この11月の第2週目の日本経済新聞の夕刊の最終面にある「こころの玉手箱」という小エッセイの筆者は作家のいとうせいこうさんだったのです。
そして、文房具フェチの自分にとってはとても気になる、参考になる文房具の紹介があったのです。いとうせいこうさんの文章です。
結局、取材時にどんな文を考えるかが勝負で、それをまとめるのはきわめて機械的な行為になる。編集しながらパソコンに打っていく作業は単純労働に近い。
となると、最も大切なのはメモ帳とボールペンになってくる。後者はなるべく先にボールのはまっている古くさい物がいい。近頃流行のタイプだと雨に濡れるとにじんでしまうから。
そして、メモ帳は長年いくつか試したあげく、ロルバーンA5がマイベスト。裏表紙に幅広のゴムが貼ってあって、それを使いさしのページに挟んでおくとすかさず開ける。おまけに両方の表紙が固い厚紙なので、どんな態勢で書いても字が安定してくれるのだ。
記憶が薄い私は、これなしでは手も足も出ない。
ちなみに、いとうせいこうさん一押しのノート、ロルバーンとはこんなノートです。
ドイツ語で“滑走路”の意味を持つ 「ロルバーン」。
「シンプルで飽きのこないデザイン」と 「使いやすさ」が一体となった、 デルフォニックスの定番ノート。
立ち姿勢でも書きやすい厚手の表紙。
インクがにじみにくく裏移りしにくい 5mm方眼の上質紙です。 全ページミシン目付きのため、 相手にメモを渡すときにもスマート。 巻末にはクリアポケットも付いています。
そして、自分が今まで利用していたのが、ロディア(RHODIA)のノートなのです。だけど、ロルバーンと違って表裏の表紙が厚紙ではないので、デスクでの利用が想定されているのかな。
でもおしゃれはおしゃれなノートです。
だけど、この記事を見て、自分をロルバーンA5を利用しようと思った次第なのです。早速の趣旨替えです。
そして、万年筆でも驚きの逸品を紹介されているのです。
ゼミ生有志が集まり、私の慰労会を開いてくれた。思いがなかった。
そして、その場で最後に私へ贈られたのが、このプラチナ#3776の中字という日本の万年筆である。
驚いたことにこれが、それまでに買い込んだどんな万年筆より私の手に合っていた。信じられないくらいのフィット感だった。常にストレスなく文字が外に出て行く。つい力が入ってもすんなり受け流してくれる。日本語の動きに合っているような気がする。
正直、さほど高くない。そこがまた私を感激させた。学生たちの財布からすればそれでも十二分な背伸びだとわかっていたからだ。ぎりぎり有志で買えるものを、彼らは選んだ。
おかげて私はごく自然に原稿用紙に準備稿を走り書きするようになった。文字を書くこと自体が楽しかった。パソコンで削除してしまう文字もそこには残り、のちに必要なヒントを与えてくれるのもわかった。
まさに大絶賛の万年筆です。ペリカンでもモンブランでもファーバーカステルでもない、日本のプラチナとは驚きました。“つい力が入っても受け流してくれる”とか“ストレスなく文字が外に手で行く”とは、野球で言えば、ボールが止まって見えているようなものですね。
そんな訳で、自分もこのプラチナ#3776の万年筆とロルバーンA5で執筆の旅に出ようと決意した次第です。できるかな?
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