た「逆転のトライアングル」という映画についてです。

    本作を観ようと思ったのは、単純にその予告編を劇場で観て、2022年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドール(最高賞)を獲ったという情報からだけなのです。

    筋書きも監督も何の情報もなく、ガチ観です。(こんな表現あるのかな)

    日比谷のTOHOシネマズで観たのですが、公開されてわずかとはいえ、朝の回でも結構観客がいたのには驚いたね。

    ガチ観の感想です。

    導入部には驚いたね。あの「バレンシアガ」顔と「H&M」顔の演出には斬新だね。つかみはOKです。だけど、どうしてあのレストランでの支払いごときで延々と引っ張るのかよくわからなかったのです。(最後になって少しわかったかな)

    続いてヨットの場面です。これはこれでシニカルな演出ですね。ここまで観て、この監督ただものではないな、という感想が頭によぎります

    そして、最後の島に漂着してからの話しになります。自分としては、この物語どうやって結末を迎えるのかな、という疑問がよぎります。最後は多少、切れ味の少ない終わり方かと思ったのですが、本当に楽しめた映画だったたのです。これを作った監督は只者ではないね、と素直に思ったのでした。

    ここまでが劇場で観た素直な感想だったのです。

    そして、観た直後の日本経済新聞の夕刊の「シネマ万華鏡」にこの「逆転のトライアングル」が大々的に取り上げられていたのです。

    昨年のカンヌ国際映画祭におけるパルム・ドール(最高賞)の受賞作。監督は、スウェーデンのリューベン・オストルンドで、「ザ・スクエア 思いやりの聖域」に続いて、2作品連続でパルム・ドール獲得という偉業である。

    (中略)

    端正な画面、綿密な脚本と、強烈な風刺とブラックユーモアとが絶妙なバランスで掛けあわされ、大いに笑いを誘う。

    (中略)

    ただ、ラストの階級制度の逆転には既視感があり、もうひと捻り欲しかったという気もする。

    2時間27分

    自分もこの感想には全く同意です。ただ、この監督があの「ザ・スクエア」を作った人だとは初めて知ったんだな。その映画もシニカルで非常に自分としては評価した映画だったのですね。そうなんだ、2作続けてカンヌでパルムドールはすごいね。いわゆる有名俳優は使っていないのにもかかわらずです。やはりストーリーというか、脚本が素晴らしいのかね。

    この監督の才気はすごいね

    本当に日本映画の監督もちまちました恋愛ばかりの映画を作っている場合ではないよね。もっと、時代を切り取った才気を出さないと本当にダメになると思い知らされた映画でした。

    必見だよ。男優もいい、あのバカさ加減がね。