マスク氏の言動をアインランド「肩をすくめるアトラス」を引き合いに、糾弾するのは間違っている

本日は昨日の日経新聞(2023年5月31日)の朝刊に掲載されたあのFINANCIAL TIMESの翻訳記事です。USナショナル・エディターのエドワード・ルースの署名記事です。

題して、「身勝手なマスク氏の自由-発言より行動に真意あり-」

マスク氏にはいくつもの顔がある。才気あふれるエンジニアで、果敢なリスクテイカーで、少年のように振る舞う大人でもある。ただし、我々の暮らしに対して神のような影響力を持ちうるAIのような技術を安心して委ねられる人物ではない。

そもそも、そうした技術を任せられるような人はこの世にいない。マスク氏のような大富豪のリバタリアン(自由至上主義)は、好きなことは何でもできるほどのお金を持っている

前段のここまでは何の反論もありません。

自分は自由に振る舞うのを許されるべきというのがマスク氏の世界観だと理解すれば、矛盾しているようにみえる同氏の発言の真意もわかる

起業家のピーター・ティール氏や著名投資家のケン・グリフィン氏、大富豪のチャールズ・コーク氏など米国の他の仲間の多くについても同じことが言える。彼らの発言ではなく、行動に注目するといい。

その多くは保守派に人気がある米作家アイン・ランドの小説「肩をすくめるアトラス」の登場人物、ジョン・ゴールトの人生観に共感している。ゴールドは極端な個人主義者で、小説はその身勝手な言動を英雄視している。

小説はその身勝手な行動を英雄視している。極度に利己的であることは非常に道徳的で正しいこともあるというのがメッセージだ。

マスク氏の仲間の大富豪の一部は、米政界で最も非リバタリアン的な政策の主張が多いトランプ前大統領を支持している。

ここに大きな違和感を感じるのです。自分このアイン・ランドの「肩をすくめるアトラス」は1年ほど前に読んだが、“富裕層の身勝手な言動を英雄視”しているのではなく、すべてを政府の管理下に置こうとする全体主義的な社会を嫌う、というものだと思うのです。

“極度に利己的であることは非常に道徳的で正しいこともある”かもしれないが、自分たちに政府は極力に介入しない社会にしてくれというのが小説のメッセージだと思うんだな。

リバタリアンが掲げる言論の自由も自分たちに都合のいいことばかりだ。米国は選挙資金の制約が言論への自由への攻撃だと解釈する声もあるなど、民主主義国のなかでも特異だ。

やっぱりこのエドワード・ルースの署名記事はあまりに偏見に満ちあふれていると思います。マスク氏にしても栄枯必衰もあるわけでね。そんなに目の敵にするほどでもないと思うのですが。

そして、最後は小説の中でのキーワードの謎めいた言葉、「ジョン・ゴールトは誰だろう?」。 それはアイン・ランド本人なのかな、全体主義から社会を救う救世主としてね

アメリカで“聖書に次いでアメリカ人が最も大きな影響を受けた本”といわれるアイン・ランドの「肩をすくめるアトラス」は必読書だよ。自分は完読に1ケ月ほどかかりましたが。

自分の蔵書の中で一番読みたかった本、アイン・ランドの「肩をすくめるアトラス」を毎日1時間強の読書時間確保で約2ケ月かけて読み切った。大変充実...



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